『ジョーンの秘密』(原題:Red Joan)
監督:トレヴァー・ナン
出演:ジュディ・デンチ,スティーヴン・キャンベル・ムーア,ソフィー・クックソン,
トム・ヒューズ,ベン・マイルズ,テレーザ・スルボーヴァ,ニーナ・ソサーニャ他
TOHOシネマズで貯まったポイントを使う機会がなかなかないので、
何の割引もない木曜日を選んで鑑賞。
TOHOシネマズ西宮にて、この日が本作の上映最終日でした。
“実話に基づく”だらけですねぇ。
原作は2013年に発表された英国人作家ジェニー・ルーニーの同名小説。
80代の老女メリタ・ノーウッドがスパイ容疑で逮捕されたという、
2000年に起きた実際の事件をモチーフにした小説です。
息子はとっくに独り立ちし、夫の亡き後、ひとりで静かに暮らすジョーン・スタンリー。
ところが2000年5月、自宅に突然MI5の職員が現れ、ジョーンは逮捕される。
容疑は、ソ連に原爆開発に関する機密情報を漏洩したというもので……。
大半は1938年の回顧シーン。
1938年のジョーンをソフィー・クックソンが演じています。
ジョーンはケンブリッジ大学で物理学を学ぶとても優秀な学生でした。
在学中に友人になった快活な女性ソニアを通じて、
共産主義者でユダヤ系ドイツ人の青年レオ・ガーリチと知り合い、恋をします。
大学を首席で卒業した彼女はその賢さを買われ、
原爆開発の極秘プロジェクトのメンバーに抜擢されます。
話の流れから、彼女は自分がスパイを働いているなんてことに気づかず、
好きになった相手に利用されて、情報を渡していたのかと思っていました。
でもそうではない。KGBの一員となったレオにいくら言われようと、
機密情報は教えられないと頑として断ります。
しかし、広島に原爆が投下されるのを見て、心が押しつぶされそうになった彼女は、
同盟国であるソ連とも情報を共有すべきだと考え始めます。
皆が原爆を持てば、お互い投下し合うなんてことはなくなる。
核兵器の恐ろしさを皆が同等に理解していれば、これが使われることはなくなると。
原爆のつくり方を知らせることで平和を保つ。
凄い考え方があるものだと思ったけれど、
じゃあ彼女はどうすべきだったのかと思うと、ほかに答えが見つからない。
スターリンを崇拝していたレオたちを見ると、虚しい気持ちが募ります。