原作「ベルリン・アレクサンダー広場」は1929年に発表されたおそろしく大部の小説で、刑務所から出た男がパチンコの玉よろしくあちこちに弾き飛ばされて結局元に戻るまで、ジョイスの「ユリシーズ」のような膨大な意識の流れ的記述でつづった小説で、前にファスベンダーが15時間テレビシリーズとして作っていた。
今回は海を渡るときに仲間が溺死したひとりになった移民(というか難民)のアフリカ系青年を主人公にした。
あちこちぶつかっては弾き跳ばされる繰り返しという点では原作の基本を生かし、現代化もしている。
同時に、原作では国内で渦巻いていたカオスが国境と人種を超えたということだろう。
彼を食いものにするアルブレヒト・シュッヘのクズっぷり演技が凄い。