『ゼロタウン 始まりの地』(原題:Zaytoun)
監督:エラン・リクリス
出演:スティーヴン・ドーフ,アブダラ・エル・アカル,アリス・タグリオーニ,
ロア・ノフィ,アリ・スリマン,アシュラフ・バルフム他
これも8月末にレンタル開始となった「TSUTAYA独占レンタル作品」。
イギリス/イスラエル作品で、日本では劇場未公開ですが、
2012年のトロント国際映画祭では、観客賞の第3位に選ばれています。
ちなみに第1位は『世界にひとつのプレイブック』、第2位は『アルゴ』。
いずれも大好きな作品でしたが、それに次ぐだけのことはありました。
1982年、各国軍隊や各宗教派がせめぎ合うレバノン。
PLO(パレスチナ解放機構)による砲撃を受け、イスラエルは侵攻準備に入る。
サッカーが大好きでジーコを英雄視するパレスチナの少年ファヘッドは、
ある日、民兵の訓練所近くにイスラエル軍機が墜落するのを目撃。
上官らや仲間とともに現場に駆けつける。
倒れていた男を捕虜として扱うことに決め、監禁。
PLOの上層部が拷問するも、決して口を割ろうとしない。
子どもたちだけで見張りを言いつかった日、
男の態度に腹を立てたファヘッドは、男の尻を撃ってしまう。
男は病院に運ばれ、余計なことをしてくれたと上官から小言を喰らうファヘッド。
退院して再び監禁された男は、ファヘッドに取引を持ちかける。
もしもここから出してくれたら、おまえの行きたいところまで連れて行ってやると。
すぐには取引に応じなかったファヘッドだが、空爆を受けて父親が死亡。
父親がいつか帰ることを望んでいたふるさとの町“バダド・エル・シェイク”へ、
どうしても行きたいと思ったファヘッドは男を脱出させることに。
こうしてファヘッドと男、のちに名前を明かすヨニ・ドレヴ少佐の旅が始まる。
ヨニが「テロリスト養成所」と皮肉る民兵の訓練所にいたファヘッドは、
銃を撃つのはお茶の子さいさい、車の運転ももちろんのこと、
けがに劇的な効果をあらわす民間治療法と、何でも知っています。
脱出させてからもヨニに掛けられた手錠をなかなか外そうとせず、
憎まれ口ばかり叩いているファヘッドが大事に抱えて歩く、まだ小さなオリーブの木。
アッバス・キアロスタミ監督の『オリーブの林をぬけて』(1994)を観たときは、
まだ少々若かったこともあってピンと来なかったオリーブの意味。
本作でオリーブを抱えて戦火の中を進もうとするファヘッドに胸を打たれます。
本人は、父親が育てたオリーブを故郷に植えたい一心なのでしょうが、
それが平和の象徴といわれるものなのですから。
パレスチナ独自の地図を差し出されても、その地図では故郷の町は探せません。
「パレスチナなんて国はそもそもないんだ」と最初は呆れ顔のヨニ。
そのヨニがきっちりとファヘッドとの約束を果たし、
別れるときの会話と抱き合うシーンに涙が出ます。
最近キワモノ的な役も見られたスティーヴン・ドーフは、やっぱりこっちのほうがいい。
劇場未公開だったのが惜しまれる佳作でした。
監督:エラン・リクリス
出演:スティーヴン・ドーフ,アブダラ・エル・アカル,アリス・タグリオーニ,
ロア・ノフィ,アリ・スリマン,アシュラフ・バルフム他
これも8月末にレンタル開始となった「TSUTAYA独占レンタル作品」。
イギリス/イスラエル作品で、日本では劇場未公開ですが、
2012年のトロント国際映画祭では、観客賞の第3位に選ばれています。
ちなみに第1位は『世界にひとつのプレイブック』、第2位は『アルゴ』。
いずれも大好きな作品でしたが、それに次ぐだけのことはありました。
1982年、各国軍隊や各宗教派がせめぎ合うレバノン。
PLO(パレスチナ解放機構)による砲撃を受け、イスラエルは侵攻準備に入る。
サッカーが大好きでジーコを英雄視するパレスチナの少年ファヘッドは、
ある日、民兵の訓練所近くにイスラエル軍機が墜落するのを目撃。
上官らや仲間とともに現場に駆けつける。
倒れていた男を捕虜として扱うことに決め、監禁。
PLOの上層部が拷問するも、決して口を割ろうとしない。
子どもたちだけで見張りを言いつかった日、
男の態度に腹を立てたファヘッドは、男の尻を撃ってしまう。
男は病院に運ばれ、余計なことをしてくれたと上官から小言を喰らうファヘッド。
退院して再び監禁された男は、ファヘッドに取引を持ちかける。
もしもここから出してくれたら、おまえの行きたいところまで連れて行ってやると。
すぐには取引に応じなかったファヘッドだが、空爆を受けて父親が死亡。
父親がいつか帰ることを望んでいたふるさとの町“バダド・エル・シェイク”へ、
どうしても行きたいと思ったファヘッドは男を脱出させることに。
こうしてファヘッドと男、のちに名前を明かすヨニ・ドレヴ少佐の旅が始まる。
ヨニが「テロリスト養成所」と皮肉る民兵の訓練所にいたファヘッドは、
銃を撃つのはお茶の子さいさい、車の運転ももちろんのこと、
けがに劇的な効果をあらわす民間治療法と、何でも知っています。
脱出させてからもヨニに掛けられた手錠をなかなか外そうとせず、
憎まれ口ばかり叩いているファヘッドが大事に抱えて歩く、まだ小さなオリーブの木。
アッバス・キアロスタミ監督の『オリーブの林をぬけて』(1994)を観たときは、
まだ少々若かったこともあってピンと来なかったオリーブの意味。
本作でオリーブを抱えて戦火の中を進もうとするファヘッドに胸を打たれます。
本人は、父親が育てたオリーブを故郷に植えたい一心なのでしょうが、
それが平和の象徴といわれるものなのですから。
パレスチナ独自の地図を差し出されても、その地図では故郷の町は探せません。
「パレスチナなんて国はそもそもないんだ」と最初は呆れ顔のヨニ。
そのヨニがきっちりとファヘッドとの約束を果たし、
別れるときの会話と抱き合うシーンに涙が出ます。
最近キワモノ的な役も見られたスティーヴン・ドーフは、やっぱりこっちのほうがいい。
劇場未公開だったのが惜しまれる佳作でした。