中米関係には十分な強靱性がある
中米関係にはコインのように表と裏がある。(文:賈秀東・本紙特約論説員、中国国際問題研究所特別招聘研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
南中国海での両国の一触即発のような状態に国際世論が目を向ける中、范長竜・中央軍事委員会副主席は予定通り訪米した。米軍基地訪問、空母「ロナルド・ レーガン」見学、米陸軍火力演習見学、米上層部との会談など非常に充実した日程で、具体性を備えていた。訪問中、中米双方は「重大な軍事行動の相互通告制 度」「海空遭遇時の安全行動規範」の付属文書についても議論し、習近平国家主席の今年秋の訪米前に空中遭遇時の安全行動規範(「空中遭遇」付属文書)協議 の妥結を目指す考えを表明した。こうした軍事交流を受けて、南中国海で中米間の戦争は起きないと人々は信じるにいたった。
同様に、南中国海での両国間の駆引きに人々が注意を奪われる中、両国は今月下旬の第7回中米戦略経済対話に向けた準備を大々的に進めている。第6回中米 人的・文化交流ハイレベル協議も同時に行われる。双方は共に、こうした対話や協議が前向きな成果を挙げることを期待している。これは習主席の訪米に向けて 良好な雰囲気を醸成する助けとなる。習主席の訪米は中米関係にとって今年最も重要であり、米側は早くも今年2月に訪問に関する情報を公表した。これは外交 の実践において異例のことであり、両国関係にとっての今回の訪問の重要性が見てとれる。
南中国海問題で「真っ向から対立する」一方で、ハイレベル交流のために緊密な意思疎通を行う。これはまさしく中米関係の複雑さの表れだ。国交樹立以来の 両国関係の歩みを振り返ると、波瀾の絶えない時期もあれば、比較的平穏に発展した段階もあった。台湾、チベット、人権、宗教、貿易、不拡散などの問題がし ばしば中米関係に打撃を与えてきた。情勢の推移に伴い、古い問題は解決されないままで、新たな問題が発生し続けている。例えばここ数年、米側が再三大げさ に宣伝しているサイバーセキュリティー問題だ。様々な「中国脅威論」が、中米関係の発展につきまとっている。これと同時に、中米協力が分野を拡大し続け、 深みを増し続けており、双方間の対話・協議制度が整備され続け、すでに90以上に達していることも、われわれは目にしている。
過去数十年間、中米関係は曲折を経ながら前進し、脆弱性の中で強靱性を浮き彫りにしてきた。中米関係の強靱性は共通利益に対する両国の政府と国民の 基本的体得から来る。両大国は協力すれば共に利し、闘えば共に傷つく。協力すれば、両国は双方および世界全体にプラスとなる大きな事を行える。対立すれ ば、両国は自らと世界に惨禍をもたらす。まさしくこのような認識と論理に基づき、中国側は協力・ウィンウィンを柱とする新型の大国関係の構築を提唱した。
少なくとも現在までのところ、中米関係は十分な強靱性を備えている。これは両国と世界にとって幸いなことだ。だがわれわれは、この強靱性を当たり前のも のと見なしては断じてならない。中米関係には脆弱性もあるからだ。中米関係の脆弱性は米国の勝手さから来る。米側はしばしば勝手に中国の核心的利益を損な い、あるべき尊重をしない。米側は自らの戦略的優勢を維持する考えに基づき、中国の台頭に対して戦略面で抑えがたい猜疑心を抱いている。米国の勝手さが中 米関係を引き裂いていると言える。例えば南中国海問題において、米国は本来紛争当事国ではないのに、自らの戦略的利益のために勝手に介入し、相手国の戦略 に対する中米間の相互疑念をいたずらに大きくしている。中米関係の強靱性を高めるには、両国は協力を拡大し、溝を管理・コントロールする必要がある。米側 はなおさらに自らの勝手さをしっかりとコントロールする必要がある。(編集NA)
「人民網日本語版」2015年6月17日