夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『16歳の合衆国』

2005年04月08日 | 映画(さ行)
『16歳の合衆国』(原題:The United States of Leland)
監督:マシュー・ライアン・ホーグ
出演:ライアン・ゴズリング,ドン・チードル,クリス・クライン他

監督であるマシュー・ライアン・ホーグは
ロサンゼルスの少年院の元教師。
その体験を基に執筆した脚本に興味を示す人は多かったものの、
テーマがヘヴィーすぎて、みんな尻ごみ。
それが、『ユージュアル・サスペクツ』(1995)や
『アメリカン・ビューティー』(1999)でお馴染みの
ケヴィン・スペイシーの目に止まり、映画化。
スペイシーは主人公の父親役で登場しています。

平凡な高校生リーランドが、ある夏の日、
恋人ベッキーの弟で、知的障害のあるライアンを刺殺する。

罪のない知的障害児を、16歳の高校生が殺した事件に町は騒然とする。
逮捕され、矯正施設に入れられるリーランド。
しかし、事件については一切語ろうとしない。
作家志望で、施設の教師を務めるパールは、
リーランドの父親が著名な作家であることを知り、興味を持つ。

少年たちが自室へ筆記用具を持ち込むことは禁じられているのだが、
リーランドはパールに「書きたいことがあるので、
ノートを持って帰りたい」と頼む。
“The United States Of Leland”(=リーランドの合衆国)と書かれた
彼のノートを見たパールは、リーランドにこっそりノートと鉛筆を手渡す。

この事件をネタにノンフィクションを書けば売れるはずだという下心もあり、
施設の規則を破って、パールはリーランドと教室外で話す時間を設ける。
事件以外のことをぽつぽつと語り始めるリーランド。

主人公のリーランドを演じるのは
現在公開中の『きみに読む物語』も評判のライアン・ゴズリング。
線が細くて、憂えた目が非常に印象的です。
パールを演じるドン・チードルは、『オーシャンズ11』(2001)のバシャー役の俳優さん。

実際のところ、この作品がいいのかどうか、私にはよくわかりません。
でも、観ているときも観終わってからも
ずっとリーランドの気持ちを考えてしまいます。

高校生が人を殺す。
その原因として、一般的に考えられそうなものは
この作品にも全部と言っていいぐらい出てきます。
家庭環境であったり、ドラッグだったり。
でも、ほんとはどうなの、加害者は何を考えているの?と、
ふたりの会話を聞きながら、リーランドの心をわかりたいという思いが強くなります。

人生は、その総和よりも、断片のほうが大きいこともある。
重い言葉。

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