曇り、28度、86%
主人がお土産にくれたパレードの香水は「チューリップ」という名前が付いていました。チューリップは好きな花のひとつです。うれしくてひと噴きして思います、はてチューリップに香りがあったかしら?思い始めると私の小さな頭はその事で一杯です。翌日、セントラルの花屋を覗きました。チューリップなんて季節外れです。ある方なんて「来年の春まで答えは出ませんね。」とおっしゃいます。
いえいえ、ここは香港です。あるところに行けばきっとチューリップだってあるはずです。家を出れない日が続きました。昨日早速、島を出て九龍サイドの花市に向かいます。花市の老舗の店ならチューリップがあるはずです。頭のモヤモヤを消さないことには気が済みません。夏の昼間ですから、花市も人が少なく、花までが元気がなく見えます。目指すお店に直行、 ほら、ご覧通り色も形も様々なチューリップが並んでいました。端から順々に匂いを嗅ぎます。そして、やっぱりチューリップには匂いがないのだと確信しました。妙に寂しい気持ちがします。
主人が買って来てくれたチューリップという名前の香水、 この調香師はチューリップの香りではなくて、チューリップの花を例えた香水を作った訳です。初めてこの香水をつけて休んだ翌朝、目が覚めて起き上がる時枕から立ち上った香りは私の中にチューリップを呼び起こしました。チューリップのイメージです。香りの連想ではありません。香りのマジックです。そのものが持つ香りではないのにその姿を換気させる、香水もそんな手品をして見せてくれます。
チューリップを一束買おうかと思います。この暑さです、球根ものはあっという間に首から折れてしまいます。買わずに帰ることにしました。どの店も店の中は百合の香りで一杯です。チューリップばかりかラナンキュラスもヒヤシンスも季節外れの花が並んでいます。全てオランダからの輸入物です。オランダからの輸入の花が並ぶ2軒の店は、ほかの店より空調管理がしっかりしています。香港といえど、数年前までは流石に夏には見る事が出来ない花達でした。久しぶりの花市に心がほぐれます。来春まで待たずして、チューリップに香りがあるかと頭のグルグルも解消出来ました。何より香水というものの見方が少し変わったと気付きます。