戸田恵梨香の母親と永野芽郁の娘の二通りのナレーションで場面を運んでいくのだが、その内容にズレや違いがある。
実年齢が11しか違わないのは思ったほど気にならなかった。母と娘というのはここでは人間関係における立場の違いであって必ずしも年齢とは関係ないからか。
ただし「羅生門」形式みたいに各キャラクターの主観に応じて出来事のありようが違って見えるという具合に整理されていればよいのだが、ただ矛盾している場面(同じ場面で片方は朝で片方は夜だったりとか)がいきなり続いたりするから見ていて混乱する。両者を描きわける構成や映像の工夫といったものが足りない。
だからクライマックスの「実は」というところも効かない。
姑役の高畑淳子の怪演は笑ってしまうくらい。声の出し方がいちいち凄い。
ちらっとこれを木下恵介が演出したらどうなったかなと思った。
大方をロケセットで撮っているのだろうが、あまり建物や画面に厚みがない。今風のマンションとかが舞台だったら厚みがないのが当たり前なのだけれど、一応旧家なので気になる。