prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

7月23日(日)のつぶやき

2017年07月24日 | Weblog

「甘き人生」

2017年07月23日 | 映画
冒頭、幼い息子を連れて路面電車で目的地もなくずうっと街、特に銅像を見て回る母親の姿からちょっとただごとではないという空気が張り詰め、セリフと説明を切り捨てた描写が緊張感を保つ。
ただプールの飛び込みをうつしているだけでそこにある物以外のことを暗示するサスペンスが生まれるといった調子。
かなり広いアパートの空間を生かした人物の動きの付け方、光と色の微妙なニュアンスなどイタリア映画らしい技術力を見せる。

監督のマルコ・ベロッキオは1939年生まれ、'65年に26歳で「ポケットの中の握り拳」で監督デビューして半世紀を過ぎている大ベテラン。
共産党員で社会性のある作品と人間の内面に焦点を当てた作品と両方を作ってきたというが、今回は後者の色合いが強い。

冒頭に「実話に基づく」と出るが、そんなに奇抜なストーリーが展開するわけではない。むしろ初めからある程度読めている話を主人公がなかなか受け入れようとしない、そうなるのも無理はないのがわかるというのが全体の構造。タイトルとは裏腹にまったく甘くない。
(☆☆☆★)

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映画『甘き人生』 - シネマトゥデイ



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7月22日(土)のつぶやき

2017年07月23日 | Weblog

「世界は今日から君のもの」

2017年07月22日 | 映画
ストーリー紹介では、五年間ひきこもりだった女の子がバイトで働きに出たゲーム業界でイラストの才能を見出され社会復帰していく、ということになっているのだが、実際の展開はかなりニュアンスが違う。
作中のセリフで克服とかしていません、とわざわざ言っているくらいなのだから。

まず冒頭でバイトではあっても働いている(誰とも会話しなくていい職種ではあるが)というところで、働いているのだからいわゆるひきこもりとは違うのではないかと思わせる。

父親(マキタスポーツ)と直接話し合わず隣の部屋でLINEのやりとりしているのが可笑しいと共に、コミュニケーションをとっていないのではなく認識の回路がズレているのがわかってきて、ズレているのを認めていくことで折り合いをつけていくドラマなのがわかってくる。

門脇麦がいつも目が泳いでいたり、左右にぶれながらどたどた歩く姿が可笑しくも可愛い。ぼそぼそしたあまりセリフらしいセリフしかないのにヒロインがどんな人間でどんなことを考え感じているのか、山場での母親(YOUがかつて「誰も知らない」で演じたようなまるで悪気のない毒親ぶりを見せる)とのやりとりなど言っていることと感じていることがまったく相反しているのかが手にとるようにわかる。

ゲーム業界という知っているつもりで実は知っていない世界を舞台にしてかなりコミカルな誇張を混ぜているのが見せる工夫で、ゲーム=オタクという図式で描いているのかと思うと巧みに外している。
(☆☆☆★★)

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映画『世界は今日から君のもの』 - シネマトゥデイ

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7月21日(金)のつぶやき

2017年07月22日 | Weblog

「おとなの恋の測り方」

2017年07月21日 | 映画
男の方がうんと背が低いという設定の話は山田太一の「君を見上げて」があったが、人格と関係あるでなし、乱暴な言い方をすると気にしなければいいでしょ、で済んでしまうような話ではあるのです。ましてイケメンだわ、いい父親だわ、仕事はできるわなのだからほとんど言うとこないではないかと思ってしまう。

ただそれでは済まない気持ちの問題というのもあるのは確かだけれど、それを掬い上げて作品にするのはよほどの腕を要るわけで、設定一発でそれ以上発展しない印象。

背丈を小さくして見せる視覚効果が見ものには違いないけれど、あまりに自然なのとずうっと続くと当たり前になってだんだん驚かなくなる。
(☆☆☆)

おとなの恋の測り方 公式ホームページ

映画『おとなの恋の測り方』 - シネマトゥデイ

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7月20日(木)のつぶやき

2017年07月21日 | Weblog

「ジーサンズ はじめての強盗」

2017年07月20日 | 映画
80代の主役三人が大物なのにも関わらず軽やかなのが好ましい。
マット・ディロンがすっかり中堅という感じで、アン・マーグレットが出てきたのに(そして当人だとわかるのに)びっくり。

ちょっと後半調子が良すぎるのと、ときどき本当の犯罪であり、本当に歳をとっているのでほっに気付いて簡単にスカッとするのに若干ブレーキがかかる。
アメリカの会社はああもあっさり年金を打ち切るものかとぎょっとする。
(☆☆☆)

ジーサンズ はじめての強盗 公式ホームページ

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映画『ジーサンズ はじめての強盗』 - シネマトゥデイ



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7月19日(水)のつぶやき

2017年07月20日 | Weblog

「こどもつかい」

2017年07月19日 | 映画
虐待を受けた子供たちの恨み?を導くハルメルンの笛吹みたいなこどもつかい滝沢秀明に、自身が虐待された体験がある保育士の門脇麦が子供を絡むのだけれど、本格的に(特に性的)虐待を描写するわけにもいかなかったようで、なんだか中途半端。

普通に考えて虐待された子供が虐待した相手に復讐するといった話になるのかと思うとそういうわけでもなくて、どうにもまわりくどくていけません。
虐待を受けた人といっても保育士として子供の世話できるのだったら、その段階で一応心の傷は克服できているのてはないか。

エンドタイトルを見ると、こどもつかい用の靴とか帽子とかにいちいち専門のスタッフがついていて、ずいぶん手をかけているのがわかる。

全体に役者がオブジェになっていて、それが狙いでもあるのだろうけれど、なんだかひどく芝居が拙劣に見える。
怖がらせる呼吸もあまりぱっとしない。

後半が一応メルヘン調になるのだけれど、学園祭かデパートの見世物小屋みたいでどうにもショボくていけません。
(☆☆☆)

こどもつかい 公式ホームページ

映画『こどもつかい』 - シネマトゥデイ

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7月18日(火)のつぶやき

2017年07月19日 | Weblog

「TAP -THE LAST SHOW-」

2017年07月18日 | 映画
水谷豊としては「相棒」の実績あってのことだろうが、監督デビュー作としてはずいぶん恵まれた条件で仕事できたなあと思わせる。

タップを理屈よりまずリズムから入っていく、あとどれだけ体力的に大変かを最初の方が描いているのがいい。

クライマックスまでどんなショーになるのか伏せておいて一気に大がかりに展開してみせる。このあたりのクラシックムードからモダンなショーに飛躍するのはやや違和感あり。
日本のタレントの踊りの技量もずいぶんこのあたりは厚みが出てきたと思わせる。

劇中で音楽はLPで再生し、タバコこそのまないがウイスキーをずうっと呷りっぱなし、と色彩からしてもかなりレトロなテイストを出しているが、若者の描き方になると急に今風になる。

ショーを準備していて資金がショートして挫折しかけるというのは定番の展開だけれど、どうやって調達して再開にこぎつけたのかわからない。アニメの「シング」でもそのあたりは大金持ちが出してくれたとわかるように描いていたのに。
(☆☆☆★)

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映画『TAP -THE LAST SHOW-』 - シネマトゥデイ

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7月17日(月)のつぶやき

2017年07月18日 | Weblog

ジャコメッティ展

2017年07月17日 | アート
初期の作品がキュービズムを絵画ではなく彫刻でやっているのが目を引く。

弟のディエゴの肖像や彫刻がいくつも見られるが、兄同様彫刻家だというのは知らなかった。兄のアルベルトが人間型の彫刻が大半なのに対して弟のは犬猫のが多いといい、兄の珍しい犬猫の彫刻というのも展示されていた。まったく人間型と同じ調子。

ぎりぎりまで削ぎ落とした、周囲に何か「気」の流れが張り詰めているような、あるいは重力がふっと消滅しかけてバランスをとっているような緊迫感。

女性型の像が多いのだが、えてして予想されるような豊満さや美しさは削ぎ落とされているのにも関わらず女性であることがはっきりわかる。










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7月16日(日)のつぶやき

2017年07月17日 | Weblog