『セプテンバー5』(原題:September 5)
監督:ティム・フェールバウム
出演:ピーター・サースガード,ジョン・マガロ,ベン・チャップリン,レオニー・ベネシュ,
ジヌディーヌ・スアレム,ジョージナ・リッチ,コーリイ・ジョンソン,ベンジャミン・ウォーカー他
イオンシネマ茨木にて、前述の『大きな玉ねぎの下で』の次に。
同事件について描いた作品としてはスティーヴン・スピルバーグ監督の『ミュンヘン』(2005)がありました。
世界中の人がテレビで初めてテロリズムを見たのはこのときなのだそうです。
「テロリスト」という言葉もまだ使われていなかった時代。そういえば昔は「ゲリラ」と呼んでいましたよね。
1972年のこの出来事を取り上げたのは、1982年生まれのティム・フェールバウム監督。
エンドロールの“Special Thanks”の中にローランド・エメリッヒ監督の名前があり、どういう関係かと思ったら、
フェールバウム監督の長編デビュー作『HELL』(2011)でエメリッヒ監督が製作総指揮を務めたようです。
また、本作のプロデューサーにはショーン・ペンも名を連ねています。
1972年8月26日に開幕したミュンヘンオリンピック真っ最中の9月5日。
現地に乗り込んで競技を中継中だった米国ABCのスポーツ中継クルーの数名が銃声を聞く。
犯人たちはイスラエル人選手11名を人質に取って立てこもり、パレスチナ人囚人たち数百名の釈放を要求。
ふだんはスポーツ番組専門のチャンネルだが、自分たちが現地にいるというのに中継をほかに任せるなんてできない。
クルーたちは一丸となって正しく状況を伝えようとするのだが……。
なにしろ初めてのテロ生中継。
人が殺される可能性があるなかでカメラを回し続けていいものか。
殺される選手の親の気持ちを思えば、映すべきではないという者、真実を伝える義務があるという者、さまざま。
選手に扮して選手村に潜入してカメラを回す。音を拾う。
現地のドイツ語のニュースを聴き取れるのは通訳の女性のみで、彼女も奔走。
落ち着きを求められながらも動きつづける現場の様子に緊迫感があります。
人質全員無事解放を願っていたのに叶わなかったと知ったときの表情を見れば、
視聴率は取りたいだけで動いているわけではないのだと思えます。