夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『7番房の奇跡』

2014年02月14日 | 映画(な行)
『7番房の奇跡』(英題:Miracle in Cell No.7)
監督:イ・ファンギョン
出演:リュ・スンリョン,パク・シネ,カル・ソウォン,チョン・ジニョン,オ・ダルス,
   パク・ウォンサン,キム・ジョンテ,チョン・マンシク,キム・ギチョン他

前述の『光にふれる』でなんとも言えず温かい気持ちに。
そんなぬくぬくのまま上階にある梅田ガーデンシネマへ。
この名前の劇場で映画を観る機会もあとわずか。
退会手続きのさいにもらった招待券を使用して鑑賞。

『光にふれる』を観る前に寄っていますから、整理番号は1番。
たまには端っこでなくて真ん中で観ようと、最後列中央の席へ。
ところが、上映前に、外した眼鏡を襟もとに掛けて本を読んでいたら、
ふとした拍子に眼鏡を落としてしまいました。座席付近を探すも見当たらず。
最後列では字幕が読めないと、仕方なく最前列へ移動して。

韓国では4人に1人が観た計算になるという大ヒット作品。
絶対泣くにちがいないと思いつつ。

知的障害を抱えるヨングは、男手ひとつで娘イェスンを育ててきた。
6歳のイェスンは、精神年齢が6歳とも言える父親が大好き。
数字の記憶だけはバッチリのヨングのもと、さまざまな支払いはイェスンがしっかり把握。
ふたりの生活は裕福ではないが幸せそのもの。

ヨングとイェスンはショーウィンドウのランドセルを眺めるのが日課。
次の給料が入ったら、イェスンのランドセルを買おう。
セーラームーンのイラスト入りの黄色いランドセル。
しかし、明日になれば買えるという日に、目の前で最後の1つが買い上げられてしまう。
購入者の警察庁長官一家にヨングはすがりつくが、もちろんどうにもならない。

翌日、あのランドセルの持ち主である長官の娘がヨングの前に現れる。
「まだランドセルを売っている店を知っているよ。教えてあげる」。
そう言われてヨングは娘についていく。
先を走る娘を見失ったあと、悲鳴が聞こえてヨングは仰天。
声の場所を辿ってみると、そこには頭から血を流した娘が倒れていた。
救命措置をほどこすヨングを見た女性が変質者と勘違い。
娘は死亡し、ヨングは幼女誘拐と強姦の罪で刑務所へ。

同房となった囚人や刑務所の職員らは、ヨングの罪状を聞いて毛嫌いするが、
何が起きたのかわからないヨングは、ただただイェスンのことが心配。
イェスンに電話をかけようとして保安課長からこっぴどく殴られる。

罪状から考えれば極悪人のはずのヨング。
しかし、同房の兄貴分で元ヤクザのヤンホは、
敵対する囚人から刺されそうになったところをヨングに助けられる。
代わりに大けがをしたヨング。
また、刑務所内の火事のさいには、保安課長がヨングに救われる。
医師の「あいつ、本当に誘拐犯ですか。誘拐されたほうじゃないの」という冗談に、
保安課長は再捜査すべき案件だと考えはじめるのだが……。

泣くでしょ。そら泣きます。
この日ももうじき閉館とは思えないほどの入りのお客さん、
涙もろい私でもそんなに泣かないというぐらい、みんなハナずるずる。

お涙頂戴的ではあるので、泣くには泣いたけど、見え見えな感もあります。
けれども知的障害者の置かれた状況に考えさせられることしばしば。
そんな作品でありながら、湿っぽくないのがいい。
成長したイェスンを見れば、彼女が愛情をいっぱい注がれて育ったことがわかり、
いまの自分の環境に感謝しつつ、なんとか父親の冤罪を晴らしたい、
その一心が伝わってきます。

そして、評価したいのは泣きの部分よりも笑いの部分。
ヤンホ役のオ・ダルスをはじめとする同房の囚人たち。
このオ・ダルスという役者は、顔だけでワラかしてくれる人。
『拝啓、愛しています』(2011)では妙なホクロだけで笑えて、
ボケるのもツッコむのも絶妙の間合い。
囚人らが、ヨングがイェスンに会えるように策を練った末、
作戦を決行する姿は吉本新喜劇並みの可笑しさです。

さて、終映後、行方不明の眼鏡を探すために最後列へ。ない、ない、な~い!
老眼が来ているゆえ、近眼用の眼鏡をかけたまま本は読めませんが、
探し物をするのに眼鏡がないとツラすぎる。
あきらめかけたとき、通りかかった若い女性が「どうかしはりました?」と。
「眼鏡を落としたんです」と言ったら、前方の席下を指差して「あそこに!」。
ありがとうございます~。本当に助かりました。
しかしどこまで飛んでいくねん、私の眼鏡。

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