prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「群盗荒野を裂く」

2019年12月20日 | 映画
  • メキシコ革命を扱ったマカロニウエスタンなのだが、およそタイプの違うインテリと野人とがバディもの風にさまざまな体験を一緒にするので次第に理解しあっていくのかと思ったらまるで逆の結末をかなり唐突になるのが驚き。

    革命を素材や都合ではなく、大島渚の「愛と希望の街」のように、プロレタリアとブルジョアの埋めがたい断絶を描いたようでもあり、イタリアでの共産主義の不思議な強さとマカロニウエスタンの親和性といったことも思わせる。



12月19日のつぶやき

2019年12月20日 | Weblog

「決算!忠臣蔵」

2019年12月19日 | 映画
金勘定という視点から忠臣蔵を切り取るというのが眼目の映画だけれど、思い切りよく今の円単位に換算して字幕で出すだけでなく、なんでも鑑定団ばりに数字がぐるぐる回ったり、旅する浪士一人一人にいちいち36万円という旅費の字幕が立体的に貼り付いたりと、文字そのものの映像性といったものも取り入れている。

カメラワークも時代劇らしい安定した画面の中に手持ちで振り回すようなカットを放り込んだりするのが新鮮。
松の廊下で吉良上野介の主観カットにして当人の姿を見せない処理が面白い。
悪い奴を叩き切るというにはもともとムリがある話を当の吉良の姿を見せないことで外したとも思える。

最近の経済時代劇だとチャンバラが付けたりみたいに見えることが多いが、喜劇調の場面のなかでかなり残酷味が強いのは狙いとおりなのかどうか、判断に苦しむところがある。

全体にどこまで仇討ちする気があるのかないのかわからないところがあるのが調子が整わない印象で、瑤泉院の扱いもぴたりと決まらないところがある。

忠臣蔵という素材ですら今では通じにくくなっていると判断してか、必ずしも新解釈を売りにしないでお金という今でも誰にでも通じる切り口をもってきていて、何をやるにも金はかかるなと嘆息するようなところもある。まして「戦さ」ともなると、もうバカみたいにかかるのがわかる。




12月18日のつぶやき

2019年12月19日 | Weblog

12月13日のつぶやき

2019年12月14日 | Weblog

「キスキス,バンバン」

2019年12月12日 | Weblog
脚本監督はシェーン・ブラック。「リーサル・ウェポン」のバディもの、コメディにハードボイルドに原色を多用したヴィジュアルも盛り込んだ。

リーサルほどには二人のキャラクターの組み合わせが生きていない。

ロバート・ダウニーJrとしては「アイアンマン」の前の出演作。




12月11日のつぶやき

2019年12月12日 | Weblog

「ライフ・イットセルフ 未来に続く物語」

2019年12月10日 | 映画
五つの章に分かれていて、章が変わるたび場面も人物も変わだけでなく、シーンごとでも次にどうつながるのかおよそわからない、その工夫ぶりと、バラバラに見えていた要素が最後にひとつになる手つきに才気を見せて、元になった小説があるのかと思ったら監督のオリジナルシナリオらしい。
悪い意味でなく小説的な映画という印象。
よく考えると親子三代にまたがる話の割に背景の風俗があまり代わり映えしない。
これ全体がひとつの本の中の世界といった感触でまとめられている。

アントニオ・バンデラスのスペイン語の芝居を久しぶりに見る。
映画で非英語圏でも平気で英語で通すのをふだん見せられていると、スペイン語を使うべき人がスペイン語で話しているのを普通に見せられると本来感心することではなくても感心してしまう。
ただし母親が息子に残す最後の言葉となると英語になるのは白けた。





12月9日のつぶやき

2019年12月10日 | Weblog


「アナと雪の女王2」

2019年12月09日 | 映画
どう続きを作るのかと思ったら、むしろ過去のいきさつに遡る前日譚的な方に話を持って行っている。
戦うのは今の敵より過去の祖先のあやまちであって、はっきりした悪や克服する相手といったものが姿をとって現れるわけではないので、古典的なカタルシスの与え方にはならない。
それが物足りなくもあるがディズニーといえども勧善懲悪的な単純な作りからは離れている(離れざるをえない)のだなと思わせる。

水には記憶力があるなんてトンデモ本みたいな理屈が入ってくるのはちょっと引くが、魔法が堂々と存在する世界なのだからそれほどまずくはない。

ヴィジュアルでいうと水と雪と氷とくるくる変わりながら水の中と上を疾駆する馬が秀逸。
エルザが水の上を瞬間的に凍らせながら走るあたりのスペクタクルもダイナミック。

アップになると、アナの方がエルザよりそばかすが多いのがわかるあたり、芸が細かい。





12月8日のつぶやき

2019年12月09日 | Weblog



「映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」

2019年12月08日 | 映画
すみっコぐらしというくらいだから、もともとキャラクターが明確な意思を持って行動してストーリーが動く、というのと真逆な作りで、絵本の中の世界にキャラクターたちが入ってしまうというのが大枠としてあるわけだが、初めのうちぼうっと「桃太郎」「マッチ売りの少女」」「アラビアンナイト」などの絵本のお話にバラバラに別れたキャラクターたちがお話に巻き込まれところを羅列していくバラエティ風の構成かと思ったら次第にまとまっていって最後の方では見事に盛り上がり、こういう作り方があったかと思わせる。

えらい当たっていると聞いて見てみたのだが、なるほど新宿ピカデリーで一番客席の多いスクリーン2で八分の入り。

すごくシンプルで可愛いキャラクターで目だけ、あと目と口だけ、目と鼻だけでいろいろな感情を十分に表現できるのだから大したもの。




12月7日のつぶやき

2019年12月08日 | Weblog

「ファイティング・ファミリー」

2019年12月07日 | 映画
プロレスにはレスリングの技術と共にレスラーの個性の確立とアピールは欠かせないわけで、新人レスラーであるヒロインがいかに他の誰でもない自分をつかむのかというのが大きな柱になっている一方、それを支えるイギリスに残してきた家族とその周辺の人たち(視覚障害者など明らかなマイノリティを含む)とのつながりも手放さない。

ダイナマイト・キッドが元ボクサーの父親に基本的な肉体トレーニングの手ほどきを受け、父が糖尿病で体調を崩した時にそばにいられるように一時期活動場所を出身地のイギリスに移したのを思い出したりした。

「フル・モンティ」「キンキー・ブーツ」などにも通じるイギリスの貧困層の話でもあるけれど、アメリカに出て行って成功するあたり、イギリスのどんよりした空とアメリカ西海岸の明るい空とがいかにも対照的。

ロック様ことドゥエイン・ジョンソンが当人の役で特別出演しているだけでなく役の上でも虚実皮膜を体現している。

長身でグラマーで金髪といったいかにもモデルやチアリーダータイプといった派手でチャラチャラしているイメージの同僚たちが実はというあたりは調子よすぎる気はするが悪役として描くより気持ちいい。

レスラーにマイクアピールが欠かせないものとして練習させるあたりも突っ込んだ描き方。
あまり口がうまくないヒロインがここぞというところで決め台詞を言うのかと思ったらそのあたりは曖昧。




12月6日のつぶやき

2019年12月07日 | Weblog