夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『コーリング』

2003年10月22日 | 映画(か行)
『コーリング』(原題:Dragonfly)
監督:トム・シャドヤック
出演:ケヴィン・コスナー,スザンナ・トンプソン,キャシー・ベイツ他

ケヴィン・コスナー主演にもかかわらず、
本作がいつのまに公開されたのか全然知らなんだ。
ビデオ屋の最新作コーナーで見つけて、「なんじゃ、こりゃ」。
というわけで、まったく期待せずに鑑賞。

ジョー・ダロウとその妻エミリーはシカゴ記念病院の医師。
エミリーに南米の紛争地帯への赴任依頼がくる。
妊娠中の彼女を気づかってジョーは反対するが、
人命救助が自分たちの役目だとエミリーは受諾。

しかし、紛争が悪化し、エミリーと村びとたちはバスで移動することに。
途中、豪雨に遭い、バスは崖から転落する。
谷底に沈んだバスからは生存者は見つからなかった。

最愛の妻を亡くしたジョー。
仕事で気を紛らわすしかなく、毎日勤務につくようになる。

ある夜、エミリーの患者だったジェフリーという少年が
集中治療室に運ばれてくる。
一旦心停止した彼を医師たちは死亡とみなすが、
彼に呼ばれたような気がしたジョーがそばに寄ってみると、
ジェフリーは息を吹き返す。

翌日、元気になったジェフリーに会いにいってみると、
彼は臨死体験のなかでエミリーを見たというのだ。
そして、エミリーがジョーに会いたがっていると。

別室の入院患者である少年ベンも
病院へ搬送される途中にエミリーに会ったという。
ジョーに伝えたいことがあるようだが、それが何かはわからない。
ジェフリーもベンも、エミリーと会って以来、
取り憑かれたように同じ絵を描いている。
ふにゃふにゃの十字架のようなこの絵は何を意味するのか。

良くも悪くもケヴィン・コスナーのための映画。
妻を想う気持ちはあの表情から痛いほど伝わるし、
妻がそれほどまでして彼に伝えたかったことが
ラストでわかるとやはり涙。
期待せずに観るとそれなりに楽しめます。
あくまで、それなり。

しかし、これは壮大な愛のドラマなのか、
サスペンスなのか、ホラーなのか。
奥さんが急に窓辺に出てくるシーンなんか、
ほんまに震えたがな。怖いっちゅうねん。

原題は妻のシンボルであった“Dragonfly”=「トンボ」。
そのまま訳したら長渕剛、入ってますね。

南米の部族、ヤノマミ族が出てきたりして、
個人的には見どころいっぱい。
職場にそっくりの髪型をした人がいたことがあり、
「ヤノマミさん」とひそかに呼んでたもんで。

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キャッチボールより球蹴り。

2003年10月21日 | 映画(番外編:映画とスポーツ)
サッカーを題材にした作品は、野球のそれにくらべるとグッと少ない。
もっとも、野球を題材にした作品は、ほぼすべてアメリカ生まれでしょうか。

サッカー自体がテーマでなくても、街角で、空き地で、浜辺で、
ボールを蹴るシーンの出てくる作品は、野球より断然多いです。
世界的にはキャッチボールより球蹴り。

思いっきりサッカーなのは『ミーン・マシーン』(2001)。
イングランド代表のスター選手だったダニー。
八百長疑惑でサッカー界から追放される。
酔っぱらって警官を殴り、実刑判決を受ける。
彼が収監された刑務所で、看守と囚人が分かれてサッカーの試合をすることに。
囚人チームのコーチをダニーが引き受ける。

ダニーを演じるヴィニー・ジョーンズは、
ほんとにイングランドのプロチームに所属していた人。
演技もなかなかでいまや引く手あまたです。
「さすが」というプレーも随所に。

大ヒットしたので紹介するまでもない『少林サッカー』(2001)。
少林拳の達人だけど、社会の落ちこぼれであるシンが
一念発起してサッカーチームを結成。

私は『ミーン・マシーン』よりこっちのほうがオモロイと思いましたが、
ダンナが言うには「『少林サッカー』まで行ってもたらサッカーじゃない」。(^^;

オマケの話ですが、本作品の監督・主演は周星馳。
『不夜城』の作家である馳星周のペンネームは、ここに由来しています。
馳星周は大の香港映画フリークとして知られています。

ブータン初の映画、『ザ・カップ 夢のアンテナ』(1999)。
まだ若いチベットのラマ僧たちが、
ワールドカップ中継をなんとか観たいと和尚に直訴。
中継を観せてもらえるならと、掃除に洗濯、なんでもがんばる。
映りの悪いテレビを改善すべく、アンテナを求める姿もけなげ。
演じているのはすべて本物のラマ僧たち。
ダライ・ラマも協力したというスゴイ映画。

サッカーが背景の作品のなかで
私がいちばん好きなのは『シーズンチケット』(2000)。
15歳のジェリーとその友だち、スーエル。
裕福とは言えない家庭に育ち、いわゆる不良の彼らの持つ夢は
ニューカッスル・ユナイテッドのシーズンチケットを手に入れること。
原題にもなっている台詞の登場するラストシーンが秀逸。

こうして、日本シリーズの現実から逃避している私です。

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ただし、山崎努の台詞は

2003年10月17日 | 映画(番外編:映画と邦題・字幕・台詞)
前述の『13階段』について。

被害者に殺意を抱いたことを思い悩む反町に対し、
山崎が語ったこの台詞はよかったと思うので抜粋。

殺してやりたいと思う瞬間は誰にでもある。
しかし、みんな一歩手前で踏みとどまる。
なぜだと思う?
それは、人間の本来持っている力だ。
良心と言ってもいい。
人間の命の重さが踏みとどまらせる。
「殺意」と「殺人」はちがうんだ。

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『13階段』

2003年10月17日 | 映画(さ行)
『13階段』
監督:長澤雅彦
出演:反町隆史,山崎努,笑福亭鶴瓶,大杉漣,宮藤官九郎,
   井川比呂志,田中麗奈,寺島進他

刑の執行というものは、米国では受刑者への制裁・復讐の意味が大きく、
日本では教育・更正を意図している。
しかし、出所後の再犯率は高く、死刑制度の存続を望む声は日本のほうが高い。
(冒頭シーンより)

数年前、からんできた相手を振り払った拍子に
相手がテーブルで頭を強打。
過失致死罪に問われて3年の実刑判決を受けた三上(反町)。
仮釈放されて実家に戻る。

被害者への慰謝料の支払いのせいで、父の営む小さな会社は火の車。
しかし、父は息子を責めはしない。

そこへ、刑務官の南郷(山崎)がやってくる。
まもなく死刑を執行されるであろう樹原(宮藤)という囚人が
冤罪であると信じている南郷は、
真犯人をつきとめるため、調査を手伝ってほしいと三上に頼む。

成功報酬として数千万が支払われるのだと弁護士の杉原(鶴瓶)は話すが、
依頼人については教えてくれない。
いったい、誰が何の目的で樹原の冤罪を晴らそうとしているのか。

保護司夫妻を惨殺した犯人とされる樹原。
事件のショックでその前後数時間の記憶がない。
思いだしたことは、事件当夜、自分が「階段」を上っていたということ。
その階段はどこにあるのか。

2時間強を飽きることなく見せてくれますが、
死刑の是非を提起したように思わせながら、
これは「死刑はあかん」というところからまず始まった作品ではないかと。
自分(監督)の思いは決まっているのに
観る人にどちらか考えさせる「ふり」(言葉は悪いけれど)をしたとき、
それはとても説教くさくなると私は思っています。

「ふり」しておいて、
「殺されて当然の人はいない」
「生きて償うしかないんだ」なんて言われたら?
これって、身内に被害者がいたら、
ものすごく神経を逆なでされるんじゃないか思いました。

決まっているなら、
たとえ反対意見があってもズバッと言われたほうが
こっちは考えてしまうのです。

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『リロ&スティッチ』

2003年10月15日 | 映画(ら行)
『リロ&スティッチ』(原題:Lilo and Stitch)
監督:クリス・サンダース,ディーン・デュボア
声の出演:ダヴェイ・チェイス,クリス・サンダース他

アニメは最新作でないとなぜだか観るのを忘れてしまいます。
ビデオ・レンタル店ではコーナーがちがったりして、
そこにいたるまでにほかの映画で手がいっぱいに。
『クレしん』は映画館まで足を運ぶのですが。(^^;
で、今日は最初から決意して、ずっとレンタル中だった本作品をゲットしました。

リロは姉のナニとふたり暮らし。
ちょっと風変わりなリロは友だちからも遠ざけられている。
寂しい思いをしているリロのために、ナニは犬を飼うことを提案する。
飼いたい犬を選ばせてみたところ、
リロは犬とは言いがたい生き物に決める。

リロはその生き物にスティッチと名づけてかわいがる。
しかし、スティッチはまったく言うことを聞かない。
暴れてはまわりのものを壊す毎日。

実は、スティッチは銀河系宇宙で
遺伝子操作によって造られた、破壊本能しか持たないエイリアンだった。
処分される前に脱獄したスティッチを捕えるため、
宇宙から捜索隊がやってくる。

ディズニーの絵はどうもかわいくないことが多いですが、
スティッチは極めつけ。全然かわいくな~い!
が、今回はそれがイイ。

「家族」という言葉が要所要所で出てきます。
破壊本能しか持たないように造られた生き物に
愛情や思いやりの心は芽生えるのか。
物語として、当然芽生えるのですが、
最初は愛情を知らないからその心を持てないわけで、
知らないものはわからん。
そう、「知らなきゃ持てん、知れば持てる」ということを
当たり前だけど、とても強く感じました。

ところで、字幕で観ましたが、
小さい子どもさんには遺伝子操作云々のあたりは
むずかしくありませんでしたか。
吹替だったらわかりやすくなってるのでしょうか?
字幕を観て、このターゲットは大人なのか?と思いました。

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