『ビデオドローム』(原題:Videodrome)
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:ジェームズ・ウッズ,デボラ・ハリー,ソーニャ・スミッツ,レイ・カールソン,
ピーター・ドゥヴォルスキー,ジャック・クレリー,リン・ゴーマン他
シネ・リーブル梅田にて。
この直前に観たのが前述の『To Leslie トゥ・レスリー』だったため、
できれば本作と順番を逆にしたかったと思いました(笑)。
御年82歳の彼が、1982年にこの世に送り出したのが本作。
当時はワケわからんとまるでヒットしなかったのに、
後にビデオ化されてからカルト作品としてもてはやされるようになりました。
現在、4Kディレクターズカット版が公開されています。
と、さも知っているように書きましたけれども、私は初見。
クローネンバーグ監督の作品って本当にワケわからんから、覚悟して観なアカンし。
でも嫌いじゃないんですよね。なんだか癖になる。
『マルホランド・ドライブ』(2001)なんて大好きです。
本作はグロそうで避けていましたが、この機会を逸したらたぶん一生観ない。
カナダのトロントにある人気のUHF(極超短波)テレビ局。
ソフトなものからハードなものまでAV(アダルトビデオ)を放送しつづけている。
刺激的な映像を求める若き社長のマックスは、
ある日、部下でエンジニアのハーランからまさに求めていた映像を見せられる。
それは、女性が拷問され、最終的には殺される映像。
“ビデオドローム”という海賊番組らしく、どこで撮影されているのかわからない。
こんなことが本当におこなわれているはずはないが、とにかくリアル。
マックスはハーランに映像の出どころを突き止めるように指示をする。
ハーランから渡されたビデオドロームの録画テープを観てみると、
それに興味を持ったガールフレンドのニッキーが、ビデオドロームに出演したいと言い出す。
てっきり撮影地は海外だと思っていたのに、ピッツバーグで撮られているらしい。
オーディションを受けると言って出て行ったニッキーはちっとも帰ってこない。
ビデオドロームの生みの親がオブリビアン教授であると知ったマックスは、
ニッキーを取り戻すために教授に接触を図るが、彼の娘ビアンカと会うことができただけ。
その後、教授からマックスに届けられたテープを観ると、幻覚が起きて……。
なんかね、ビデオドロームを観た日から、現実が変容して行くらしいんです。
人間の体内に腫瘍を作るらしいけど、正直なところ、ちぃともわかりません。
ビデオテープが変形して見えたり、現実とブラウン管の中の出来事がリンクしたり。
画面を観ている間に自分のお腹が割れて(シックスパックじゃないですよ(笑))、
そこにずぶずぶと自分の手を差し込んで行く。何が嬉しくてそんなことを。(^^;
『マルホランド・ドライブ』の映像とは違って、この映像は美しいとは思えない。
むしろ、苦しんで死にゆく顔は『プー あくまのくまさん』とどこがちゃうねんとも思う。
けれど、玄人が観れば、ここに描かれているものはB級とは全然違うのでしょうね。
画面の中から人が出てくるところは“貞子”を思い出すし、
奇妙な装置をつけて画面を観る様子はまるでVRの世界。
こういうのって、誰が最初に考えたものなんですか。
映画で語られるようになったのはクローネンバーグ監督が初めてとか、そんなことはないのかな。
と思ってちょっと調べてみたら、1935年にアメリカ人SF作家がすでにVRのコンセプトを思いついているのか。
不思議な世界で面白い。でも全然わからん。
気持ち悪いシーンはやっぱり直視でけんけど、40年前の作品を劇場で観られたのはよかったと思う。