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今回の上京は本来なら美術展など見に行く余裕がないはずでしたが、移動時間の合間を縫って国立近代美術館へ向かいました。鏑木清方の代表作を見るためです。
一昨年やっと念願の鏑木清方の鎌倉の美術館を訪ねました。自宅をそのまま美術館にしたもので、見ることができる作品数は限られていました。それでも絵を描いた庭に面した画室を見ると鏑木清方その人の人となりが伺えます。鏑木清方を知ったのは絵からではありません。数冊の本も書いています。「明治の東京」を読んで初めてこの画家を知りました。
今回は展示数は少ないものですが、鏑木没後40年行方が分からなかった代表作「築地明石町」が出ています。鏑木自身が3部作と思っていた「新富町」「浜町河岸」も一挙公開です。軸装にして170センチ以上の3作が並んでいる様子は圧巻です。ここまでと思われるほどが細かく描き込まれています。「築地明石町」の女性の着物の小紋の模様は実物の絹地を見ているかのようです。美人画の流れを組む鏑木清方らしく女性を捉える目の鋭さを感じます。その目の先にあるのは嫋やかな日本女性の線です。
「明治風俗12ヶ月」も軸装で150センチほどの軸が12枚揃って見ることができます。どの絵にも日本女性の美しさを描いています。市井の女性から花柳界の女性まで清方が描く女性は決して妖艶ではありません。今の女性のような子供っぽさもありません。ああ、日本人と私は心でつぶやきます。作品数は少ないのですが、鏑木ファンの方は必見の展示会です。
ちょっと煮詰まった時の私の一番の息抜きはいい絵を見ることのようです。
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