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『ハウ』

2022年08月22日 | 映画(は行)
『ハウ』
監督:犬童一心
出演:田中圭,池田エライザ,野間口徹,渡辺真起子,長澤樹,モトーラ世理奈,深川麻衣,
   田中要次,利重剛,伊勢志摩,市川実和子,田畑智子,石橋蓮司,宮本信子他
 
なんばパークスシネマにて、15回目の『トップガン マーヴェリック』を鑑賞後、
1本だけで帰るのは駐車場代がもったいないので本作も鑑賞。
 
原作は脚本家の斉藤ひろしによる同名小説。
私は名前を存じ上げなかったのですが、古いところでは『秘密』(1999)、『きみの友だち』(2008)、
なんとも凄いヒット作の嵐。そんな脚本家を知らずにすみませんでした。
 
で、犬童一心監督となれば、ヒットは約束されたもの同然。
けど、最近の犬童監督には昔のような輝きを感じられないようにも思います。
本作も極めてビミョー。
 
市役所に勤務する赤西民夫(田中圭)は、婚約者(深川麻衣)にあっさりフラれる。
結婚式場は予約済み、35年ローンの一戸建てだって買ったところだったのに。
 
課長の鍋島史郎(野間口徹)は傷心している民夫を家に誘う。
聞けば鍋島の妻の麗子(渡辺真起子)は保護犬の世話をしており、
そのうちの1匹である白い大型犬を飼わないかと民夫は勧められる。
 
元の飼い主の非情な都合で声帯を切られて声を出すことができない犬。
鳴こうとすれば「ハウッ」という声にならない声が出るだけ。
飼うことをなんとなく断れずに押し付けられた格好だったが、
民夫は「ハウ」と名付けてその犬を引き取る。すると民夫の生活は一変。
 
ハウと過ごす時間が楽しくてたまらない民夫。
しかしある日、散歩に出かけた先で民夫がうたた寝した折、ハウがいなくなってしまう。
なんとハウは青森行きのトラックに飛び乗っていたのだ。
 
そうとは知らない民夫は、麗子たちの協力を得てハウを探すが見つからず。
月日が経ち、ハウは死んだものと断定され、民夫はあきらめるよりほかなくなる。
その頃、ハウは民夫のもとへ戻りたい一心で走り続けていて……。
 
ハウのロードムービーですね。
ハウが旅先で出会うなかで印象深いのは、宮本信子演じる傘店の老女。
店主だった夫(石橋蓮司)を亡くし、店があるのはシャッター商店街の中。
次々と閉店するご近所さんを見て心が折れそうになるけれど、
亡父が「雨が降らなくなることは絶対にない」と言っていたのを思い出し、
なんとか傘店の営業を続けています。そこを訪れるハウ。
 
また、夫からDVを受けてシェルターに逃げ込んだ女性をモトーラ世理奈が演じています。
ハウには人の痛みがわかり、それぞれを癒してくれる。
 
いい話だと思いますが、DV男が追いかけてきてナイフを振り回すシーンなどは少しやりすぎの感。
あんな深い傷を負って大丈夫なシスター、マジで大丈夫か。(^^;
こいつのことなんて助けなくていいんだよハウ、と思ってしまいました。
 
民夫のもとにハウが戻ってハッピーエンド、と思うじゃないですか。えーっ、違うの!?
こういう話は大団円であってほしい。ありきたりでいいから。
 
私のツボはまたしても野間口徹
民夫から結婚がボツになったことを聞いた瞬間に「俺、そういうのひとりで抱えるのムリ」と、
「はーい、みんなちょっと聞いて。赤西くん、結婚ダメになったから」と言っちゃうとこ、好きです(笑)。
 
大団円じゃなくて残念でガックリきましたが、心に残った台詞もいろいろあります。
最愛の飼い猫を亡くした同僚(池田エライザ)との会話中の、
「悲しみが消えてなくなることはないと思う。その悲しみを上手にしまい込むしかない」みたいな台詞とか。
 
悲しんでいる人を励ますつもりかもしれないけれど、
上から目線で「遅かれ早かれ命はなくなるもの」とか「いいかげん乗り越えろ」とか、
「とっとと次の犬を飼えばいい」というようなことを言う人。
おつきあいしたくない。

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