蟻が集団として知能を持ち(集団知、なんてコトバがありましたね)世界征服に乗り出す、という荒唐無稽な内容なのだが、演出タッチは記録映画調と本業のグラフィックな画面構成のセンスが同居した真面目調。
さすがに随所に斬新な映像は見られる。
オープニングは記録映画そのまんまの蟻の接写映像が続き、その後も蟻に関しては実写が主になる。火や薬品、電気で蟻をおそらく本当に殺すところもかなりあるので、今だと文句が来るのではないか。
男の科学者二人に農場から辛うじて蟻の襲撃から逃れてきた美女二人という極端に少ない登場人物の構成で、正直人間の出番はダレる。
その美女というのがピーター・セラーズ夫人で「さすらいの航海」などでも注目されたが早世したリン・フレデリック。この頃は二十歳でまだほっぺたが丸く幼な顔が残っている。
蟻たちが抽象的な彫刻のような蟻塚を作り、それで太陽光線を集中させて人間たちが籠っている基地の温度を上げ、コンピューターの誤作動を引き起こすなどやたら凝った戦略をとる。
この後も落とし穴に落とし込んだり、無機質で残忍な手口で人間を翻弄するあたり、作り手の視点が人間側よりはそれを超えたところにいっている感。
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