『大統領の執事の涙』(原題:Lee Daniels' The Butler)
監督:リー・ダニエルズ
出演:フォレスト・ウィテカー,オプラ・ウィンフリー,キューバ・グッディング・Jr.,
デヴィッド・オイェロウォ,レニー・クラヴィッツ,ヤヤ・アラフィア他
109シネマズ箕面にて、前述の『土竜の唄 潜入捜査官 REIJI』とハシゴ。
ここ数年、非常に多いような気がする人種差別を取り上げた作品。
特に心に残っているのは『ヘルプ 心がつなぐストーリー』(2011)。
奴隷制を巡っては『リンカーン』(2012)、ヴァンパイアものだけど『リンカーン/秘密の書』(2012)も。
本作もそんなブームに乗ったうちの1作品ではありますが、
20世紀にどういった人種差別があり、そこに何が、誰が変化をもたらし、
今のアメリカになって行ったのかを学習するのにうってつけの作品かと。
綿花を栽培する農園の奴隷の息子として生まれ育ったセシル。
雇い主の家族によって母親を手込めにされ、
反抗心を見せた父親はセシルの目前で撃たれて死亡、母親は廃人に。
セシルのことを案じた女主人は、セシルを邸内に招き入れ、
“ハウス・ニガー”(白人の屋敷の外で働く“フィールド・ニガー”に対し、
屋敷に住み込んで身の回りの世話をする黒人奴隷のこと)の職を与える。
セシルにとっては、綿花の栽培よりも好きだと思える数々の仕事。
主人一家のためにお茶を入れたり食事を運んだり、靴を磨いたり。
セシルは仕事をきっちりと覚えて真面目にこなす。
やがて今が出て行き時だと、女主人に別れを告げる。
屋敷を出てはみたものの、行くあても金もない。
空腹を我慢できずに忍び込んだホテルで情けをかけられ、給仕として採用される。
客同士の話は聞かない。政治に関心を持たない。空気のごとき存在に。
白人の前では白人の前用の顔を。それを忠実に守るセシル。
そんな仕事ぶりが認められ、ワシントンD.C.の一流ホテルからお呼びがかかる。
田舎のホテルとは大違いの高級ホテルに移ってからも、
そつなく給仕を務めるセシルに、今度はホワイトハウスに来ないかと。
大躍進に、最初のホテル時代に知り合って結婚した妻グロリアも大喜びで……。
ずいぶん若い頃のセシルから老いたセシルまで、
わが家では「鶴瓶」と呼んでいるフォレスト・ウィテカーが好演。似てません?
メイクに頼った感はなく、歩き方で年齢が表現されています。
こういう作品を観るたびに、世界史の教科書で勉強した程度では
何も頭の中に残っていないし、わかっていなかったんだなぁと痛感。
セシルが仕えてきた歴代の大統領として登場するのは、
アイゼンハワー(ロビン・ウィリアムズ)、ケネディ(ジェームズ・マースデン)、
ジョンソン(リーヴ・シュレイバー)、ニクソン(ジョン・キューザック)、
レーガン夫妻(アラン・リックマン&ジェーン・フォンダ)。
世間知らずのお坊ちゃんだと思われていたケネディが、
人種差別に心を痛めて人種差別法案の撤廃を叫んだのちに撃たれる。
徹底した非暴力主義で人種差別をなくそうとしたキング牧師もやはり撃たれる。
こういった中でも少しずつ拡大していった公民権運動がわかりやすく描かれています。
執事である父親セシルのことを、白人にへつらう黒人として恥じる長男ルイス。
しかし、そんなルイスに、キング牧師は「執事は立派な仕事だ」と言います。
彼ら(執事)は、真面目に仕事をすることで、白人の黒人に対する紋切り型イメージを変えさせた。
彼らは自身で意識をしていないとしても、闘っているのだと。
黒人であり、なおかつゲイであることをカミングアウトしているリー・ダニエルズ監督。
そんな彼にこんな静かに力強い作品を見せられたら、生きる力になります。
監督:リー・ダニエルズ
出演:フォレスト・ウィテカー,オプラ・ウィンフリー,キューバ・グッディング・Jr.,
デヴィッド・オイェロウォ,レニー・クラヴィッツ,ヤヤ・アラフィア他
109シネマズ箕面にて、前述の『土竜の唄 潜入捜査官 REIJI』とハシゴ。
ここ数年、非常に多いような気がする人種差別を取り上げた作品。
特に心に残っているのは『ヘルプ 心がつなぐストーリー』(2011)。
奴隷制を巡っては『リンカーン』(2012)、ヴァンパイアものだけど『リンカーン/秘密の書』(2012)も。
本作もそんなブームに乗ったうちの1作品ではありますが、
20世紀にどういった人種差別があり、そこに何が、誰が変化をもたらし、
今のアメリカになって行ったのかを学習するのにうってつけの作品かと。
綿花を栽培する農園の奴隷の息子として生まれ育ったセシル。
雇い主の家族によって母親を手込めにされ、
反抗心を見せた父親はセシルの目前で撃たれて死亡、母親は廃人に。
セシルのことを案じた女主人は、セシルを邸内に招き入れ、
“ハウス・ニガー”(白人の屋敷の外で働く“フィールド・ニガー”に対し、
屋敷に住み込んで身の回りの世話をする黒人奴隷のこと)の職を与える。
セシルにとっては、綿花の栽培よりも好きだと思える数々の仕事。
主人一家のためにお茶を入れたり食事を運んだり、靴を磨いたり。
セシルは仕事をきっちりと覚えて真面目にこなす。
やがて今が出て行き時だと、女主人に別れを告げる。
屋敷を出てはみたものの、行くあても金もない。
空腹を我慢できずに忍び込んだホテルで情けをかけられ、給仕として採用される。
客同士の話は聞かない。政治に関心を持たない。空気のごとき存在に。
白人の前では白人の前用の顔を。それを忠実に守るセシル。
そんな仕事ぶりが認められ、ワシントンD.C.の一流ホテルからお呼びがかかる。
田舎のホテルとは大違いの高級ホテルに移ってからも、
そつなく給仕を務めるセシルに、今度はホワイトハウスに来ないかと。
大躍進に、最初のホテル時代に知り合って結婚した妻グロリアも大喜びで……。
ずいぶん若い頃のセシルから老いたセシルまで、
わが家では「鶴瓶」と呼んでいるフォレスト・ウィテカーが好演。似てません?
メイクに頼った感はなく、歩き方で年齢が表現されています。
こういう作品を観るたびに、世界史の教科書で勉強した程度では
何も頭の中に残っていないし、わかっていなかったんだなぁと痛感。
セシルが仕えてきた歴代の大統領として登場するのは、
アイゼンハワー(ロビン・ウィリアムズ)、ケネディ(ジェームズ・マースデン)、
ジョンソン(リーヴ・シュレイバー)、ニクソン(ジョン・キューザック)、
レーガン夫妻(アラン・リックマン&ジェーン・フォンダ)。
世間知らずのお坊ちゃんだと思われていたケネディが、
人種差別に心を痛めて人種差別法案の撤廃を叫んだのちに撃たれる。
徹底した非暴力主義で人種差別をなくそうとしたキング牧師もやはり撃たれる。
こういった中でも少しずつ拡大していった公民権運動がわかりやすく描かれています。
執事である父親セシルのことを、白人にへつらう黒人として恥じる長男ルイス。
しかし、そんなルイスに、キング牧師は「執事は立派な仕事だ」と言います。
彼ら(執事)は、真面目に仕事をすることで、白人の黒人に対する紋切り型イメージを変えさせた。
彼らは自身で意識をしていないとしても、闘っているのだと。
黒人であり、なおかつゲイであることをカミングアウトしているリー・ダニエルズ監督。
そんな彼にこんな静かに力強い作品を見せられたら、生きる力になります。