ダニエル・クレイグ扮する名探偵ブノワシリーズ第二作。監督脚本も前作と同じライアン・ジョンソン 。
前作「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」 がイギリスの豪邸が舞台だったのに対して、今回は風光明媚なギリシャの孤島。
金持ち連中にアフリカ系が混ざっているのが今風で、とはいえ限られた場所に同じように殺人の動機がある連中が集まるというアガサ・クリスティー式の趣向は一貫している。
ある意味よく今どきこれだけ本式の謎解きミステリを、それもオリジナル脚本でやるものだと思う。
出てくるのが性根が腐った金持ち連中ばかりで、一番腐ってるのがエドワード・ノートン扮するイーロン・マスクを思わせるアモラルな超弩級の大金持ち。
クリスティーの時代に比べて富の量が増えた分、腐り加減もひどくなって感じ。
イノベーションとかスクラップ・アンド・ビルドとか言いながら、本質的には一種の破壊願望(それを持てる者がむしろ募らせている)ではないのか、とクライマックスの情景に出している。
後半の謎解きに入ってからの構成が何気に凝っていて、それまで出てきていたキャラクターの正体や場面の裏をぶち抜いて一気につなげていく。
タイトルになっている glass onionっていうのは何層も謎が重なっているようだけれども ガラスのように中身まで透けて見えているという意味。