夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ロスト・メモリー』

2013年09月08日 | 映画(ら行)
『ロスト・メモリー』(原題:Du Hast Es Versprochen)
監督:アレックス・シュミット
出演:ミナ・タンデル,ラウラ・デ・ブーア,カタリナ・タルバッハ,
   マックス・リーメルト,クレーメンス・シック,トーマス・サルバッハー他

もはや珍しくなくなってしまった「TSUTAYA独占レンタル作品」
以前は未公開のお値打ちオモシロ作品が主だと思っていたのですが、
最近はカルチュア・パブリッシャーズの勢力が広がっているのか、
大々的に公開された作品でもTSUTAYA独占となっているのをよく見かけます。

そんなTSUTAYA独占作品のうち、わりとマニアックと言えそうな作品を何本か続けて観ました。

まずは7月に公開されたばかりのドイツ作品。レンタル開始は8月末から。
欧州の数々の映画祭にノミネートされ、評価が高いようです。

医師のハンナは、誕生日に夫のヨハネスと食事へ。
プレゼントにケーキにと、準備に抜かりのない祝いの席をヨハネスは設けるが、
数日前に彼が若い女性と浮気したことをハンナは知っている。
興醒めしていたところへ病院から緊急連絡が。
ヨハネスを残してただちに病院へ向かうことに。

急患は睡眠薬を服用して倒れていたという女性クラリッサ。
カルテを見たハンナは、彼女が幼い頃にともに夏休みを過ごした当時の親友だと知る。
目覚めたクラリッサは、夜通し付き添ってくれたハンナを見て感激。
25年ぶりの再会にふたりは喜び合う。

快復したクラリッサにハンナは思わず家庭の愚痴をこぼす。
昔過ごした島へ旅行に行こうとクラリッサから誘われて、
ハンナは愛娘のレアを連れ、クラリッサと3人で懐かしい島へ渡る。
しかし、楽しかった思い出がいっぱいのはずの島には不気味な空気が漂っている。
貸別荘の管理人ティムは、ハンナに「来なけりゃよかったのに」とつぶやく。

気にも留めずにクラリッサが持ってきたアルバムを覗くと、
ハンナとクラリッサ以外にもう1人、常に写っている少女がいる。
彼女のことが思い出せず、クラリッサに尋ねると、
「本当に忘れたのか、いつも一緒に遊んだマリアだ」と。

マリアは近所の魚屋を営むガブリエラの娘で、
神隠しにあったかのように消えてしまったらしいと、島の親切な青年マーコスから聞く。

徐々にマリアのことを思い出すハンナ。
すると、行く先々で亡霊のようにマリアの姿を見かけるようになり……。

オカルトっぽい展開に、終始ドキドキ。
けれどもそのオカルト現象もきちんと説明が付き、不可解な部分はなし。
とてもよく練り上げられた脚本だと思います。

終わってみれば主役のはずのハンナにまったく共感できず、
いつしか犯人のほうを応援していたことに気づきます。
幼い頃の悪ふざけ、いいえ、立派ないじめを「無邪気だったから」と言い訳するハンナに、
私のいちばん嫌いな「悪気はなかった」が見えて、
それは自業自得、因果応報でしょと言いたくなっちゃいました。

後味は良いとは言えません。でもこうあってほしいと思わず願う結果でした。
無邪気と無神経は紙一重。無邪気が邪悪そのものであることも。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする