同じ「シン」でも、ゴジラやウルトラマンに比べると、仮面ライダーは実をいうと自分には元々かなり馴染みが薄い。
昔は子供向け番組は成長するにつれて「卒業」するもので、それほどテレビを見る環境になかったこともあって、ライダーもヤマトもガンダムもテレビでは横目で見て通り過ぎるくらいの接触しかなく、ほぼ後追いになった。
というわけで、小ネタが多いらしいのはわかるんだけれども 困ったことに こちらはそれがよくわからない。
(もっともそれ言い出したら、ゴジラやウルトラマンもそんなに詳しいわけではない)
川や海など水のそばのシーンが荒廃した屋上などといった無機的な建築とコントラストをなしていて、 一種の生命=再生の象徴 みたいな扱いになっていると思う。
PG12指定なのにあれと思ったが 実際冒頭の戦闘シーンで大量の血飛沫があがるのにちょっとびっくりした。 小学生は見られないわけで、元のライダーは完全に子供向けだったが、これは元子供向けということになる。
拙劣さのない自主映画 っていう感じ。何かかをなぞっている感じとか、世界観の突っ込んだところがすっぽり抜け落ちている感じとか。
アクションシーンで通常の格闘と違う誇張した繰り返しの多いカット割りで処理していて、元のライダーの精錬されたパロディみたいだが、アメコミヒーローものほど物量で誇張した表現で埋め尽くすというわけにもいかず、左右対称の構図が多いなど格好のいい画は続くのだけれどどうも軽い。
エンドタイトルで例によってとっかえひっかえ職能を変えて何度も庵野秀明の名前が出てくるのが可笑しかった。
次々と登場するキャラクターが、え?この人がと思うようなのまで割と簡単に消費されてどんどん文字通り水泡に帰して退場していく。
ずいぶん豪華な特別出演者たちも、誰だかわからなかったり声だけだったりすることが多くてこちらも消費感が強くて見ていてかなり微妙。あとでネットで反芻してね、ということなのだろうが。
浜辺美波がほぼ笑わないできりっとした顔で通していて、笑顔はラストの方にとっておいてあるのかなと思うとだいたい当たるが、かなり抑えぎみ。
ここではショッカーという組織が中央集権的でなく、どうやらP2P的な分散構造になっているらしいのが、たとえば今のテロ組織などにも ITネットワーク構造にも通じるというと大げさか。