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『シビル・ウォー アメリカ最後の日』

2024年10月16日 | 映画(さ行)
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(原題:Civil War)
監督:アレックス・ガーランド
出演:キルステン・ダンスト,ワグネル・モウラ,ケイリー・スピーニー,スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン,
   ソノヤ・ミズノ,ジェファーソン・ホワイト,ネルソン・リー,カール・グルスマン,ニック・オファーマン他
 
『ドキュメンタリー オブ ベイビーわるきゅーれ』十三で観た後、新御をかっ飛ばして109シネマズ箕面へ。
IMAX版をレイトショーで鑑賞しました。
 
アメリカ/イギリス作品。
監督は『MEN 同じ顔の男たち』 (2022)がこのうえなく不気味だったアレックス・ガーランド。
全部ああいう「鬼才か奇才か」路線で行く人かと思っていたため、これは意外。
とはいうものの、こんな設定を考えつくこと自体、普通じゃあない。すごく面白い。
 
近未来のアメリカ。3期目を迎えた大統領への反発が強まり、激しい内戦が起きている。
政府連邦から19に及ぶ州が離脱し、分離独立運動を展開。
「西部勢力(WF)」を名乗るテキサス州カリフォルニア州の同盟軍はフロリダ連合と共に政府軍を次々と撃退。
ワシントンDCに到達して首都を奪うのも時間の問題。
大統領は政府軍の勝利は目前とラジオ放送で主張するも、大嘘なのはバレバレ。
 
ニューヨークに滞在中だった報道カメラマンのリー(キルステン・ダンスト)とロイター通信の記者ジョエルは、
大統領が14カ月間一度も姿を現さないことに着目。
WFがホワイトハウスまでたどり着けば大統領を殺害することは確実だから、
その前に大統領を見つけ出して単独インタビューをおこなえば大スクープになる。
どこを通ってワシントンDCに向かうべきか、居合わせたベテラン記者サミーに相談。
 
的確な提案を寄越したサミー自身も同行したい素振りを見せ、リーは了承するが、
老人でしかも巨漢のサミーは歩くこともままならないと、ジョエルは渋い顔。
その仕返しなのか何なのか、ジョエルはジョエルで前日に知り合った新米カメラマンのジェシカを同行させる。
ジェシカはまだ23歳。リーに憧れ、戦場カメラマンになりたいのだと言い……。
 
比較的安全そうな道を選んでワシントンDCまで千数百キロの旅に出た一行。
しかし至るところで凄絶な争いが繰り広げられています。
かと思えばタイムスリップしたのかと思うほど人々が平和に暮らしている町もある。
聞けば、巻き込まれないように知らん顔をしていると答える住人。
とはいうものの、屋根の上では武装した住人が見張っていたりもして、平和なふりだけしているわけです。
 
どこを通るにも油断はできず、狙撃される危険あり。
調子に乗って走っていたら、どこの味方なのかもわからない人物に拉致されて撃ち殺される。
この何者か不明の人物をクレジットなしでジェシー・プレモンスが演じています。
いちばん恐ろしいシーンかもしれません。
 
報道カメラマンは、何が正しいのかなどと自問自答しているときりがない。だから記録に徹する。
戦争はこんな酷いものだよと伝えたくてカメラに収めていたのに、戦争は終わらない。
 
大統領の最後のひと言も含め、非常に面白い作品でした。
架空の話なのに、何なんでしょう、このリアリティは。

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