『大統領の料理人』(原題:Les Saveurs du Palais)
監督:クリスチャン・ヴァンサン
出演:カトリーヌ・フロ,ジャン・ドルメッソン,イポリット・ジラルド,
アルチュール・デュポン,ジャン=マルク・ルロ,アルリ・ホベール他
3本ハシゴの3本目、梅田ガーデンシネマにて。
この日のハシゴはこれが本命。絶対観たいと思っていた1本です。
ただ、予告編から軽めのコメディを想像していたら、
もっと真面目でしんみりさせられる話でした。
20世紀後半、フランスはミッテラン大統領の時代。
片田舎で農場を営む中年女性料理人のオルタンス・ラボリは、
ある日突然、パリのエリゼ宮(=大統領官邸)より呼び出しを受ける。
オルタンスには何が何だかよくわからないが、
かつて名刺交換をしただけのジョエル・ロブションの推薦により、
大統領専属の料理人に抜擢されたのだと言う。
自分には素朴な料理しかつくれない、そんな大役はとても無理だと断るが、
大統領が望むのはまさにそんな料理だと請われ、引き受けることに。
パリへ引っ越してきたオルタンス。
補佐として彼女に付くパティシエのニコラと給仕長のジャンは非常に協力的だが、
主厨房を通れば彼女を見下した態度がありありの料理人たち。
前途多難とおぼしきなか、オルタンスの料理に大統領は魅入られた様子。
彼女は自分の信念を曲げることなく料理に臨むのだったが……。
終始パリが舞台かと思いきや、最初は南極基地のシーンから。
オーストラリアから取材にやってきた記者とカメラマンが、
男だらけの中に女性料理人がいるのを発見、興味を持ちます。
彼女がかつて大統領の料理人であったことを知って取材を試みますが、
オルタンスは過去の話はしたくないのかつれない態度。
その時点で、大統領の料理人時代に苦い思い出があったことがわかります。
いくら大統領が彼女の料理を気に入っても、形式や規律を重んじる世界。
大統領の健康を気遣う料理を出すように細かく指示されたり、
食材の高さを指摘されたり、知人から食材を買ったことを非難されたり。
信念と熱意だけではやり通せなかった無念が滲みます。
南極基地の食事のシーンで思い出すのは、もちろん『南極料理人』(2009)。
思うように食材が手に入らないこんな場所で、
食事を楽しみにする仲間たちのために料理をして、
みんなから愛され、自信を取り戻すのがいいですね。
ちなみに、好感度抜群の給仕長役のジャン=マルク・ルロは、
ブルゴーニュのワイン醸造所の本物のオーナー。
作品中ワインの相談をするソムリエールはこれまた彼の本当の奥様だそうです。
料理やワインの話がより生き生きとしたものになったのは、
このふたりのおかげもあるのかもしれません。
オルタンス役のカトリーヌ・フロはあいかわらず素敵なおばさま。
何回でも観たくなる『女はみんな生きている』(2001)のせいで、
彼女を見ると反射的にフロマージュ・ブランが頭をよぎります。
カリッとトーストしたパンにバターを塗って、山盛りのトリュフ。
数々のおいしそうな料理のなか、これがいちばん旨そうでした。
美味しいごはんで元気に。
監督:クリスチャン・ヴァンサン
出演:カトリーヌ・フロ,ジャン・ドルメッソン,イポリット・ジラルド,
アルチュール・デュポン,ジャン=マルク・ルロ,アルリ・ホベール他
3本ハシゴの3本目、梅田ガーデンシネマにて。
この日のハシゴはこれが本命。絶対観たいと思っていた1本です。
ただ、予告編から軽めのコメディを想像していたら、
もっと真面目でしんみりさせられる話でした。
20世紀後半、フランスはミッテラン大統領の時代。
片田舎で農場を営む中年女性料理人のオルタンス・ラボリは、
ある日突然、パリのエリゼ宮(=大統領官邸)より呼び出しを受ける。
オルタンスには何が何だかよくわからないが、
かつて名刺交換をしただけのジョエル・ロブションの推薦により、
大統領専属の料理人に抜擢されたのだと言う。
自分には素朴な料理しかつくれない、そんな大役はとても無理だと断るが、
大統領が望むのはまさにそんな料理だと請われ、引き受けることに。
パリへ引っ越してきたオルタンス。
補佐として彼女に付くパティシエのニコラと給仕長のジャンは非常に協力的だが、
主厨房を通れば彼女を見下した態度がありありの料理人たち。
前途多難とおぼしきなか、オルタンスの料理に大統領は魅入られた様子。
彼女は自分の信念を曲げることなく料理に臨むのだったが……。
終始パリが舞台かと思いきや、最初は南極基地のシーンから。
オーストラリアから取材にやってきた記者とカメラマンが、
男だらけの中に女性料理人がいるのを発見、興味を持ちます。
彼女がかつて大統領の料理人であったことを知って取材を試みますが、
オルタンスは過去の話はしたくないのかつれない態度。
その時点で、大統領の料理人時代に苦い思い出があったことがわかります。
いくら大統領が彼女の料理を気に入っても、形式や規律を重んじる世界。
大統領の健康を気遣う料理を出すように細かく指示されたり、
食材の高さを指摘されたり、知人から食材を買ったことを非難されたり。
信念と熱意だけではやり通せなかった無念が滲みます。
南極基地の食事のシーンで思い出すのは、もちろん『南極料理人』(2009)。
思うように食材が手に入らないこんな場所で、
食事を楽しみにする仲間たちのために料理をして、
みんなから愛され、自信を取り戻すのがいいですね。
ちなみに、好感度抜群の給仕長役のジャン=マルク・ルロは、
ブルゴーニュのワイン醸造所の本物のオーナー。
作品中ワインの相談をするソムリエールはこれまた彼の本当の奥様だそうです。
料理やワインの話がより生き生きとしたものになったのは、
このふたりのおかげもあるのかもしれません。
オルタンス役のカトリーヌ・フロはあいかわらず素敵なおばさま。
何回でも観たくなる『女はみんな生きている』(2001)のせいで、
彼女を見ると反射的にフロマージュ・ブランが頭をよぎります。
カリッとトーストしたパンにバターを塗って、山盛りのトリュフ。
数々のおいしそうな料理のなか、これがいちばん旨そうでした。
美味しいごはんで元気に。