小雨、25度、82%
福岡の実家に帰っていた主人が,栗を買って来てくれました。主人の育った街から,船で10分ほど、玄界灘に浮かぶ能古の島の栗です。 井上陽水の歌にも唄われ,作家檀一雄一家とも縁の深い小さな島です。
香港も、今からの季節栗が一番美味くなりますが,なんと、一年を通して栗があります。しかも市場では,おばさんたちが堅い皮を剥いて売っています。料理をする者にとっては、たいそう便利。10月もおしまいの時期になると、街のここかしこに,焼き栗売りのリヤカーも出ます。堅い皮が付いていますが、この皮を剥くのは,焼き栗が大好きな主人です。私は,随分長いこと栗の堅い皮をむかずに来てしまいました。とても億劫に感じます。オーブンに石を敷いて焼き栗を作ろうか,とも思いましたが、やっぱりこの時期栗ごはんです。ため息混じりに栗の皮を剥きます。いやー、堅いこと。虫が入っていたり,蒸れて傷んでいるものもあります。きれいに栗の形にむくのは,私には至難の業。
折角の栗ごはんですから、 土鍋で炊きました。炊き込みご飯を作る時は,鉄鍋か土鍋を使います。これは,ひとえにおこげが食べたいからです。おこげは焦らずに,じっと蒸らしているとツルッとはがれてくれて,美味しいのなんのって,これも香ばしい香りがごちそうです。 不揃いの栗が見え隠れする栗ごはん。食べる時に混ぜ込んだ栗は、崩れて小さくなるので不揃いでもいいことにしましょう。
栗ごはんに、これまた福岡から買って来た里芋をたっぷりといかと一緒に炊き合わせました。秋らしい食卓です。栗の皮むき,里芋の皮むきと手間がかかりましたが,喜ぶ主人の顔を見てると,なんのその。
栗ごはんが底をつく頃,あら?ねえ,栗の香りがしないね,と私。そうです,炊く時から栗の香りが立ちませんでした。ほっこりと甘い栗でしたが,香港に来る途中、香りが飛んだのかもしれません。