夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

「TSUTAYA独占レンタル作品」って(その2)

2010年08月12日 | 映画(番外編:小ネタいろいろ)
その1はこちら

5月レンタル開始の『ファンボーイズ』(2008)。
これはDVDスルーのはずでしたが、劇場公開を求める署名運動が起こり、
4月末に公開、その3週間後にはTSUTAYAが独占レンタルが始まりました。
『スター・ウォーズ エピソード1』の公開を半年後に控えた1998年秋。
スター・ウォーズの大ファンであるライナスは、末期癌で余命わずか。
彼が死ぬ前に『エピソード1』を見せようと、
高校時代をスター・ウォーズに明け暮れて過ごした仲間たちが集結。
スター・ウォーズを制作しているスカイウォーカー・ランチへの潜入を試みます。
はたしてライナスは封切り前の『エピソード1』を見ることができるのか。
とても楽しい設定だと思いました。
しかし、如何せん、スター・ウォーズのコアファンじゃないとツライ。
話がマニアックすぎてついて行けず。

やはり5月レンタル開始の『恋するポルノ・グラフィティ』(2008)。
ザックとミリーは男と女でありながら、高校時代からの大親友。
お互いに恋愛感情はなく、ルームメイトとして暮らしています。
ところが、家賃や光熱費の支払いが滞り、
このままではアパートを追い出されそうになったふたりは、
ポルノ映画を撮ることを思いつきます。
オーディションで出演者を募り、ザックの勤務先のカフェの閉店後、
店長に見つからぬようにみんなで忍び込み、撮影を開始するのですが……。
10年前までは大好きだったケヴィン・スミス監督の作品。
いつしか腑抜けてしまった感があり、本作も丸くなりすぎて、かつ下品。(^^;
それ以前に、もしかして私は主演のセス・ローゲンが苦手なのかも。

もう1本、新作の『恋愛ルーキーズ』(2006)。
なぜかTSUTAYA DISCASのHPでは独占レンタルと表記されていないのですが、
ほかのDVDリリース情報を見ると、
本作もTSUTAYA DISCAS独占レンタル商品となっています。
まるでイケていない駐車監視員のロジャーは、
負け組から脱出するために、ある秘密の特訓授業を受けることに。
ドクターPと名乗る講師とマッチョな助手による過酷な授業により、
徐々に自信をつけたロジャーは、憧れの隣人アマンダをデートに誘います。
ところが、ドクターPが横やりを入れてきて……。
意外な役者の登場に笑いましたが、かなりイタイです。

独占レンタルも頻出だと、ハードルが低くなってきているような。
と言いつつも、どれもそれなりには楽しめているかなぁ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ゴールデンスランバー』

2010年08月09日 | 映画(か行)
『ゴールデンスランバー』
監督:中村義洋
出演:堺雅人,竹内結子,吉岡秀隆,劇団ひとり,柄本明,濱田岳,
   渋川清彦,ベンガル,貫地谷しほり,伊東四朗,香川照之他

風邪からまだ完全復調できず。
別のレンタル作品を観始めたら睡魔に襲われてしまいました。
体調のせいかと思ったら、本作は139分、あっという間。

アマノジャクな私が、大人気作家だからと敬遠していた伊坂幸太郎。
映画化された作品はすべて観たけれど、原作には手をつけず。
それが今年に入ってなんとなく読み始めたらツボに。
今や、伊坂幸太郎を制覇してしまうのが寂しい気がして、
間にほかの作家を挟んで制覇を先送りにしている状態です。

発行年順に制覇中で、本作は未読ですが、
原作を読んでいるときに映画とダブらせていたこれまでとは逆に、
映画を観ながら原作のページを思い浮かべる楽しみ。これも至福。

仙台の運送会社に勤める宅配ドライバー、青柳は、
金田首相の凱旋パレードがおこなわれるその日、
大学時代の同級生である森田から釣りに誘われる。

ところが、待ち合わせ場所に現れた森田は、
釣りに行くとは思えない背広姿で、
背中越しにパレードが見える路地に駐めた車へと乗り込む。

車内で森田に勧められた水を飲んだ青柳は眠気に襲われ、
目が覚めると、後方で首相の乗った車が爆発。
森田は、青柳が首相暗殺犯の濡れ衣を着せられること、
借金苦からその計画に加担したことを明かし、
「逃げろ、そして生きろ」と言い残して死ぬ。

あまりにも早く駆けつける警察官。
事情が呑み込めぬまま、青柳は逃げるのだが……。

私は中村義洋監督に大甘の評価しかできなくなっていることを認めます。
中村監督の作品についてはこちらをご参照ください。
本作ももうほんとに楽しくて。

人を信じることが最大の武器だから。
そうつぶやく青柳を助けようとする人たち。
みんな、器が大きく、遊び心もあって、人情に厚い。

原作のページが目に浮かぶような、メモ用紙の会話、
「俺は犯人じゃない」「だと思った」。
青柳の父親の「ちゃっちゃと逃げろ」。
「痴漢は死ね」の書き初め。「たいへんよくできました」の花マル。
クスッと笑えて、涙腺を優しく刺激する場面にヤラれました。

伊坂幸太郎の、人によっては通り過ぎてしまうであろう言葉がとても好きです。
それをさらっと映像にする中村義洋監督が好きです。

ロックだな。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『マイマイ新子と千年の魔法』

2010年08月05日 | 映画(ま行)
『マイマイ新子と千年の魔法』
監督:片渕須直
声の出演:福田麻由子,水沢奈子,森迫永依,本上まなみ,野田圭一他

久しぶりに風邪を引きました。
私の風邪のパターンは、喉が痛くなる→鼻水ずるずる→発熱。
いつもはなかなか下がらない熱も、この暑さのせいかおかげか、
布団をかぶらずとも汗が出るので、すぐに治りそう。
でも、『ゾンビランド』を観に行くのは断念して、家でレンタルDVD。

芥川賞作家、高樹のぶ子の自伝的小説を映画化。
前述の『サマーウォーズ』と同じ、
マッドハウスの制作によるアニメーションです。
後世に残したくなるような良作でした。

昭和30年代、麦畑が広がる山口県防府市。
多くの遺跡や古い地名が残る町。
小学3年生の新子は、空想好きのおてんば娘。
妹の大事なキューピーさんを解体して泣かせている。
大好きなおじいちゃんからは平安時代の話を聞き、
1000年前の都の様子に思いを馳せる。

ある日、新子が教室に入ると、不思議な匂いが。
その匂いの主は東京から転校してきた貴伊子。
彼女が付けてきた香水の匂いのようだが、
嗅いだことのないその匂いは同級生たちから反感を買う。
お嬢様風でおとなしい貴伊子はクラスに溶け込めそうにない。

ところが、貴伊子の色鉛筆をめぐって些細な事件が起きたことから、
興味を引かれた新子は下校時に貴伊子のあとをつける。
裕福な家庭だが鍵っ子の貴伊子は新子を招き入れ、
以来、ふたりは仲良くなる。

やがて、新子の悪友、シゲルやヒトシ、タツヨシたちとも、
用水路をせき止めて造ったダム池で遊ぶように。
その池で1匹の金魚を飼うようになるのだが……。

『サマーウォーズ』に比べれば、まったく地味。
田舎ののどかな風景が広がる点では同じですが、
人類滅亡の危機になんかならないし、誰も世界を救ったりしない。
けれど、この作品には、友だちと、先生と、生き物と、
大好きな人や物との出会いと別れがさまざまな形で登場し、
そのたびにいろんな想いに駆られます。

子どもならばこれから経験するであろうこと、
大人ならばこれまで経験してきたであろうこと。
目を背けたいけれど、背けてはならないことに直面したとき、
本作を観れば、力がもらえそう。そんな気がします。

子どもも大人も楽しめますが、平安時代とリンクする場面は、
子どもさんには少しわかりづらいかも。
ちょっとした想像力を働かせなければなりません。
何度も観たい作品です。

これもぜひ夏に。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする