夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『バス男』

2005年11月08日 | 映画(は行)
『バス男』(原題:Napoleon Dynamite)
監督:ジャレッド・ヘス
出演:ジョン・ヘダー,ジョン・グリース,アーロン・ルーエル,
   エフレン・ラミレッツ,ティナ・マジョリーノ他

あんまりなこの邦題。
『電車男』(2005)のパロディではありません。
数ヵ月前に雑誌『映画秘宝』で期待作として取りあげられてから、
DVD化を心待ちにしていました。

原題の“Napoleon Dynamite”は主人公の名前。
「ナポレオン・ダイナマイト」って、これも邦題に劣らず凄い名前。

舞台はアイダホの田舎町。
イケてない高校生ナポレオン。
勉強ができるわけでもなく、運動も苦手。
ダサダサの恰好で、口もとに締まりなし。
兄のキップは無職で、日がな一日チャットに夢中。

ふたりの面倒をみる祖母は超過激。
単車で砂漠を爆走中、宙に舞って大けが。
入院中、祖母に代わって叔父のリコがやってくる。

リコは過去に戻ってアメフトでスターになりたいと、
通販でタイムマシンを購入することを決意する。
その資金集めのため、キップを誘って怪しげな訪問販売を開始。

友人もいなかったナポレオンだが、
メキシコ人転校生のペドロと親しくなる。
記念写真の撮影で進学費用を稼ごうとする、
いまどきありえない髪型をした女生徒デビーとも友だちに。

ある日、ペドロが生徒会長に立候補する。
対立候補は人気者のイケてるサマー。
なんとかペドロを当選させようと、ナポレオンはビラ配りに励む。

ナポレオンの口もとと同じく、ストーリーにも締まりなし。
だけどなんとなくそのダレッとした雰囲気に引きずられて
そのままダラダラと最後まで観てしまい、
終わってみれば「観てよかった」。

だいたい、人物も小物もみんな怪しすぎる。
やたらイカツイ体つきのおばあちゃん。
キップのチャット相手はどう見てもオカマ風。
リコの販売する商品はボウル2ダースのセット。
キップはボウルが頑丈であることの証に
客の前で車で轢いてみるけれど、あっさり大破。
しかし、これが仮に潰れなかったところで、
「象が踏んでも壊れない」並みのキャッチコピーになります?

デビー役の女優さん、どこかで見た顔だと思ったら、
半魚人のケヴィン・コスナー主演、
『ウォーターワールド』(1995)に出ていた子役でした。
10年後にこんなオタク映画に出ていようとは。

ジャミロクワイの曲に乗せてナポレオンが踊るシーンは最高。
口もとは緩めずに観ましょう。

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『きみに読む物語』

2005年11月04日 | 映画(か行)
『きみに読む物語』(原題:The Notebook)
監督:ニック・カサヴェテス
出演:ライアン・ゴズリング,レイチェル・マクアダムス,ジーナ・ローランズ,
   ジェームズ・ガーナー,ジョアン・アレン他

学生の頃、恋愛について聞いた言葉で
いまも強く心に残っているのはふたつ。
ひとつめは「恋愛ってな、五分五分じゃないとあかんねん」。
(『ラブストーリー』(2003)をご覧ください。)

ふたつめは、バイト先の上司の言葉。
「いちばん、好きなひとと、結婚しぃな」。

愛妻家で有名なその上司は、ふだんはおちゃらけてばかり。
この話のときだけはしんみりした表情でした。
「いまの嫁さんと一緒になって幸せやけど、
ひとつだけ後悔してることがある。
その前につきあってた女性のこと、死ぬほど好きやった。
事情があって別れたけど、
なんで結婚せぇへんかったんやろって後悔してる。
たとえうまくいかなかったとしても」。

本作はそれを思い起こさせる話です。

施設で暮らす認知症の女性に
彼女が人生を思い出すきっかけになればと
ある男性が読み聞かせを始めます。

彼が彼女に聞かせるのは、数十年前の若い男女の物語。
田舎町の材木置き場で働くノアは、
避暑に訪れる富豪の娘アリーに一目惚れ。
直球勝負でデートにこぎつける。

それ以来、ふたりは片時も離れずに夏を過ごすが、
身分違いの恋にアリーの両親は強く反対。
夜中に会っているところを咎められ、翌朝アリーは都会へと連れ帰られる。

1日1通、365通の手紙をノアはアリーに書き送りつづけるが、
それは母親の手元に留まり、アリーの目に触れることはなかった。

やがてノアは出兵。
帰国後、夢だった屋敷を手に入れるが、
その頃アリーは親も認める富裕な兵士と婚約中。
幸せそうなふたりの姿を見かけたノアは、
取り憑かれたように屋敷の改築に励む。

ノアの帰国を偶然知ったアリーは
結婚前に気持ちの整理をすべく、ノアの屋敷を訪問するのだが……。

アリーの母親が娘を諭すため、
昔、自分が駆け落ちしかけた相手を遠くから娘に見せます。
泥まみれになって働くその相手を見ていると、
いかにいまの自分が幸せかわかると語る母親。
しかし、その言葉と裏腹に、母親の目には涙が溢れます。
結婚は、いちばん、好きなひとと。

認知症の女性を演じるジーナ・ローランズの息子が
監督のニック・カサヴェテスです。
いい家族だったのでしょうね。

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『ソウ2』

2005年11月01日 | 映画(さ行)
『ソウ2』(原題:Saw II)
監督:ダーレン・リン・バウズマン
出演:ドニー・ウォールバーグ,ショウニー・スミス,トビン・ベル他

先週末、封切られたばかりです。
前作の『ソウ』(2004)はホラーというよりサスペンス。
これがおもしろかったので、
スプラッタ色が濃くなったとの噂を聞いても
観に行かずにはいられませんでした。

低予算で作った前作が絶賛されて、予算も大幅にアップしたらしく、
抑えられていた登場人物の数が激増。
おぞましい仕掛けテンコ盛りの古屋敷に今回は8人が閉じこめられます。
単純に計算しても4倍の人数に増えたんですから、
そらもう、血が飛びまくりで、あ~れ~、勘弁して~。

バツイチの殺人課の刑事エリック。
妻と暮らす息子のダニエルが補導されるたび、
父親であるエリックが他部署に呼び出され、
内々に話を済ませてダニエルを釈放というのが常。
帰り道、悪態をつく息子に向かって
エリックは「さっさと行っちまえ」と怒鳴ってしまう。

それっきり、ダニエルの行方がわからなくなる。
怒鳴ったことを詫びようにも連絡が取れない。

数日後、ジグソウ(前作に登場)と同じ手口の殺人が起きる。
本件の担当刑事ケリーから応援を頼まれたエリックは
ジグソウの隠れ家をつきとめ、突入。
が、癌の末期患者だというジグソウは静かに微笑み、
自分を逮捕する前にモニターを見ろと言う。

彼の指すモニターには、どこかの屋敷に監禁された
お互いに見知らぬ8人の男女が映っていた。
映像のみで音は一切聞こえないモニターの隅に、
エリックは息子のダニエルを見つけて愕然とする。
ジグソウが言うには、彼らに許された時間は2時間。
それを超えれば室内に流れる神経ガスに冒され、
彼らの体の穴という穴から血が噴きだす。

生き残る鍵が至るところに隠されたこのゲームから
誰か生還できるのか。

8人のうち、ジグソウの手口を知る唯一の人物が
前作でちらりと登場したアマンダ。
彼女は過去にジグソウとのゲームに勝った経験があり、
何とかしてくれるのではとの期待を持たせます。
しかし、このシリーズにハッピーエンドはありえない。
後味最悪、よく出来ていると思います。

前作の監督は製作にまわり、新人監督がチャレンジしています。
『ハリポタ』みたいに若き監督の登竜門になっても楽しいのでは。

前作を観てから本作を観るも良し、その逆もまた良し。
ホラー解禁しよかな。

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