気ままに

大船での気ままな生活日誌

馬込時代の川瀬巴水

2013-01-03 10:36:18 | Weblog
昨年のマイ美術展ベストテン第五位に、この”馬込時代の川瀬巴水展”(太田区立郷土博物館)を挙げたのに、まだその感想文を書いていないことに気付いた。それに、この展覧会は記念すべきときに見ている。すなわち、’12年12月12日12時12分12.12秒にその会場にいたのだ。その記事を書いたので、もうすっかり済んだものと思っていたのだが、展覧会の内容については、全く触れていなかった。

並みいる強豪を抑えて、何故5位か。それはね、5,6年前から巴水フアンになって以来、こんなにたくさんの巴水作品を一度に観たのが初めてだったから、カンドーしてしまったわけ。”馬込時代”というのは、巴水が馬込に、洋館つくりの住居を構えた、昭和5年から19年までのまでを指す。この時代は巴水は全盛期ともいえる時期だそうで、その時代の作品が、なんと100点も地元の博物館に並んだのだ。それも、なんと、無料。1300円はとってほしかった、それくらいの価値はある(笑)。

1930年からはじまって、1943年まで制作順に展示されていて、とてもわかりやすい。昭和5年(1930)作で、ちらしの表を飾る”東京二十景”のひとつ、”馬込の月”が、まず迎えてくれる。巴水ブルーがうつくしい、夕景である。おまけにぼくの好きな、まんまるお月様も。この年の10点ばかりの中に、”相州七里ヶ浜”と”鎌倉大仏”があり、つい、にこり。

昭和6年になると、名作ずらり。泉岳寺、池上本門寺ときて、代表作ともいわれる清洲橋。この辺では、立ち止まる時間が長くなる。”清洲橋”については、さまざまな摺りの作品をみせてもらえる。これも典型的な巴水ブルー。ロバート・ムラーがハーバード大学生時代,ニューヨークの美術店でこれを見て感動、その後、大正・昭和期の新版画の世界的なコレクターになった。

池上本門寺は雪景色。夕景もいいが、巴水の雪景色も格別。今回の展示作品にも、そのほか、月嶌の雪、雪の向島、根津権現の雪、芝大門の雪、雪の夜浦安、とかの様々な雪景色を堪能した。あれ、いい雨もあるじゃんと、今回、はじめて思った。まるで広重の名作の雨のような。”今井橋の夕立”と”修善寺の雨”。雨の筋がぎっしり、天から落ちてくる。こんな雨なら濡れていきたい(笑)。

昭和14年には朝鮮旅行をしていて、”朝鮮八景”も描いている。巴水風から少し離れたような風情。山川秀峰から誘われ、戦時中で少しスランプになっていた頃で、渡りに船とひと月、遊んだ。帰国後、”続朝鮮風景”も描いている。そのひとつ、”朝鮮慶州臨海亭”はブルーではなくピンクの夕焼け空がとてもきれいだ。

自画像の描かれた風景もしんみりした感じがよかった。人物(巴水)が風景に溶け込むように描かれている。何度か観ている作品だが、清水寺と上州法師温泉。

そこで買った、小冊子の図録をみながら、思い出しているが、本当に、いい展覧会だったと、改めて思う。5位ではなくて、3位に上げても良かったと思うが、もう遅い。今年の5月18日が生誕130年とのことだ。また、どこかで、生誕記念の巴水展を開催してくれないかな、と密かに思っている。

馬込の月


大森海岸


清洲橋


池上本門寺


月嶌の雪


自画像のある風景
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トーハク東洋館リニューアルオープン 初日に

2013-01-03 08:12:54 | Weblog
1月2日に、トーハク東洋館がリニューアルオープンした。その初日に行くぞ、というのがかねてからの企てであった(汗)。それが実現できてうれしい。とてもステキな美術館に生まれ変わっていた。

まず、初回だから、全体をさらりと観ようと、廻った。それでも1時間ほどはかかった。でも、名残り惜しくはない。いつでも、来れるから。特別展が始まれば、それとセットでまた見学する予定。法隆寺館の方はたまにしか行かないが、ここは何度でも来てしまいそうな感じ。

というわけで、ここでの紹介も、廻った順にさらりとおおまかに。

外観


展示室は地下一階から五階まで。 4階は”中4階”みたいな感じでエレベーターは止まらない。


展示室風景 西アジア、エジプトまで含めて、東洋全般の美術品がずらり。
















中国書画、陶磁器が圧巻。




・・・


もちろん、行きますよ。円空さんもそろそろいらしゃるしね。今度は一つひとつ、ゆるりと観たいと思っています。





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