『クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男』(原題:QT8: The First Eight)
監督:タラ・ウッド
出演:ゾーイ・ベル,ブルース・ダーン,ジェイミー・フォックス,サミュエル・L・ジャクソン,
ジェニファー・ジェイソン・リー,ダイアン・クルーガー,ルーシー・リュー,
マイケル・マドセン,イーライ・ロス,ティム・ロス,カート・ラッセル,クリストフ・ヴァルツ他
シネ・リーブル梅田にて4本ハシゴの3本目は、この日いちばん楽しみにしていた作品。
もうめちゃめちゃ楽しかった!
私がクエンティン・タランティーノを知ったのはいつだったでしょうね。
デビュー作の『レザボア・ドッグス』(1991)が最初だったかもしれないけれど、
もしかすると『パルプ・フィクション』(1994)を先に観たかもしれません。
映画オタクで、日本贔屓で、愛すべき人柄のタランティーノ。
かねてから10本撮ったら引退すると宣言していたそうです。寂しいやんか。
そんな彼について話しまくるのは、上記の俳優たち。
それに加えて、映画関係者やルームメイトなどが実に楽しげに話しています。
『ジャッキー・ブラウン』(1997)、『キル・ビル』(2003&2004)、
『イングロリアス・バスターズ』(2009)、『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012)、
『ヘイトフル・エイト』(2015)それぞれについて、撮影秘話的な話も含めながら。
レオナルド・ディカプリオが「ニガー」と言えずに困っていた話などは、
それについてジェイミー・フォックスとサミュエル・L・ジャクソンが助言したら、
翌日からのレオの演技が本当に黒人を奴隷扱いするものになっていたとか、
その後のシーンでも流血の惨事となっているのもかまわず演技を続けたとか、
レオ様やっぱり凄いんだわと思える話もあって楽しい。
『それでも夜は明ける』(2013)とタランティーノ作品を比較して表した言葉も面白く、
また、スパイク・リーが『ジャンゴ』の黒人差別表現に怒っていたことに対して、
黒人俳優のジェイミー・フォックスがウケていた理由になるほど。
女優であり、スタントウーマンでもあるゾーイ・ベルの話も楽しかったなぁ。
スタントマンって、反射的に顔が映らないようにしてしまうそうですが、
女優として彼女がアクションシーンを演じたときは、
タランティーノが「君の顔は絶対映るようにしなきゃ」と撮り直しになったこととか。
なんだか書き出すとキリがないくらい、楽しい話てんこ盛りでした。
楽しくない話としては、ハーヴェイ・ワインスタインの話にも言及しています。
タランティーノ作品を必ず配給してきたミラマックス。
あの事件が業界にどれほどの影を落としたことか。見るのもキモい、ハーヴェイ。残念なことです。
それを除けば、ずっとニヤニヤしながら観ていました。
タランティーノ作品のファンだと言っても、私なんて全部せいぜい数度観ただけ。
登場人物がこんなに繋がっているなんて知らなかったよ。
まるで伊坂幸太郎じゃあないか。遊びごころ満載。
こりゃ一度、全作品続けて観なきゃいいけませんね。
「クエンティン・タランティーノの書くものには、“不誠実さ”はまったくない。」by サミュエル・L・ジャクソン。