prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「バスターのバラード」

2019年06月11日 | 映画
コーエン兄弟による全六話によるオムニバス西部劇。

宿場町での決闘、金鉱堀り、ワゴンを連ねた開拓民の列、駅馬車など西部劇の趣向を漏れなく盛り込んだ感。

兄弟監督によるオムニバスという点で舞台はまったく違うが「カオス シチリア物語」を思い出した。お話映画としての語りの巧みさ、それも映像による語りの技術が光る。

「バスターのバラード」 - 映画.com

6月10日のつぶやき

2019年06月11日 | Weblog






「ベン・イズ・バック」

2019年06月10日 | 映画
撮影が「ピアノ・レッスン」のスチュワート・ドライバラ(Dryburghはドライバーと表記したりドライバーぐと表記したり、一定しない)なのだが、かなりデジタルカメラ感があからさまに出た画調。ドラッグ周辺の話だけに、一種の生っぽさを狙ったのかと思った。

最近のドラッグ絡みのドラマは簡単に、あるいはすっぱりとドラッグと手を切れるといった描写を避けるのがデフォルトになっている。実際、そうなのだろうし、安直な認識を持たせないという社会的合意ができているということだろう。
翻って日本の場合、合意を作ろうという流れすらなく、臭いものに蓋対応に終始しているのではないか。

ジュリア・ロバーツが当たり前だが終始母親としての顔になりきっていて、よく言われる女優は誰かの恋人や妻や母としての顔しか求められないというパターンの逆を行って、 いつの間にか当たり前のようにハリウッドでいうところの40の壁どころか50の壁を超えていた。

家族でも頼りになるのは母親と犬(!)だけで、他の家族が突き放した態度をとっているのにも別に批判的ではない。

「ベン・イズ・バック」 - 映画.com

「ベン・イズ・バック」 - 公式サイト

6月9日のつぶやき

2019年06月10日 | Weblog








「プロメア」

2019年06月09日 | 映画
アニメで歌舞伎の「め組の喧嘩」をやっているみたい。
とにかく威勢が良くて傾いていて、火を消しに来ているんだか、火にネタにお祭り騒ぎしに来ているのかわからない。
セリフも全員いちいち思い切り見栄を切っているみたい。

火をリアルな形にしないで(というか、もともと火は形がないようなものだが)見ようによっては何かの結晶のような大胆にデフォルメした形にして色もまったく通常の炎っぽい赤や橙から離れた色を使ってちゃんと炎っぽく見えるのだから不思議。

「プロメア」 - 映画.com

「プロメア」 - 公式サイト

6月8日のつぶやき

2019年06月09日 | Weblog






「神と共に 第一章 罪と罰」

2019年06月08日 | 映画
閻魔が出てきて地獄めぐりをするけれど、儒教的な母子関係が重視されるし、神というのは使者を含めてキリスト教っぽくもあるし、ゲームをステージをクリアしていく感じも入って、いろいろごっちゃになっている世界観。
いわゆる伝統的な韓国の地獄イメージというのはどんなものなのだろうと思った。

CGばりばりかと思ったら必ずしもそうではなく、違う場をストレートにカットでつないでこの世とあの世とを行き来しながらひとつの映像世界を作っているのは演出とするとむしろかなり高度。

今さらだが、韓国に徴兵制があるのが改めてわかる。

この一本で結末がきちっとついていて、ムリに次にひっぱっていないのは好感が持てる。とはいえ、第二章の予告でマ・ドンソクが顔を出すと期待してしまう。

「神と共に 第一章 罪と罰」 - 映画.com

「神と共に 第一章 罪と罰」 - 公式サイト

6月7日のつぶやき

2019年06月08日 | Weblog











「アメリカン・アニマルズ」

2019年06月07日 | 映画
冒頭、これは実話ではないというのと、実話であるというのを両方の字幕が出る。ちょっと字がずれただけでまるで意味が逆転してしまう。
そして俳優が演じるパートに実際に犯行に及んだ人物たちのインタビューが混ざってくる虚実皮膜な作りで、エンドタイトルで念を押すように実物は実物であることを俳優たちのタイトルより先に出してくる。

タイトルで各キャラクターを盗まれる鳥の画集に収録されている鳥の絵になぞらえるようにカットバックしていて、とりあたま(三歩歩くと忘れる)という言葉を思い出させる、何が人間が鳥みたいにどこかで思考がすっぽ抜けてしまうような特異な視点を出してくる。
実際の鳥が出てくるシーンのサイズの引き具合がいい。

虚実の違いというのは青年たちの理想と現実の落差でもあって、特に自分たちが被害者ではなく加害者側になることへの想像力の欠如を思い知らされる苦さが眼目。

「アメリカン・アニマルズ」 - 映画.com

「アメリカン・アニマルズ」 - 公式サイト

6月6日のつぶやき

2019年06月07日 | Weblog





「古代の森」

2019年06月06日 | 映画
国立映画アーカイブにて、EUフィルムデーズ2019での特集上映。
リトアニア、ドイツ、エストニア合作。

音楽もナレーションもない、派手なカメラワークや自然の神秘や美しさ、ことさらに珍しい生態を強調することもない、ドキュメンタリー版ブレッソンみたいな映画。
これ見よがしにスペクタキュラーなショットはないのだが、よく見ると類のない映像をずいぶん含んでいる。このために作成した機材もあるという。

ミンダウガス・スルヴィラ監督は小学五年生の時から森の映画を作りたいと念願を抱き、大学で生物学、鳥類学を学んでこれが2011年のThe Field of Magic に続く長編第二作。

自然音がきわめて緻密につけられていて、音は0.5から1.5メートルくらい接近しないとはっきり録れないので、遠くからカメラで撮影するのとは別にマイクを接近して設定し、別に録音したという。

- 国立映画アーカイブホームページ

- 映画.com

The Ancient Woods - IMDb

6月5日のつぶやき

2019年06月06日 | Weblog





「嵐電」

2019年06月05日 | 映画
街の中を走る小規模編成の電車周辺をはじめ、京都のあまり見られない風景を切り取ってきたロケーションが魅力。
日本を覆い尽くす平準化された風景とも、観光イメージの京都とも違う。

その周辺で人外の存在も含めたキャラクターが出没するわけだが、その交錯の仕方がファンタジー風の演出も含めてなんだかとっちらかっていて頭に入りにくい。

「嵐電」 - 公式ホームページ

「嵐電」 - 映画.com








6月4日のつぶやき

2019年06月05日 | Weblog









「居眠り磐音」

2019年06月04日 | 映画
名前は眠狂四郎みたいだけれど、性格、特に女性に対する態度はまるっきり正反対。
もっとも許婚に対しては能動的には何もしていないのだから、いくら封建社会の話とはいえ結末のつけ方はこれでいいのかなと思わせる。

立ち回りのリアリティと最近の時代劇に多い経済絡みのドラマと両方入れて両立しているが、為替相場を利用して儲けを出すというのは画とするとすごくわかりにくい。
居眠り剣法というのは無手勝流みたいで間が読めないというのが狙いなのかと思ったが、そうなのかどうなのかよくわからない。

悪が成敗される快感というのをあまり追求していないみたいで、下っ端の凶暴なのはガラの悪さが不足しているし、奥田瑛二も柄本明も役作りに凝っている分、収支が合わない。

いかにもシリーズ化したさそうだが、どうなることか。

「居眠り磐音」 - 映画.com

「居眠り磐音」 - 公式サイト