《ら》
『ラッキー・シスターズ これってチャンス?!』(原題:Las Hermanas Fantasticas)
2024年のアルゼンチン作品。Netflixにて配信。
異母姉妹のジェシカとアンジェラは父の訃報を受けて遺体確認の場で再会。
ふたりとも父親とは長く会っていないから、それが父親かどうかすらわからない。
遺体を確認した父親の秘書に「遺産とかはないの?」とジェシカが尋ねると、
マンションは持っているが悪事を疑われて差し押さえ中だとの返事。
とりあえず父親を偲びたいからと秘書から鍵を預かり、姉妹はマンションを訪れる。
いったい父親は何をしていた人なのか、とにかく凄いマンション。
ふたりで部屋を見てまわるうち、壁の向こうに大金が隠されているのを発見して……。
姉妹ともに父親から捨てられ、幸せに暮らしているとは言えません。
ジェシカはイケイケ女子風なのにファストフード店でバイトしてつましい暮らし。
アンジェラは子どもが嫌いなのに幼稚園教諭になり、全然なついてもらえなくてクビ寸前。
好きでもない男とつきあって、彼の母親の世話になっています。
真面目なアンジェラはそれでも金を盗むのは駄目だと思っているし、父親が悪い人間だったとは思いたくない。
それに対してジェシカは金を持ち逃げして新しい人生を始めたいと思っています。
父親が亡くなるまではジェシカから姉妹の絆を求められても無視してきたアンジェラが、
妹を大事に思うようになったのがわかるシーンが好きでした。
《り》
『Lift/リフト』(原題:Lift)
2024年のアメリカ作品。Netflixにて配信。
インターポールからも目をつけられるほどの泥棒サイラスは、
ものの価値をわかっていない単なる金持ちが美術品を持つことを許さない。
良いものはその価値をわかっている人が所有するべきというのが持論。
ある日、国際的なオークションに堂々と出席したサイラスは、覆面NFTアーティストのN8の作品を2000万ドルで落札。
その後N8の誘拐を偽装すると、騒動を巻き起こしてまんまとゴッホの絵画を盗み出す。
インターポールの捜査官アビーとサイラスは、かつてお互いの素性を偽って1週間だけ恋人だった仲。
そのことを知るアビーの上司ハクスリーは、近日中に計画されている犯罪を防ぐため、サイラスに「泥棒」を依頼するよう、アビーに命じる。
計画されている犯罪とは、大金持ちでその実テロリストのヨルゲンソンが
ハッカー集団リヴァイアサンと組み、金塊を移送しようとしている件。これを阻止しなければ、多くの人命が危機にさらされることになる。
ヨルゲンソンは金のためなら平気で人を殺すような人間。
つまり、恐ろしいヨルゲンソンの強盗計画を潰すためにそのヨルゲンソンから盗みを働けという依頼。
さすがに引き受けられないと断るサイラスだったが、チームのメンバーが話を受けようと言い出し……。
サイラス役がケヴィン・ハートだったので、もっとコメディに振っているかと思いきや、意外とシリアス。そこが逆に面白い感じ。
チームのメンバーがみんな信頼の置ける良い奴で楽しかった。
《る》
『ルー・ガルー 人狼を探せ!』(原題:Loups-Garous)
2024年のフランス作品。Netflixにて配信。
実家にあった“人狼ゲーム”をみんなで楽しもうと提案するが、みんなシラけた顔で中止に。
がっかりしながらジェロームがゲーム盤をしまった瞬間、地震が起きる。
その後どうも家周辺の様子が妙だと家族全員で町に繰り出すと、
中世を再現した祭の最中のはずが、やけに大がかりな再現率。
実はそれは再現どころか本物で、一家は1847年にタイムスリップしていたのだ。
しかし息子のテオがここはゲームの中であることに気づき、
ゲームをつくった先祖に聞けばゲームをを終了させる方法がわかるのではないかと考える。
そこで、一家は魔術師だと疑われて投獄されている先祖に会いに行き……。
冒頭、ゲームをしようとはりきっていたジェロームがそれぞれに役をあてがいます。
タイムスリップ先のゲームの中では各々がその役の能力を持っている。
末娘のルイーズは人狼になっちゃうんですけど。
人権派の弁護士である妻マリーが中世の横暴な男どもに腹を立ててつい口を出したせいで魔女扱いされるところが面白い。
音楽も絶大な力を放ちます。大画面で観たい物語。
あ、爺ちゃんのジルベール役はジャン・レノ。久しぶりに彼を見た、と思ったけれど、《り》で見とるがな。
《れ》
『レディ加賀』
2023年の日本作品。TSUTAYA DISCASにてレンタル。
子どもの頃に観たタップダンスに魅了され、タップダンサーになるべく上京するが、
そろそろ潮時かと感じていたタイミングで実家に呼び戻され、観念して女将修行を始めることに。
想像以上に厳しい修行に悪戦苦闘しつつも、加賀温泉を盛り上げたいと考える。
新米の女将たちを集めてタップダンスチームを結成、開催を計画するのだが……。
実際に加賀温泉郷で働く女性PRグループ“レディー・カガ”をモチーフとしているとのこと。
配給収入の一部を石川県への義援金に充てることも発表されていて、
こりゃもう応援するしかない作品ではありますが、話としてはありきたり。
夢破れた女性が地元に帰って奮起、最後は大盛り上がりで終わるけど、
よく考えてみたら、実は何も解決していないんだもの。
しかもモデルとなった旅館の経営会社がコロナ対策の雇用調整助成金を不正に受給していたことが発覚。
水を差された感が否めません。
《ろ》
『ロ・ギワン』(英題:My Name is Loh Kiwan)
2024年の韓国作品。Netflixにて配信。
理不尽に虐げられている友人を助けようとしたせいで当局から目をつけられ、お尋ね者に。
母親に守られてなんとか生活していたが、あるとき見つかってしまう。
ロ・ギワンを逃がそうとした母親は車にはねられて死亡。
母親の希望はロ・ギワンが幸せに暮らすことだったから、
彼が中国から出国できるようにと親戚が母親の遺体を病院に売り、金をつくる。
偽造パスポートでベルギーに到着して難民申請するもすぐには認められず。
審査の日まで2ヶ月近くあり、その日までどうしても生き延びなければならない。
公衆トイレや路上で生活していたところ、若者たちから暴行を受ける。
意識を失って倒れている間に財布を盗まれるが、犯人はベルギー在住の韓国人マリ(チェ・ウソン)だった。
マリは裕福な家庭に育ちながら、母親の死を受け入れられず、父親のことを憎んでいた。
ロ・ギワンから盗んだ財布は今は手元にないらしく、必ず返すと言われても信じられない。
それでもマリと会ううち、ロ・ギワンはここで生きる希望を持ちはじめて……。
終始暗く、つらく重い話ですが、飽きることなく最後まで観ました。
北朝鮮からなんとか脱出しても、ほかの国で生きるのは簡単なことではないのですね。
ソン・ジュンギがもう少しタイプだったらもっと好きになれたかもしれませんが、
アイドル並みのイケメンをキャスティングしたらこの悲壮感は出ないかなぁ。