
レイトショーで映画「ミュンヘン」を観て来ました。
スティーヴン・スピルバーグ監督が
1972年のミュンヘンオリンピックで
実際に起きた事件の真相を
史実に基づいて映画化した問題作です。
ミュンヘンオリンピック開催中の選手村に
パレスチナゲリラ「黒い9月」が進入して
イスラエルの選手11人を人質に取り
世界中が見つめる中全員死亡するという事件が起きました。

このミュンヘンオリンピックで起きたテロは
全世界9億万人の視聴者の前で
展開された悲惨な殺人でした。
イスラエル政府は
パレスチナのテロ行為として報復することを決めます。
イスラエル秘密情報機関「モサド」の一員である
アヴナー(エリック・バナ)をリーダーとして集められた5人。
彼らの任務はテロの首謀者11人を暗殺することでした。
70年代をリアルに描き、臨場感あふれるシーンの数々。
サスペンススリラーとして描かれていて息もつけません。
モデルになった人物に話を聞き
アヴナーが仲間に料理を作るシーンや
殺人のあとにキッチンの展示場で心を癒したシーンは
本人から聞いた実話だとか。

最初の暗殺の時には躊躇していたアヴナーも
何人も殺すうちに感覚が薄れてゆきます。
こんなことの先に平和はないとわかりながら
やめることのできない任務。
深い哀しみを胸に愛する家族を残し
彼は暗殺者となってゆきます。
眼鏡や髪型に至るまで1972年当時のファッションが再現されており
懐かしい人もたくさんいたことでしょう。
重厚な中にもスリリングな展開と切なさを併せ持った物語を
ジョン・ウィリアムズのサウンドが心に響かせてくれます。
スピルバーグ監督の集大成とも言えるヒューマンドラマです。