『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』(原題:My Salinger Year)
監督:フィリップ・ファラルドー
出演:マーガレット・クアリー,シガーニー・ウィーヴァー,ダグラス・ブース,ショーナ・カースレイク,
コルム・フィオール,ブライアン・F・オバーン,ヤニック・トゥルースデール,ハムザ・ハク他
近所の劇場で何も割引がない日は気持ちに迷いが出てとても厄介です。
遠方まで行く気なんてまるで起こらないにもかかわらず、
なんばパークスシネマなら地獄巡りのクーポンがあることに気づいてしまう。(^^;
しゃあないなぁ、甲子園も雨で試合中止やし、なんばまで行くかと。
渋々向かいはしましたが、とても観たかったアイルランド/カナダ作品です。
監督は『グッド・ライ いちばん優しい嘘』(2014)のフィリップ・ファラルドー。
本作に関しては批評家は好意的に評価、一般人では退屈だと言う人が多いようですが、
私にとってはとても心地よくて穏やかな気持ちになれる作品でした。
主人公はアメリカ人の実在のジャーナリスト、ジョアンナ・ラコフ。
彼女の自伝『サリンジャーと過ごした日々』が基になっています。
「サリンジャー」とは言うまでもなくあの『ライ麦畑でつかまえて』の作家のこと。
作中ではジョアンナについての説明がないため、知らなければフィクションだと思ってしまいそう。
映画の中ではカリフォルニア州バークレーに住んでいたことになっています。
1995年。作家志望のジョアンナは、同じ志を持つ友人を訪ねてニューヨークへ。
恋人のカールが待つバークレーに戻るのをやめて、このままここで仕事を探すことにする。
出版社は作家志望の若者を採りたがらないとの噂を聞き、出版エージェントに応募。
そこは顧客の中にあのJ・D・サリンジャーもいる老舗のエージェントだった。
ジョアンナを面接したのはサリンジャーの代理人を務めるマーガレット。
マーガレットの助手として無事採用され、ウキウキするジョアンナだったが、
サリンジャー自身がファンレターに返事を書くことはないばかりか読みもしないという。
一応ジョアンナが読んでから定型化されている文言でファンに断りの手紙を書き、
その後はシュレッダーにかけて処分するように指示を受けて……。
エージェントのこの対応に耐えきれず、ジョアンナはこっそりファンに返事を書いたりも。
しかし別にサリンジャーの名を騙るのではなく、ちゃんと自分の名で書きます。
そのせいで彼女めがけて苦情を言いにやってくる学生なんかもいる。
サリンジャー本人から返事をもらえたら成績Aをもらえるはずだったのにもらえなかったとか。
逆恨みもいいとこですよね(笑)。
ファンレターを読み、このファンがどんな人物なのかとジョアンナは思いを馳せる。
そのシーンがファンタジックなので、そこがお好みでない人も多いはず。
また、派手な展開が待っているわけでもなければ、娯楽に富んだ場面もないため、
退屈だという人がいるのもわかります。でも、つまらないとすぐ寝る私が寝なかった。(^o^)
ジョアンナ役のマーガレット・クアリーが知的で可愛い。
何もかも計算尽くではないと思えるところに好感が持てます。
上司のマーガレットを演じるのはシガーニー・ウィーヴァー。
鬼女性上司と新人秘書という構図から『プラダを着た悪魔』(2006)のように宣伝されていますが、
同じなのはその立場だけですよね。業界が違うのですから、起きることも違う。
『プラダを着た悪魔』も大好きだったけど、私はこっちも好きだな~。
ひとつ解せないのは、ジョアンナがニューヨークで同棲を始めた相手ドン。
ダグラス・ブースという役者は過去にも私は見たことあるらしいけど知らん。
ダニエル・ラドクリフを太らせたみたいな感じで、好きじゃない。
こんな自意識過剰な奴よりもバークレーに置いてきた元カレ、カールのほうが断然ええやん。
と思っていたら、ジョアンナが振ってくれてスッキリしました。
私は、出版関係の会社が舞台という設定が好きなのかもしれません。
ところで、今のいま知りました。
マーガレット・クアリーって、あの『フォー・ウェディング』(1994)のアンディ・マクダウェルの娘だったのね!?