夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『新しき世界』

2014年02月16日 | 映画(あ行)
『新しき世界』(英題:New World)
監督:パク・フンジョン
出演:イ・ジョンジェ,チェ・ミンシク,ファン・ジョンミン,パク・ソンウン,
   ソン・ジヒョ,チュ・ジンモ,チェ・イルファ,チャン・グァン他

眼鏡が無事に見つかり、ふたたび階下のシネリーブル梅田へ。
最後列端っこ席を確保していたので、もしも眼鏡が行方不明のままだったら、
最前列に変更を依頼してみなくてはと思っていました。
見つけてくれたお姉さん、ほんとにありがとうございます。

監督は『悪魔を見た』(2010)の脚本家。
監督作としては本作が2作目、早くもハリウッドリメイクの話が出ているそうです。
この日のハシゴ3本は、1本目2本目は泣くこと必至としても、
こんな男くさいヤクザ映画にも泣かされるとは思いもよらず。し、渋すぎる。

韓国最大の犯罪組織でありながら、表向きは巨大な一般企業を装うゴールド・ムーン。
暴力団2組が手を組んで構成し、細かに分業している。
かねてから警察は目をつけているものの、
悪事の証拠を挙げるのは不十分でどうにもできない。

ゴールド・ムーンで潜入捜査を続けるソウル警察の警察官イ・ジャソン。
潜入してから8年が経過、いまや組織のナンバー2であるチョン・チョンの右腕となり、
部下はもちろんのこと、理事たちからもその存在を認められている。
しかし、終わりの見えない神経をすり減らす生活に疲れたジャソンは、
まもなく妻との間に生まれる予定の子どもためにも、一刻も早く警察に戻りたい。

そんな折り、ゴールド・ムーンの会長が事故に遭って死亡。
急死だったために、後継者が決まっていない。
後継者争いをかき回すことが有効だと考えたソウル警察は、
チョン・チョンと、チョン・チョンに敵対するイ・ジュングの双方に罠を張ることにし、
ジャソンの上司に当たるカン・ヒョンチョルがジャソンを呼び出す。

毎度今回が最後の仕事だと言われて辟易しているジャソン。
だが、断ろうにも、潜入捜査の事実を知っているのはヒョンチョルを含む数名だけ。
ジャソンはヒョンチョル抜きでは警察に戻ろうにも戻れないのだ。

チョン・チョンとジュングを潰し、ジャソンがゴールド・ムーンを乗っ取る。
この一大プロジェクトに与えられたのは“新世界”という名前。
悲痛な思いに駆られながら、ジャソンは行動するのだが……。

キャッチコピーは、「“父”への忠誠か、“兄”との絆か」。
ヤクザとしての生き方を続けるうちに、外見はもちろんのこと、
心までヤクザになってしまったような気がするジャソン。
けれども、暴力的であることだけがヤクザなわけではないでしょう。
ヤクザとして生きる前に、人としてどう生きるべきか、そう問われているように思います。

冒頭でも書いたとおり、本作に泣かされるとは思ってもみませんでした。
チョン・チョン役のファン・ジョンミンは、
風貌や声や話し方がどことなくジョン・レグイザモに似ています。
ちゃらんぽらんで軽薄そうな見た目ながら、実は冷徹なキレもの。
そして情にも厚かったことがわかる段には涙ほろり。
もともとワァワァ号泣する(特に女性が)場面ではあまり泣けない私ですが、
このチョン・チョンがいま死ぬかという状態でジャソンに掛ける言葉と、
涙を必死にこらえるジャソン役のイ・ジョンジェの表情には泣かずにいられず。

「悩むなよ。この辺で選べ。お前が生きのびるために」。
そうしてジャソンが選んだ道。

ハリウッドリメイクしたら、キャストはいかに?

〈追記〉監督が女性だと知ってぶっ飛びました。しかもデブデブの。(^^;
    こんな男くさい映画が撮れるおばちゃん監督、すげぇ。

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