チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

椿油

2013年09月28日 | 日々のこと

曇り,25度、85%

 こんなに長く香港にいるとは,27年前思ってもいませんでした。そんな我が家ですが,幾つかの家具を日本から持ってきました。香港の賃貸ののマンションは,日本と違い,私たちのような海外からの住居者もいるので,基本的な家具や電化製品は付いています。我が家は日本から家具を持ち込んだので,大家さんの家具といつも雑居状態です。

 食器棚と整理ダンスと座卓,これが27年前の荷物に入っていました。そのうえ,今,工事中の私の実家のラダーチェアーと飾り棚と食卓を、一昨年こちらに送りました。全て,水目桜の素材です。一番古い物は,私より歳がいっています。木材の家具はいずれも使うごとに人の手から温もりや湿り気や脂をもらい、年々艶を増して行きます。それでも,手入れは必要です。私はずっと,「OLD ENGLISH」というパインの油で拭きあげていましたが,最近では手軽なスプレータイプのものを使っていました。

 昨日のことです,さあ家具を磨こと思ったら,スプレーの中身は空っぽ、新しいのを買って来て明日にでもしよう,と思った途端に椿油を実家から持って来ていることを思い出しました。この椿油は家具用に買った物のようです。母がまだ家にいてヘルパーさんが、一日3交代で来てくれていた頃から家にありました。ヘルパーさんの話では,時間が余ったヘルパーさんにこの椿油で家具を磨くよう,頼んだそうです。一人のヘルパーさんは,何でこんなことしなくてはいけないの?と不満を漏らしていました。そうですよね,私など,母が家具を磨いているところすら,小さい時から見たことがありません。自分ではろくに掃除もしない人です。そういう人に限って,こんなことを人に頼むものです。母が施設に入所して以来ふた夏,実家は人もいずに閉めっきりでした。かわいそうにこの家具たち,カビだらけになりました。ふた月に一度帰っては,大雑把にからぶきしますが,心が痛んでいました。

 椿油で家具を磨くのは初めてです。蓋をとると,油の柔らかい香りがします。パインオイルの香りとは違ってまろやかな香りです。柔らかな布に油をとって,力を込めて磨きます。キュウッという音ともに、拭きあげた後からいい艶が甦ってきます。小さい頃からピアノと家具を磨くのが好きでした。よく磨かれた家具は人の顔すら映します。

 空っぽのスプレーは,人工的なレモンの香りがしました。椿油の香りは,すぐに消えてしまいますが,磨いている人へのご褒美のように思います。

 今,実家の残りの家具たちは、密柑山にある大きな倉庫で家に帰る日を待っています。この夏は山の空気を一杯吸って,生き返ったはずです。

 その倉庫にある家具も全部水目桜のものです。家が出来上がったら,椿油をたっぷりと,艶が戻るまで拭き上げてやるつもりです。

コメント (2)
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