夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『銀魂オンシアター2D 金魂篇』

2024年12月19日 | 映画(か行)
『銀魂オンシアター2D 金魂篇』
監督:藤田陽一
声の出演:杉田智和,阪口大助,釘宮理恵,ゆきのさつき,南央美,島田敏,高橋美佳子他
 
TOHOシネマズ西宮にて5本ハシゴの4本目。
そろそろ酒も抜けてきた頃。スルーしかけていた作品だけど、本目と5本目の間を埋めるのはこれしかなく。
 
“銀魂”も劇場版しか観たことがないんです。
だから、毎回劇場版を観るたびに、おおっ、これがエリザベスか!とかサダハルか!と思う(笑)。
「オンシアター2D」とはどういうことかもわからず、観終わった今もわかりません。
だからまたまた本作を観ただけの理解であらすじを書きます。
 
しばらく不在にしていた坂田銀時が“万屋銀ちゃん”に戻ってみると、
看板は“万屋金ちゃん”に変わり、新八も神楽も銀時を初めて見るような態度で客として扱う。
どうなっているのだと思っていると、主人を名乗って坂田金時なる男が現れる。
 
見た目も着るものも銀時に瓜二つだが、天パーの銀時に対して金時はストパー。
何でも解決する万屋のうえに、金回りもよくて借金なし。町の人々から絶大な信頼を置かれている様子。
誰も銀時のことを知らず、DVD60巻の主人公もなぜか丸ごと金時に変わっていた。
 
実は金時はからくり人形。
新八と神楽が銀時の弱点短所をすべてクリアしたからくり人形の製作をからくり屋に依頼。
その結果、できあがったのが金時なのだが、金時は人々の記憶をすべて塗り替えていたのだ。
こうしてみんなから忘れ去られた銀時は……。
 
何も知らずに観たわりには、話についていけないこともなくてまぁまぁ楽しめました。
けど、エンドロールが終わったと思うとまた始まる話にちょっと引き気味。
え、まだあるん、いつまであるん、もうええからはよ終わって、と心の中で願いました。
 
来年2月にはまた別のなんたら篇があるそうなんですが、それは観に行くかどうか迷うなぁ。
サダハルのことは気になるけれど。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『コール・ミー・ダンサー』

2024年12月14日 | 映画(か行)
『コール・ミー・ダンサー』(原題:Call Me Dancer)
監督:レスリー・シャンペイン,ピップ・ギルモア
 
年末が近づいたせいか、夕方の新御はかなり渋滞しています。
でも19時すぎからの回ならなんとか間に合うだろうとテアトル梅田へ。
 
インド出身のダンサー、マニーシュ・チャウハンに密着取材したドキュメンタリー作品。
全然知らなかったことですが、インドではダンスって金持ちの趣味という認識らしい。
伝統的な民族舞踊を踊る金持ちはいても、有給で踊る仕事はなし。
有給で踊りたければボリウッド作品に出演するしかないそうです。
 
そんななか、金持ちでも何でもない家庭に生まれたマニーシュは、
18歳のときに観たボリウッド作品でダンスに魅入られます。
独学でストリートダンスのトレーニングを積み、ダンスで身を立てたいと考える。
 
タクシー運転手の父親は、その仕事を息子に継がせる気はないから、
必死で金を工面して大学に進学させ、良い仕事に就いてほしいと思っています。
なのに息子はダンサーになりたいと言う。
ダンスで稼げるわけがないと母親も思っているし、それはいたって普通の考え。
マニーシュには妹もいて、金がなければ嫁がせることもできないのです。
 
マニーシュは通いはじめたダンススクールでクラシックバレエの素晴らしさを知りますが、
ダンスはダンスでもバレエダンサーなんてインドではありえないぐらい珍しいこと。
だけど、結局は家族みんなでマニーシュを応援します。
 
スクールの講師を務めるイスラエル系アメリカ人のイェフダ・マオールは、
彼に素質を感じてプロのダンサーになれる道を探します。
なにしろダンスを始めたのが18歳とは遅すぎて、時間がありません。
絶望的な気持ちになることもあるけれど、マニーシュもイェフダもあきらめない。
 
人間、信念を持って続ければなんとかなるのだと思わされます。
夢が叶った人だからこうして映画になる。
夢破れた人だっていっぱいいるはずだけど、夢を失わずにいたいもの。
 
夢を失いかけている人に観てほしい作品です。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』

2024年11月30日 | 映画(か行)
『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』(原題:Gladiator II)
監督:リドリー・スコット
出演:ポール・メスカル,デンゼル・ワシントン,ペドロ・パスカル,コニー・ニールセン,ジョセフ・クイン,フレッド・ヘッキンジャー,
   リオル・ラズ,デレク・ジャコビ,ティム・マキナニー,ロリー・マッキャン,ピーター・メンサー,マット・ルーカス他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて、IMAXレーザーGT版を鑑賞しました。
 
リドリー・スコット監督の『グラディエーター』(2000)から四半世紀近く経ちました。
あくまでもリヴァー・フェニックスの弟としか認識していなかったホアキン・フェニックスが、
あの作品で怪演を見せて一流役者の仲間入り。
いまや“ジョーカー”といえば彼だし、今はもう兄ちゃんが誰かすら知らない人も多いでしょう。
 
で、なんでこんなに年月が経ってから続編をつくるねんという疑問が先に立つ。
87歳になったスコット監督にこんな超大作を撮る元気がまだあるとは。
最期に派手なやつをぶちかまそうと思ったのかしらと邪推しましたが、いやはやお見それしました。
 
前作の登場人物たちは死んでいますから、ラッセル・クロウもホアキンも出てこない。
ただ、たまに映し出される前作のシーンを観ると、ラッセル、太ったなぁと思うばかり。
前作から引き続き登場しているのは、ラッセル演じるマキシマスの恋人ルッシラ役だったコニー・ニールセン
歳を取ったとはいえ、同じ役で美しいまま四半世紀ぶりの続編に出られるのは凄いですね。
 
マキシマスとルッシラの間に生まれたルシアスは、ローマ皇帝の血を引く者ゆえに命を狙われるだろう。
わが子を危険にさらしたくないと、ルッシラはルシアスの身分を伏せて安全な土地へと送り込む。
生きてまた会える日が来るかどうかもわからないまま離ればなれとなった母子。
 
亡命したルシアスがハンノという名前で暮らしていたのはヌミディア。
妻アリサットと共に平穏に暮らしていたが、ある日、ヌミディアにもローマ軍が侵攻する。
ヌミディアを渡してなるものかとハンノたちは応戦するが、
ローマ軍を統率する将軍アカシウスに太刀打ちできずに敗北。
しかもアリサットはアカシウスによって放たれた矢に射られて死んでしまう。
 
ハンノをはじめとするヌミディアの人々は蛮族と見なされてローマで投獄されるが、
現ローマ皇帝の余興に出場する剣闘士“グラディエーター”を探す奴隷商人マクリヌスがハンノに目を留める。
兄弟皇帝ゲタとカラカラが用意した剣闘士と戦ったハンノは、観客の予想を裏切って次々に勝利を収める。
 
ハンノがマクリヌスに従った理由はただひとつ、アカシウスに復讐するため。
しかしアカシウスは独裁政治を進めるゲタとカラカラを亡き者にしようと謀反を企てていた。
アカシウスを悪人と信じるハンノがそんなことに気づく由もない。
 
ところが闘技場でハンノを見たルッシラがハンノこそ別れた息子ルシアスだと気づく。
今はアカシウスの妻であるルッシラは、ルシアスを救出してほしいとアカシウスに頼み込み……。
 
予告編を観たとき、どうして主演がポール・メスカルなのだろうと思いました。
だって彼といえば今春観た『異人たち』で、優しく穏やかなイメージしかなかったから。
『異人たち』は今年観たなかでベスト10に入れたいぐらい好きだけど、
それは作品として好きなだけで、ポール・メスカルがタイプなわけじゃあない。
だから、イマイチな結果に終わるのではないかと思っていたら、めっちゃカッコよかった。
 
アカシウス役のペドロ・パスカルの顔が最初は悪人にしか見えなかったのに、
侵攻は極悪兄弟皇帝の命令に従わざるをなかっただけで、本当は侠気あって信頼できる奴。
愛する妻と尊敬するマキシマスの間に息子がいたことも知っていて、なんとかルシアスを逃がそうとします。
 
とてもよかったのは、負傷したグラディエーターたちの手当をする医者ラヴィ。
彼役のアレクサンダー・カリムはテレビドラマ中心の俳優らしくて、
今までに見たことはないし、今後出演していても素顔ではわかる自信もないけれど、
ハンノ=ルシアスだと知る前からハンノのことを気にかけ、ふたりで会話する様子がとてもよかった。
 
デンゼル・ワシントン演じるマクリヌスは結局どうしたかったのか。
元は自身もグラディエーターだったという彼は這い上がって頂点に立つことを夢見る。
対するルシアスは、誰もが法に守られつつ安心して暮らせることを夢見る。
後者が皇帝だったならばどこの世界も丸く収まるはずだけど、
これまで虐げられてきた前者がそれで納得するのは難しいだろうとも思えます。
 
ひとつひそかにウケてしまったのは、あんなにも母親を拒絶していたルシアスが
180度態度を変えて「お母さん!」となるところですかね。(^^;
 
「赦す」ということ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『国境ナイトクルージング』

2024年11月23日 | 映画(か行)
『国境ナイトクルージング』(原題:燃冬)
監督:アンソニー・チェン
出演:チョウ・ドンユイ,リウ・ハオラン,チュー・チューシャオ他
 
なんばパークスシネマにて。
シンガポール出身のアンソニー・チェン監督による中国/シンガポール作品。
 
北朝鮮との国境沿いにある中国、吉林省延辺朝鮮族自治州に位置する延吉市。
友人の結婚式に出席するため上海からやってきた青年ハオフォン(リウ・ハオラン)は、
時間をつぶすために観光ツアーに参加、ガイドのナナ(チョウ・ドンユイ)と出会う。
 
土産物店で買い物しようとしたさいに、スマホがないことに気づいて焦るハオフォン。
身ひとつでツアーに参加したものだから、スマホがなければ何もできない。
ナナはあまり手持ちがないけれどと言いつつ、ハオフォンに金を貸してくれる。
 
ハオフォンの滞在先のホテル前までナナと共に歩いてお別れとなるはずが、ナナから食事に誘われ、
行ってみるとそこにはナナの男友だちで料理人のシャオ(チュー・チューシャオ)もいた。
シャオとナナの案内で延吉を見てまわることになったハオフォンは……。
 
ハオフォンは良い大学を出て金融関係の会社に勤めるエリートで、
ナナたちには一生買えないような高価な腕時計も持っている。
しかし何があったのか表情は暗く、時折死ぬことも考えている様子。
ナナはフィギュアスケートの選手だったようで、怪我で選手生命を絶たれたらしい。
シャオがいちばん能天気に見えますが、延吉から出たことのない朝鮮族
朝鮮族の歴史を私はほとんど知りませんが、映画の中に出てくる彼らはたいてい悲惨です。
 
シャオはナナに片想いしているから、ハオフォンの登場は決して嬉しくないのでしょうが、
やっかみの気持ちをあらわにすることなどないイイ奴で、
それどころかハオフォンに延吉を楽しんでもらおうと案内を買って出ます。
 
ハオフォンは余裕のある生活をしているし、シャオとナナはそうとは言えずとも自由に生きている。
けれどもそれぞれに辛い過去や表現しようのない苦しさ、誰にも言えない悩みがあって、
それを抑えながらどうにかこうにか毎日を送っている。
全編を通して伝わってくる切なさがとても好きでした。
 
いわばこれも「芥川賞的」となるのでしょうが、私にとっては胸を打つ作品でした。
チョウ・ドンユイ主演の作品は『ソウルメイト/七月と安生』(2016)といい『少年の君』(2019)といい、たまらない。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『カッティ 刃物と水道管』

2024年11月16日 | 映画(か行)
『カッティ 刃物と水道管』(原題:Kaththi)
監督:A・R・ムルガダース
出演:ヴィジャイ,サマンタ,ニール・ニティン・ムケーシュ,サティーシュ他
 
前日観た5回目の『JUNG KOOK: I AM STILL』がこの日で上映終了。
再び109シネマズ大阪エキスポシティに行きたくなるところ、
こんなにジョングクに入れ込んでいてはいかんと思い直し、塚口サンサン劇場へ。
 
ヴィジャイ主演、ちょうど10年前の2014年のタミル語作品。
このときは「若大将」と呼ばれていたヴィジャイも今は50歳。
ずっと「大将」であることは変わらないようです。
ヴィジャイとラジニカーントはタミル語映画界で興行収入のトップを競い合うスターらしい。
 
その監督A・R・ムルガダースがそれより前に同じくヴィジャイを主演に起用して撮ったのが本作。
 
コルカタの刑務所に収監されていた大泥棒の“カッティ(=「刃物」の意)”ことカディルは、
脱走した囚人の逃走経路を刑務所長から相談されて解き明かしてみせるが、そのついでに自分が脱獄
刑務所内は騒然とするも、カディルは上手く逃げおおせて行方がわからず。
 
親友ラヴィの協力を得て、まずチェンナイへと渡り、その後バンコクへ高飛びするつもり。
ラヴィは抜かりなくチケットを手配し、カディルと共にすぐ出発しようとする。
ところが、空港でタイプの女性アンキタと出会ってひと目惚れ。
なんとカディルはチケットを破り捨て、アンキタとデートにこぎつけてみせると自信満々。
 
その夜、橋の上にいたカディルとラヴィは、下を走っていた車の運転手が銃撃されるのを目撃。
慌てて駆けつけてみると、その運転手がカディルと瓜二つ。
咄嗟にこの男性を自分の身代わりにして脱獄囚に仕立て上げることを思いつく。
病院で目覚めたこの男ジーヴァは、傷の手当てはされているものの手錠を嵌められていることにビックリ。
 
アンキタには見事に振られたカディルはいよいよ本当にバンコクに行くはずが、
ジーヴァがターヌートゥという村の出身であり、農民たちを守るべく戦っていることを知る。
ターヌートゥのみならず、地方の村の水源は多国籍企業に狙われて困窮を極め、
ここでは生きて行けないと若者たちは村を去るから、残されているのは老人ばかり。
ジーヴァは老人たちが安心して暮らせるよう、老人ホームも建てていた。
 
この村の乗っ取りを狙う多国籍企業のオーナー、シラグを相手にジーヴァは訴訟を起こしている。
まもなく裁判が開かれるらしく、シラグはジーヴァのなりすましカディルを買収しようとする。
一旦は金を受け取って逃げようとするカディルだったが、農民たちに会って気持ちが変わり……。
 
ボリウッドらしく170分の長尺。踊りのシーンもそれなりにあるけれど、序盤はちょっと退屈。
けれどカディルが農民たちのリーダーとなって戦う決心をしたところからはすごくいい。
 
そっくりさんの代わりに刑務所へ送り込まれたことを知ったジーヴァが、
冒頭カディルのせいで脱獄に失敗した囚人にそそのかされて逃走し、村を目指します。
善人だけど弱っちいジーヴァと、喧嘩にめっぽう強いカディル。
シラグが50人の手下を送り込んでジーヴァ(のふりをしているカディル)を殺そうとするも、
ラヴィの絶妙な助けによって全員なぎ倒しちゃうのですから、最高。
 
村を潰してでも金を儲けたい多国籍企業と、自分の国のことなのに田舎には興味がない都会の人。
メディアに訴えようとしても、集団自殺でもしないかぎり取り上げてもらえない。
命懸けで水を止める老人たちを見て、都会の人も初めて田舎の村のことを考えはじめます。
 
「多国籍企業による環境破壊問題と農民の窮状、それを報じない報道機関の責任を世に問うた」として、
批評家にも高く評価されつつ、きっちりと娯楽作品。さすがです。
 
余談ですが、ものすごく驚いたこと。
本作冒頭のコルカタのシーンで音声が二重に聞こえます。
私の耳がおかしいんかと思ったら、どうも吹替の音声とかぶっていてしかも微妙にずれている。
おそらくテルグ語かヒンディー語か、どれかわからんけどインドの何語かなのでしょう。
吹替版の作り方どんだけ雑やねんと思って笑ってしまいました。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする