夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈さ行〉

2024年12月28日 | 映画(さ行)
《さ》
『最悪な子どもたち』(原題:Les Pires)
2022年のフランス作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
リーズ・アコカとロマーヌ・ゲレの監督コンビは、これが長編デビュー作にして、
第75回カンヌ国際映画祭〈ある視点〉部門のグランプリを受賞したそうです。
フランス北部、治安の悪さで有名なピカソ地区で映画を撮ることになり、
監督のガブリエルは現地オーディションで選出した問題児たちに演技をさせる。
物語に登場するのは十代のカップル・ジェシーとリリ、そしてリリの弟ライアン。
オーディションを受けるも選ばれなかった子どもたちや、
選ばれたのに台詞もない端役であることを不満に思う子どももいて、
特にもともと「ヤリマン」と言われていたリリは嫌みを言われてばかりで……。
ドキュメンタリーだと思って観はじめたらモキュメンタリーでした。
キャストの子どもたちは実際にオーディションで選ばれた演技未経験者。
映画の中で「演技をする」という演技をする子どもたちが凄い。
この少年少女たちが今後も映画の世界で生きていくのかどうか、楽しみでありながらも無事を祈らずにはいられません。
 
《し》
『侵入者たちの晩餐』
2024年の日本作品。Netflixにて配信。
新春に放送されたTVドラマですが、映画として紹介することをお許しください。
家事代行サービス会社“スレーヌ”に清掃スタッフとして勤める田中亜希子(菊地凛子)は、
たまに顧客の家で一緒になる料理スタッフの小川恵(平岩紙)と親しくなる。
ある日の仕事帰りに2人で話し込むうち、スレーヌ社長の藤崎奈津美(白石麻衣)の話に。
グラビアアイドルの美人社長には脱税の噂があるらしく、
安い給料で働かされているのは納得が行かない、タンス預金を頂戴しに行こうと。
2人では心許ないと恵の友人でサスペンスドラマに詳しい江藤香奈恵(吉田羊)を誘い、
社長宅の合鍵を作ることに成功した3人は、社長のハワイ旅行中を狙って忍び込む。
ところが、タンス預金など見つからないばかりか、社長が慈善事業をおこなっていることが判明。
何も盗らずに一旦は退散した3人だったが、このままでは罪悪感が募る。
そこで亜希子の提案により、掃除をしに行こうと社長宅に戻る。
一見綺麗でありながら、サッシや排水溝、家具の裏に埃が溜まっている社長宅を磨き上げ、
冷蔵庫に積み上げられていた賞味期限間際のものも有効活用。
満足して引き上げようとしたところ、部屋の片隅に本物の空き巣・重松洋介(池松壮亮)が潜んでいるのを発見。
洋介を縛り上げていると、なんと社長が帰ってきて……。
ここにさらに登場するのが社長の元ファンだったコンシェルジュ・毛利貴弘(角田晃広)。
可笑しくてクスクス笑いが止まらない。キャストも完璧。
なんと面白い作品だったことか。バカリズムってやっぱり天才だと思いました。
 
《す》
『スペシャル・エージェント 特殊工作員』(英題:Special Agent)
2020年の韓国作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
日本では何の情報もないのでたぶん劇場未公開。
国家情報院のエージェント、パク・ウォンチョル(イ・ジェユン)は、北朝鮮での任務を終えたばかり。
これで自由の身となるはずが、新たな任務のためにもう一度北朝鮮に戻れと言われる。
その任務とは、韓国人科学者“VIP”の暗殺。
VIPは生物兵器を開発して北朝鮮に拉致されており、そのVIPを消せと。
命令ではなく申し出だと言われて断ろうとすると、
ウォンチョルの一人娘(チェ・ジス)が問題を起こして鑑別所に収監されていると言う。
もしもウォンチョルがこの申し出を受け入れるなら、
娘が前科者にならないようにし、すぐに鑑別所から出所させると。
このように脅されては「申し出」を飲まざるを得ず、北朝鮮に入るウォンチョル。
VIPを見つけて殺そうとしたところ、VIPも娘を人質に取られていると知り……。
この手の作品はたいていスリル満点で面白いものですけれど、かなり地味。
ひたすら国境付近の地雷原で隠れて逃げて殺してが繰り返されるだけ。
アクション自体はキレがあっていいものの、退屈です。
やっとラスボスを倒して一件落着のいい話のはずが、エンドロールでラスボス復活!?
これで続編を作ろうとしているならツラすぎます。
 
《せ》
『世界が引き裂かれる時』(原題:Klondaik)
2022年のウクライナ/トルコ作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
同年の東京国際映画祭での上映時は、原題のまま『クロンダイク』という邦題でした。
2014年に実際に起きたマレーシア航空17便撃墜事件を背景にした作品で、
メガホンを取るのはウクライナ出身の女性監督マリナ・エル・ゴルバチ。
ロシアとの国境近くにあるウクライナ・ドネツク州の小さな村。
出産を控えた妻イルカの体調を心配する夫トリクが病院へ連れて行こうとしたとき、家に砲弾が撃ち込まれて壁がぶち抜かれる。
怪我などはなかったものの、修復に取りかからざるを得なくなってしまう。
この村では親ロシア派と反ロシア派が激しく対立しており、誰がどちらなのか疑心暗鬼。
民間の航空機が撃墜される事件まで起こり、気が気ではなく……。
親族同士でも対立しているものだから、信頼関係が成り立ちません。
イルカの弟ヤリクは親ウクライナ派で、トリクは実は親ロシア派だということがわかる。
夫と弟が絶えず言い争うようになり、イルカはイライラ。
壁のない家でイルカがソファでひとり出産するラストシーンが衝撃的。
 
《そ》
『ソウェト・ラブストーリー 愛しの花嫁を探して』(原題:A Soweto Love Story)
2024年の南アフリカ作品。Netflixにて配信。
年末、教会での恒例行事を企画した女性ボンゲキレ。
彼女にはいい歳をした息子が3人いるが、揃いも揃って独身で嫁の来てがない。
行事を共同で仕切る女性ブリジットとは親しいものの、オイシイとこ取りをする彼女には時折腹が立つ。
さらにはブリジットの娘が医者と結婚したと得意気に話すから、内心イライラ。
ブリジットに張り合うボンゲキレは、次男が今晩恋人にプロポーズすることをバラしたばかりか、その店にみんなを招待。
ところがそれが見事に失敗してボンゲキレは悲嘆する。
息子たちをなんとか結婚させようと、最初に結婚した息子に家を譲るとボンゲキレは宣言する。
誰も結婚しないならば家は売りに出すと言われ、息子たちはとにかく一番に結婚して家をゲットしようとするのだが……。
長男メンジは料理人でレストランオーナー。母親が家を売れば、自分も店を手放すはめになります。
風来坊のように現れた女性シェフのディナに相談すると、見合い相手を次々に連れてきてくれる。
次男サンディレはかつてはヒット曲もあったミュージシャン。プロポーズ相手のセンテとよりを戻したい。
三男のスカイは服飾デザイナーでゲイらしい。カミングアウトせずにモデルでレズビアンのリンクスと偽装結婚を企てます。
最終的にはメンジはディナと、サンディレはセンテとくっつき、スカイはゲイではなくてブリジットの娘レモハンとデキていたというオチ。
そもそも嫁探しというのが今の時代には古いように思うけど、国によるのでしょうね。ハッピーエンドだったから良しとしたい。
メンジの店の厨房を見るのがいちばん楽しい程度でしたが、私には何語かわからん公用語と英語の使い分けが面白かった。

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『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』

2024年12月26日 | 映画(さ行)
『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』(原題:Speak No Evil)
監督:ジェームズ・ワトキンス
出演:ジェームズ・マカヴォイ,マッケンジー・デイヴィス,アシュリン・フランチオージ,
   アリックス・ウェスト・レフラー,ダン・ハフ,スクート・マクネイリー他
 
イオンシネマ茨木にて、前述の『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』の次に。
 
最悪の胸クソ映画と評判高いデンマーク/オランダ作品の『胸騒ぎ』(2022)をハリウッドリメイク
ブラムハウスの製作ですから、そりゃさぞかし嫌な感じに仕上がっていることでしょう(笑)。
 
アメリカ人夫婦のベンとルイーズはひとり娘のアグネスを連れてイギリスへ移住。
憂さを晴らそうとイタリアに滞在して楽しむことに。
そこで出会ったのがイギリス人夫婦のパトリックとキアラ、息子のアント。
特にパトリックの粗野なイメージに最初は敬遠していたが、話してみれば面白い。
 
ロンドンの自宅に戻ると、パトリックから遊びに来ないかという葉書が届く。
どうせベンは失業中の身だし、ルイーズの浮気騒動もあって夫婦仲がギスギスしていたところ。
ルイーズは気乗りしない様子を見せるが、ベンの希望で招待に乗ることに。
 
パトリック一家が暮らすのは、人里離れた一軒家。
静かな環境を最初こそ魅惑的に思うものの、寝具は洗濯もされていないようで、ルイーズはがっかり。
小さな違和感が次第に大きくなっていき、この一家は変だと感じるようになり……。
 
とっても怖いです。
 
ネタをバラしてしまうと、パトリックとキアラは旅先で親しくなった人を招いては殺していた様子。
口の利けないアントのことを「生まれつき舌が短くてしゃべれない」と聞いていたけれど、
実はアントも被害に遭った家族の子どもで、パトリックに舌を切られていたのです。
 
アントは自分が虐待されていることをなんとかアグネスに知らせようとしますが、
アグネスが事態を理解して震撼したところでどうにもできません。
とりあえずベンとルイーズとアグネスがこの家から出て通報しようとするも、そうは問屋が卸さない。(^^;
 
パトリック役のジェームズ・マカヴォイがえげつない。
どんな作品であれ、この設定なら怖くなるということですね。
 
オリジナルを観ていないので、胸クソ映画の触れ込みに最悪の結果も覚悟しました。
でもご安心ください。最後は一応安心なエンディングを迎えます。
 
パトリックにとどめを打つことはためらったベン。
しかしアントがそれを許さなかった。最悪のシーンながら、「やれ!」と思いましたね。
虐待、許すまじ。
 
あ、配信でオリジナルを観るつもりです。
オリジナルは甘くない。最低最悪のエンディングのようで、覚悟して観なければなりませぬ。

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『市民捜査官ドッキ』

2024年12月23日 | 映画(さ行)
『市民捜査官ドッキ』(英題:Citizen of a Kind)
監督:パク・ヨンジュ
出演:ラ・ミラン,コンミョン,ヨム・ヘラン,チャン・ユンジュ,アン・ウンジン,
   イ・ジュスン,ソンヒョク,キム・ユルホ,パク・ビョンウン,イ・ムセン,他
 
アメ村のビッグステップ4階で18年間営業していたシネマート心斎橋が10月末に閉館。
大阪で韓国作品を多く上映してくれる劇場といえばここでした。
 
そうと知らなかった頃、ロビーに入ると女性客でごった返していることがあり、
何事かと思ったらチャン・グンソク主演の映画の公開日だったらしく。
チャン・グンソクが誰かも知らなかった私は、そんなに人気がある人なの!?と驚いたおぼえがあります。
また、オッサン客で混み合っていた日はドニー・イェン主演の“イップ・マン”シリーズ何作目かの公開日でした。
『1987、ある闘いの真実』(2017)を観たときは立ち見まで出ていたのを思い出します。
 
そんなふうだったから、シネマート心斎橋がテアトルグループ傘下となったときにまず驚きました。
だけど、映画業界の事情なんて私は知る由もないし、客はよく入っているから潰れることはないよねって。
ところが今夏に10月閉館のニュースが流れてきてショックを受ける。
 
と、とても寂しい思いをしていたら、12月13日にキノシネマ心斎橋として新装オープン。
ロビーや客席は当然綺麗になっていますが、トイレの扉を開けると便器はそのままでなんか嬉しい(笑)。
思えばシネマート心斎橋の前はパラダイスシネマ、そしてパラダイススクエアの時代もあったわけで、これが4代目。
経営者が木下グループに替わり、今後どうなるのかわかりませんが、
少なくとも映画のラインナップはこれまでを踏襲しているように見えます。
 
というわけで、キノシネマ心斎橋にて記念すべき初めての鑑賞は本作を。
2016年に起きた実話を基にしたフィクションで、めちゃめちゃ面白いです。
 
幼い娘と息子を抱えるシングルマザーのドッキはクリーニング店を経営していたが火事に遭う。
店も家も失い、保険は利かず、何もかも焼けて無一文に。
融資を受けようと銀行に相談に行くも取り合ってもらえず、途方に暮れていたところ、
銀行員ソンを名乗る男性から融資を受けられる方法があるとの電話を受ける。
藁にもすがる思いで今後の手はずを聞いて従っていたところ、途中から連絡が途絶えてしまう。
 
銀行に乗り込み、ソンを出してくれと言うと、そこに現れたのは女性銀行員。
男性のソンはいない、お客様に送金を依頼することはないと聞き、振り込め詐欺に遭ったことに気づく。
手付金だ手数料だ、書類の準備に金がかかるなどと言われて振り込んだ総額は3200万ウォン(約340万円)。
警察に駆け込むと、刑事のパクが一応は話を聴いてくれたものの、
追跡は無理だから高い授業料だと思ってあきらめるように言われただけ。
 
このまま泣き寝入りするわけにはいかない。
絶対に金を取り返すと誓うドッキのもとへある日あのソンから電話がかかってくる。
軟禁状態に置かれていると言うソンは、ドッキに通報を頼むが、
ソン自身、どこに連れて来られているのかわからないらしく……。
 
ドッキ役にラ・ミラン、ソンことジェミン役に『エクストリーム・ジョブ』(2019)のコンミョン。←カワイイ。
ドッキの友人で共に犯人を追跡するはめになるボンリムには、見るだけでワラけるヨム・ヘラン
同じく友人のスクジャ役にチャン・ユンジュ。ボンリムの妹エリム役にアン・ウンジン。←カワイイ。
刑事パクを演じているのがパク・ビョンウンと、楽しいこと間違いなしのキャスト。
 
警察は何億円規模かの詐欺事件を追っているから、ドッキの340万円はどうでもいい。
だけど子どもたちを保育園に預けるお金もなくてパート先のロッカー室で寝泊まりするドッキは、
虐待を疑われて子どもたちを連れて行かれてしまって、とても諦められる金額ではありません。
 
ジェミンはジェミンで本当はいい奴。ちょっと楽して稼ごうと思ったら、こんなことになってしまった。
携帯も金もすべて取り上げられて錠の付いた牢屋のような部屋に同様の若者たちと軟禁され、
もしも逃げ出そうとすれば拷問は当然。殺されてしまった者がいることも知っています。
やってくる若者は最初は旅行気分なんですね。地獄が待っているとも知らずに次々とやってくる。
 
世間でも話題の振り込め詐欺の組織ってどうなっているのかと思ったら、こういうことなのか。
元締めを捕まえるために青島まで行ったドッキさんのモデル、ちゃんといらっしゃるそうで、凄いです。
 
とても楽しいサスペンスコメディ。オススメです。

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『JAWAN/ジャワーン』

2024年12月13日 | 映画(さ行)
『JAWAN/ジャワーン』(原題:Jawan)
監督:アトリ
出演:シャー・ルク・カーン,ヴィジャイ・セードゥパティ,ナヤンターラー,
   ディーピカー・パードゥコーン,プリヤーマニー,サニャー・マルホートラ他
 
ボリウッドです。171分の長尺です。
どうせ知っている予告編ばかりだし、予告編開始後3分経ってから入場しました。
 
アトリ監督は『ビギル 勝利のホイッスル』(2019)などタミル語映画界で活躍している人。
これがヒンディー語映画デビュー作となるそうです。
主演はボリウッドのスーパースター、シャー・ルク・カーン
2023年のインド映画興行成績1位に輝いています。まぁ面白いけど、無茶苦茶や(笑)。
 
インド北東部。ある部族が住む村に渡る川で、銃弾を浴びて重傷を負った男が発見される。
意識不明の男を村人たちが手厚く介抱するも、男は目覚めないまま月日が経過する。
 
ある日、村を潰そうと武装した奴らに村人たちが次々と襲われていると、
いままで一度も目覚めなかった男が覚醒して悪党共をなぎ倒す。
おかげで村は潰れることなく、男は神と崇められる存在になるが、
彼は記憶を喪失しており、自分が何者でなぜここにいるのかもわからない。
 
30年後。女性6人組と男性リーダーを有する謎のグループが跳躍。
このグループは、悪事を働いて金儲けをする権力者を標的に巧みな手口で大金を奪い取る。
奪取した金は自分たちの懐に入れることなく、困窮する人々に残らず分配する正義の味方。
 
実はリーダーのアーザードは女性刑務所の所長で、6人はいずれも囚人
どの囚人も権力者に楯突いたせいで不当に逮捕された者ばかり。
看守の協力も得て刑務所から出かけては正義のための行動を果たしていて……。
 
神と崇められる男ヴィクラム・ラトールとアーザードが同じ顔だから(シャー・ルク・カーンの一人二役)、
え、30年経っても見た目変わらずなの?と思っていたら、アーザードの父親がヴィクラムなのでした。
息子の大ピンチにいきなり登場するヴィクラムが強すぎてワラける。
 
30年前にヴィクラムを殺したつもりになっていためちゃ悪の武器商人カリにヴィジャイ・セードゥパティ
美人警察官ナルマダにこれまたスーパースターのナヤンターラー
そりゃま、これだけ人気俳優を揃えたら、興行成績ナンバー1になりますわね。
 
インドの農業や公立病院の実態も描かれていて、いろいろと興味深い。
ダンスもそれなりにあるけれど、私はやっぱりシャー・ルク・カーンよりヴィジャイとかラーム・チャランの顔のほうが好き。
 
なんにせよ、ボリウッドが面白いのは間違いない。
あと、選挙。ちゃんと選んで投票しましょうとアーザードが言ってます。

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『ザ・バイクライダーズ』

2024年12月12日 | 映画(さ行)
『ザ・バイクライダーズ』(原題:The Bikeriders)
監督:ジェフ・ニコルズ
出演:ジョディ・カマー,オースティン・バトラー,トム・ハーディ,マイケル・シャノン,マイク・ファイスト,
   ノーマン・リーダス,ボイド・ホルブルック,デイモン・ヘリマン,エモリー・コーエン,トビー・ウォレス他
 
休日出勤した日の代休を2回に分けて取らせてもらい、その1回目だった日、午後休。
父が入所中の老健に寄ってからなんばへ向かい、よしもと漫才劇場に行く前に映画と食事を。
TOHOシネマズなんばにて。
 
写真家ダニー・ライアンによる伝説の写真集に着想を得たジェフ・ニコルズ監督が撮った作品。
その写真集は、1960年代に隆盛を誇った実在のバイカー集団に密着したものなのだそうです。
ニコルズ監督は『テイク・シェルター』(2011)の人ですね。
 
1965年のシカゴ
品行方正な日々を送っていた女性キャシーは、友人から頼まれたものを届けに入った店の居心地の悪さに驚く。
そこは地元のバイカーたちが集う店で、上から下まで舐め回すように見られ、友人のもとへたどりつくのもやっと。
用事を済ませて退店しようとすると、バイカーたちに追いかけられて恐怖を感じる。
咄嗟にキャシーが頼ったのは、ただひとり冷めた様子だった無口な青年ベニー。
彼のバイクの後ろに飛び乗り、キャシーはこれまでになかった爽快感をおぼえる。
 
それからわずか5週間後にふたりは結婚。
バイカーたちのクラブは“ヴァンダルズ”と名付けられ、創始者としてリーダーの座に就いているのはジョニー。
取り巻きも多いなか、ジョニーのお気に入りはベニー。
ベニーも一匹狼のようでありながら、ジョニーのためなら何でもする。
 
巷から疎まれつつも、バイカーたちの間では憧れの的となったヴァンダルズ。
入部希望者が増えつづけ、各地で支部を立ち上げる話が後を絶たない。
規模が拡大するにつれてクラブ内の治安が悪化していることをジョニーは危惧し、
いつまでも自分が仕切るのは無理だから、ベニーに次期リーダーになるように話すのだが……。
 
たぶん“イージー・ライダー”世代なのでしょうね、やたらオジサマ客が多い。
私より少し上の世代の人たちなのだろうと思います。
 
私はといえば、単車のレース自体は好きですし、昔は鈴鹿サーキットにもよく行きましたが、
ハーレーダビッドソンなどのような単車には興味なし。
だから、こんな単車で群れを成して動くモーターサイクルクラブもどうでも良い感じです。
 
ただ、映画としてはすごく面白かった。こういう時代があったのだなぁと思わされます。
マイク・ファイスト演じるカメラマンのダニーが、ジョディ・カマー演じるキャシー相手に取材を進める形で描かれます。
オースティン・バトラー演じるベニーにぞっこんだったキャシーは、
最初こそヴァンダルズにベニーがいる状態を楽しんでいたけれど、暴力的な部分に不安を感じ、
ベニーにはクラブを抜けてほしいと思うようになります。だけどベニーは絶対に抜けない。
 
ジョニー役のトム・ハーディにはボスとしての貫禄があるだけに、若者に簡単に貶められる姿が哀れです。
ただのバイク好きが集まって結成したクラブのはずが、いつしか不良だらけの集団に変化してしまう。
結局そうして当時のクラブも消えて行ったのでしょうね。
 
平日午後の劇場に来られていたオジサマ方の感想を聞いてみたいです。

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