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『ファーストキス 1ST KISS』

2025年02月19日 | 映画(は行)
『ファーストキス 1ST KISS』
監督:塚原あゆ子
出演:松たか子,松村北斗,吉岡里帆,森七菜,竹原ピストル,鈴木慶一,神野三鈴,リリー・フランキー
 
予告編が大好きで、絶対泣くやつと思いながら公開初日、109シネマズ箕面へ観に行きました。
 
監督は昨年から『ラストマイル』『グランメゾン・パリ』と大ヒットを飛ばし続ける塚原あゆ子
 
最愛の夫を事故で失った妻が、タイムトラベルで夫が死ななかった人生をつくろうとする話だと思っていました。
予告編を観るかぎりはそんな感じだったので、不仲で離婚に至った夫婦の話だったのねと衝撃を受ける。
まぁ、大好きだった人が死なないようにするタイムトラベルの話ならちっとも珍しくないか。
 
45歳のカンナ(松たか子)は結婚して15年になる夫の駈(かける)(松村北斗)を突然失う。
仕事帰りだった駈は、線路にベビーカーごと落下した赤ちゃんを救おうとして飛び降り、
赤ちゃんを助けたものの、自身は列車に轢かれて死亡したのだ。
 
カンナは29歳のときに出会った駈からひと月も経たないうちにプロポーズされて結婚。
当初はとにかく楽しくて幸せだったのに、駈が生活のために意に馴染まぬ職に就いてからというもの、
ふたりの間にギスギスとした空気が流れ、顔を合わせればいがみ合うか無視し合うか。
事故当日、駈は離婚届を出しに行く予定だった。どうせなら提出してから死んでよねとつぶやくカンナ。
 
舞台の美術デザイナーとして活躍しながらもなんとなく虚ろな日々を過ごしていたある日、
入手困難で3年待ちだった餃子が届く。注文したことすら忘れていた商品。
こんなにも貴重な餃子なのに真っ黒に焦がしてしまい、餃子が届く前に戻りたいと願いつつ車に乗ると、
トンネルを走行中に崩落事故に遭い、異空間を通過。
たどり着いたのは15年前、駈と初めて会った日、会った場所で……。
 
こっちは45歳だけど、あっちは出会ったときの若いままの彼。
仏前に「今日、あなたに会ったよ。かわいくない? 目なんかキラキラさせちゃって」とカンナは報告します。
 
思い出してもムカつくぐらい、亡くなる前の駈は嫌なところばかりだった。
けれど出会った当時の彼はそうじゃない。
タイムトラベル中に撮った写真と、現在の家に残っている写真を見比べたカンナは、
今日の自分の言動がのちの彼の言動に影響を及ぼしていることを知り、
ならば彼が死ななかった人生をつくれるのではないかと考えます。
 
トンネルを抜ければ何度でもタイムトラベルできるけど、行き着く先はその日だけ。
彼が事故死しないで済むように、事故当日の彼の行動をレシートなどから洗い出す。
ホームに向かう時間を変更するためにカンナが考えつくことがとても面白い。
たとえばこの日、彼がコロッケを買いに行かないようにタイムトラベル先でそのコロッケ屋の悪口を言うとか。
すると、悪口を言うことを若い駈に咎められて、タイムトラベルをやり直す。
 
大好きだった人を失いたくないから人生を書き換えようとするよりは、
殴ってやりたいほど嫌だった彼でも生きていてほしかったから書き換えたい。
自分と共に歩む人生ではなかったとしても、彼が死なないでいてくれたら。
 
カンナと駈が何十回も同じ日を繰り返し、そのことを知っているのはカンナだけ。
しかしついに駈が15年後の自分の身に起こることについて知ってしまいます。
 
絶対泣くやつと思っていました。やっぱり泣きました。
タイムトラベルものとしてはちょっと意表を突かれた感じ。
ベタな恋愛お涙頂戴ものとは違って、笑えて、切ない。
 
最近、松村北斗がとても好きです。『秒速5センチメートル』も楽しみでたまらない。

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