夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『人生はシネマティック!』

2017年11月26日 | 映画(さ行)
『人生はシネマティック!』(原題:Their Finest)
監督:ロネ・シェルフィグ
出演:ジェマ・アータートン,サム・クラフリン,ビル・ナイ,ジャック・ヒューストン,
   ヘレン・マックロリー,エディ・マーサン,ジェレミー・アイアンズ他

今月は土曜日に博物館のイベント開催のために出勤した日があったので、
先週の火曜日、代休を取ることに。もちろん映画のハシゴに当てる。
京都で晩ごはんの予定だったから、
京都の劇場へ行くことも考えましたが、そそられる作品がない。
ならば梅田で3本観てから河原町へ出ればいいか。

で、火曜日はちょうどテアトルシネマグループの会員サービスデー。
ファーストデーやレディースデーより安い、1本1,000円が嬉しい。
数日前からドイツ・クリスマスマーケット開催中(平日は夕方から)の新梅田シティへ向かい、
シネ・リーブル梅田にて3本ハシゴの1本目。

あと数年で還暦ながら監督作はまだ10本に満たない、
デンマーク出身のロネ・シェルフィグ監督だけど、『幸せになるためのイタリア語講座』(2000)、
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』(2011)など、私はわりと好みのようです。
主演はこれまた知的な美女で私の好み、
『ボヴァリー夫人とパン屋』(2014)のジェマ・アータートン
監督と主演が好みならば、だいたい間違いないものですね。

1940年、第二次世界大戦下のロンドン。
ドイツ軍による空襲がつづくなか、政府はプロパガンダ映画の製作に力を入れる。
なんとか国民を鼓舞するような映画をつくりたいのだが、
男性は次々と徴兵され、映画界も人手不足。
コピーライターの秘書をしていたカトリンが新作の脚本家として抜擢される。

同じ脚本家でも給料は男性より女性のほうが安い。
そんな条件を提示されてもなんのその、カトリンは気持ちの高ぶりを抑えられない。
夫で売れない画家エリスを支えるためにも、自分が稼がなければ。

新作映画の内容は、ダンケルクの撤退作戦。
イギリス兵を救出した双子の姉妹の噂を聞きつけ、カトリンは取材に行く。
どうやら真相はイギリス兵救出の前に双子の船がエンストしたらしいが、
カトリンは真相を伏せたまま、取材結果を報告。
これはプロパガンダ映画にうってつけだと、関係者は大喜び。

こうしてカトリンは情報省映画局の特別顧問バックリーや、
ベテラン脚本家パーフィッとタッグを組み、推敲を重ねてゆくのだが……。

とても温かく素敵な作品で、話に引き込まれました。
『ダンケルク』をご覧になった人なら、より楽しめます。

政府は無理難題を押しつけるし、自分をいつまでも若いと思っているジジイ俳優もいる。
プライベートでも問題があるから、脚本を書くことだけには専念できません。
カトリンは、言いたいことは言うけれど、言い方やタイミングを心得ていて、
女の癖にと言わせない雰囲気に持っていくのがすごいとこ。
脚本家同士が認め合って、いい作品をつくりあげていくのを見るのが楽しい。

ジジイ俳優にはビル・ナイ
バックリー役のサム・クラフリンがとても格好よかった。
序盤に空襲に遭ってしまうエディ・マーサン、相変わらずいい味です。
大根役者の役でジェイク・レイシーが出ていたのにも笑いました。

終盤、まさかの出来事があり、しばし呆然。
そういえばこの監督、『ワン・デイ 23年のラブストーリー』でもそうでした。
すんなりハッピーエンドには持って行ってくれない。
そこは素直に持って行ってよと思います。つらすぎるから。
でも、明日生きているかどうかもわからない時代の恋愛は
こういうものなのかもしれません。

みんな、よかった。

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