夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

ただし、山崎努の台詞は

2003年10月17日 | 映画(番外編:映画と邦題・字幕・台詞)
前述の『13階段』について。

被害者に殺意を抱いたことを思い悩む反町に対し、
山崎が語ったこの台詞はよかったと思うので抜粋。

殺してやりたいと思う瞬間は誰にでもある。
しかし、みんな一歩手前で踏みとどまる。
なぜだと思う?
それは、人間の本来持っている力だ。
良心と言ってもいい。
人間の命の重さが踏みとどまらせる。
「殺意」と「殺人」はちがうんだ。

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『13階段』

2003年10月17日 | 映画(さ行)
『13階段』
監督:長澤雅彦
出演:反町隆史,山崎努,笑福亭鶴瓶,大杉漣,宮藤官九郎,
   井川比呂志,田中麗奈,寺島進他

刑の執行というものは、米国では受刑者への制裁・復讐の意味が大きく、
日本では教育・更正を意図している。
しかし、出所後の再犯率は高く、死刑制度の存続を望む声は日本のほうが高い。
(冒頭シーンより)

数年前、からんできた相手を振り払った拍子に
相手がテーブルで頭を強打。
過失致死罪に問われて3年の実刑判決を受けた三上(反町)。
仮釈放されて実家に戻る。

被害者への慰謝料の支払いのせいで、父の営む小さな会社は火の車。
しかし、父は息子を責めはしない。

そこへ、刑務官の南郷(山崎)がやってくる。
まもなく死刑を執行されるであろう樹原(宮藤)という囚人が
冤罪であると信じている南郷は、
真犯人をつきとめるため、調査を手伝ってほしいと三上に頼む。

成功報酬として数千万が支払われるのだと弁護士の杉原(鶴瓶)は話すが、
依頼人については教えてくれない。
いったい、誰が何の目的で樹原の冤罪を晴らそうとしているのか。

保護司夫妻を惨殺した犯人とされる樹原。
事件のショックでその前後数時間の記憶がない。
思いだしたことは、事件当夜、自分が「階段」を上っていたということ。
その階段はどこにあるのか。

2時間強を飽きることなく見せてくれますが、
死刑の是非を提起したように思わせながら、
これは「死刑はあかん」というところからまず始まった作品ではないかと。
自分(監督)の思いは決まっているのに
観る人にどちらか考えさせる「ふり」(言葉は悪いけれど)をしたとき、
それはとても説教くさくなると私は思っています。

「ふり」しておいて、
「殺されて当然の人はいない」
「生きて償うしかないんだ」なんて言われたら?
これって、身内に被害者がいたら、
ものすごく神経を逆なでされるんじゃないか思いました。

決まっているなら、
たとえ反対意見があってもズバッと言われたほうが
こっちは考えてしまうのです。

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