夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『X-ミッション』

2016年02月23日 | 映画(あ行)
『X-ミッション』(原題:Point Break)
監督:エリクソン・コア
出演:エドガー・ラミレス,ルーク・ブレイシー,テリーサ・パーマー,デルロイ・リンドー,
   レイ・ウィンストン,マティアス・ヴァレラ,クレーメンス・シック他

荒れ模様になるという天気予報だった先週土曜日。
話題になっている『ヤクザと憲法』をナナゲイに観に行くつもりだったけれど、
雨のなかで開館待ちするのは嫌。
まだとうぶん上映されそうだし、この日は駅から近い劇場で手を打つことに。

キアヌ・リーヴスパトリック・スウェイジの共演で大ヒットした『ハートブルー』(1991)。
それにエクストリームスポーツを“フィーチャー”してリメイクしたんですと。
意味わからんけど、Xスポーツは気になるでしょ。
だって、いつ見ても、アタマおかしいと思える競技だらけ。見入っちゃいますよねぇ。

というわけで、TOHOシネマズ梅田別館アネックスにて、朝イチの回を鑑賞。
ドイツ/中国/アメリカの合作ゆえ、『ハートブルー』がアメリカのみを舞台にしていたところ、
本作では世界中あちこちに飛ぶ飛ぶ。エンドロールが長すぎる(笑)。

Xスポーツのアスリート、ユタは、無謀なスタントで名を馳せる。
命をも惜しまない彼のスタントはCM業界からも引っ張りだこ。
ある日、撮影のために無二の親友ジェフとバイクで断崖を走ることを計画。
危険を察知したジェフに無理強いをしたところ、
最後の最後にジェフだけが失敗、彼は還らぬ人となってしまう。

それから長い年月が経過。
ユタは親友の死をきっかけに姿を消したと思われていたが、
FBI捜査官となるべく訓練を重ねていた。
ちょうどその頃、Xスポーツのアスリートの仕業としか思えない連続強盗事件が起きる。
ユタは上司に自分の推察を提示、潜入捜査を切望する。

一連の事件に犯人の思惑を見てとったユタは、次の犯行現場を予測。
そのとおり、現場にはXスポーツのカリスマ、ボーディが現れる。
何十年かに一度という大波に乗ろうとしているボーディから、ユタはその波を横取り。
しかしその後、波に呑まれて意識を失う。
危うく死にかけたところをボーディに救出され、彼のチームに誘われる。

こうして潜入に成功したユタは、犯罪の決定的証拠を掴めとの指令を受け……。

なんちゅうのか、人物描写が浅いです。
上っ面だけ撫でられているようなペランペラン感。
男臭さでグイグイ押せばいいと思っていたのに、
要らんロマンスが加わって、サービスショットまで。
ロマンスのお相手役、テリーサ・パーマーは可愛いですけれど。

だけど、なんといってもユタ役のルーク・ブレイシーがイケメン。
もちろん、無駄脱ぎさせたくなるような肉体。
それに、Xスポーツ自体にはものすごい迫力あり。
サーフィン、ウイングスーツフライング、スノーボード、ロッククライミング、どれも凄い。
特に断崖絶壁を滑り降りるスノボのシーンでは大興奮。

3Dで観たらまたチビりそうになったかもしれません(笑)。
内容はさておき、Xスポーツの迫力を味わうにはオススメです。

あ、そうそう。トイレ改装中でした。ついに全部洋式に!?

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『ビームマシンで連れ戻せ テレポーテーション大作戦』

2016年02月21日 | 映画(は行)
『ビームマシンで連れ戻せ テレポーテーション大作戦』(原題:Sputnik)
監督:マルクス・ディートリッヒ
出演:フローラ・リ・ティーマン,マキシム・メーメット,デーヴィト・シュトリーゾフ,
   イボンヌ・カッターフェルト,アンドレアス・シュミット他

2013年のドイツ/ベルギー/チェコ作品。
日本では劇場未公開で、今月初めにDVD化されたところ。
TSUTAYA DISCASにてレンタルしました。

ジャンルがSF/ファンタジーとなっていることもあり、
『オフロでGO!!!!! タイムマシンはジェット式』(2010)のような作品を想像していたら、
全然タイムスリップものとちゃうやんか。
もともとはマルクス・ディートリッヒ監督の短編作品で、
新たなキャストとスタッフを迎えて長編作品にリニューアルさせたのだとか。

想像とはまったくちがいましたが、とっても素敵な作品。
『飛ぶ教室』(2003)の一文をまたしても思い出させてくれます。
どうして大人は自分が子どもだった頃のことを忘れてしまうのか。

1989年、東西が分断されたままのドイツ
ベルリンの壁付近には世にも恐ろしい国境警備隊がいて、
壁を越えようとする者はただちに射殺されるらしい。

東側のドイツ民主共和国、ベルリン近郊の小さな村。
食堂を経営する両親と暮らす10歳の少女フリーデリケ(愛称リケ)。
母の弟であるマイク叔父さんのことが大好き。
リケおよび同級生の男子ファビアンとヨナタンは、宇宙飛行士になりたくて、
マイクからいろんなことを教わっては気球船を飛ばそうと奮闘している。

そんなリケたちは学校では問題児。
いい子ぶりっこの同級生オリバーは、リケたちを貶めようと、
あることないこと大人に告げ口。いけすかないことこのうえない。
リケは思う、私はただ空を飛んでみたいだけなのに。

ある日、マイクが西側へ行くと言う。叔父さんにもう会えなくなるなんて。
空を飛ぶ夢は君に託した、君が船長だなんて、勝手すぎる。
ふてくされて涙に暮れるリケに別れを告げ、マイクは夜の闇に消えてしまう。

このままではマイクが西に囚われの身に。
なんとかマイクを救出しようと、リケはファビアンとヨナタンに救援を要請。
お気に入りのTV番組で知識を得ると、特殊装置ビームマシンの開発を計画。
このマシンでリケが西へテレポートし、マイクを連れて帰ってこようではないか。
マシンを完成させるためにはさまざまば部品が必要。
リケたちは部品の調達に奔走するのだが……。

思いっきりネタバレです。

なんとかマシンが完成。テレポートを試みた瞬間、大停電が起きます。
テレポートは当然失敗。予備電源を使って復旧させると、
なんと食堂に集まっていた大人が消えている。
テレビにはベルリンの壁の前でせめぎ合う大人たちの姿が。
リケたちは、誤って大人たちをテレポートさせてしまったと思い込みます。

大人たちをもう一度テレポートさせて村に戻さなければ。
マシンを再び稼働させたときにベルリンの壁が崩れ去る。
1989年11月10日のことでした。

自分たちの力で大人たちをテレポートさせ、ベルリンの壁も崩壊させた。
世界一恐ろしいはずの国境警備隊も、マシンの前では力を発揮できず。
そう信じる子どもたちの素晴らしい笑顔。

何が可笑しいって、この年齢にしてオトコを手玉に取るリケ。
可愛い顔をして超気が強く、したたか。
ファビアンとヨナタン、そしてオリバーまでもがリケに入れあげてしまい、
この四角関係を上手く利用するリケが凄い。
でもちっとも憎たらしくなくて、めちゃめちゃカワイイです。

本作とか『遠い空の向こうに』(1999)とか、宇宙飛行士になりたい子どもたちの話ってイイ。
こんな子が将来『オデッセイ』のマーク・ワトニーみたいになるのかも。

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『ドラゴン・ブレイド』

2016年02月19日 | 映画(た行)
『ドラゴン・ブレイド』(原題:天降雄獅)
監督:ダニエル・リー
出演:ジャッキー・チェン,ジョン・キューザック,エイドリアン・ブロディ,チェ・シウォン,
   リン・ポン,シャオ・ヤン,ワン・タイリー,ミカ・ウォン,ロリ・ペステ他

『オデッセイ』の4DX3D版とハシゴ。
同じくTOHOシネマズ西宮にて。

中国/香港作品。
『ライジング・ドラゴン』(2012)で「もう体は張らない」と宣言したジャッキー。
とはいうものの、その次の『ポリス・ストーリー/レジェンド』(2013)でも十分痛そう。
本作は史実が基になっていて、よりドラマ性を重視したようですが、
やっぱり体を張るのはやめられないようで、十分ズタボロになっています(笑)。

前漢時代の中国では、シルクロードでいくつもの部族が衝突。
武力に勝る部族こそすべてだと、どこも譲ろうとしない。
そんな中で、フォ・アンを隊長とする西域警備隊は、国境防衛と治安維持を担当。
フォ・アンは、部族間の諍いなくみんなで力を合わせることが最善と説く。
なかなか理解してもらえずに苦労を極めているが、平和な世にしたい。

ある日、陰謀に陥れられたフォ・アンは、反逆者の汚名を着せられ、
部下とともに辺境の関所“雁門関”に送られる。
厳しい労働を強いられても自らの信念を曲げないフォ・アンと部下の思いはひとつ。

そこへローマ帝国の将軍ルシウスが自軍を率いて現れる。
剣を抜こうとするルシウスに話し合いを望むフォ・アン。
ちょうど砂嵐が接近中でひとまず停戦、ルシウスらは雁門関で休息を取ることに。

ルシウスの話を聞けば、彼は執政官クラッススの末息子プブリウスの護衛を務めている。
プブリウスの兄に当たる将軍ティベリウスが、自らの父クラッススを暗殺。
まだ幼いプブリウスの命をも狙っているために、
ルシウスはプブリウスと軍を連れて西域に逃れてきたのだと言う。

ティベリウスはシルクロードごと手中に収めることを目論んでいるはず。
ルシウスとプブリウスを助けたいフォ・アンは、
すべての部族が一致団結してティベリウス率いるローマ軍に対抗すべきと考えるが……。

ジャッキー・チェンとジョン・キューザックに惹かれて観に行ったので、
なんだかとっても物足りない。う~ん、どう評価すればいいんだか。
悪役のエイドリアン・ブロディはキワモノ的扱いでキショいこと限りなし。
いずれもコスチュームがイマイチ似合っておらず、お笑いを狙っているのかと思いきや、
笑えるシーンはほとんどないから、真面目にやっているのでしょう。

ものすごくつまらなかったわけではなく、そこそこ楽しめたけれど、
観終わってみれば余韻も何もないから困ったもの。
砦をつくるのにいろんな知恵が出てくるのが「へ~っ」だったくらい。
ジャッキーの静かな反戦映画と思って観ましょうかね。

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4DX3D、2度目の体験。

2016年02月17日 | 映画(あ行)
封切り後の翌々日、109シネマズ大阪エキスポシティにて
IMAX3D版を観た『オデッセイ』
中国に気を遣いすぎている部分だけは気になりましたが、
あれでも原作よりは控えめなのだそうな。
それに曲がりなりにも大学では中国文学を専攻した身。
中国に対して嫌悪感を抱いているわけでもないし、
ご機嫌取りに違和感はあっても、とにかく楽しかったんです。

今週は今週で観たい映画が目白押しだけど、
どうにもこうにも『オデッセイ』の4DX3D版が気になる。
好きな映画を繰り返し観るよりは、
1本でも新しい映画を観ようとする性分なのに、
2週続けて同じ映画を観てしまうなんて。

前回4DX3Dを観たのは109シネマズ大阪エキスポシティだったから、
今回はちがう劇場で観てみようとTOHOシネマズ西宮へ。
109シネマズ大阪エキスポシティの4DXシアターは52席と小ぶり。
TOHOシネマズ西宮のそれは112席と倍以上の席数。
前者は小さい分、テーマパークのアトラクションのようでした。
後者ぐらいの大きさのほうが映画を観るにはいいように思います。

強制的にロッカーに荷物を預けさせられたエキスポシティ。
TOHOシネマズでは「荷物は座席下に置けません」との説明があり、
膝の上に置けない荷物はロッカーに入れるようにとの指示。
全員が利用できるほどロッカーの数はなさそうな。

さてさて、2度目もやっぱり楽しかった『オデッセイ』。
ただ、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』で4DX3Dを初体験したときに感じたように、
映像との一体感があまりありません。
でこぼこした路面を走るシーンでは座席後部にガシガシ衝撃がありますが、
なんか不出来なマッサージチェアに座らされているかのよう。
俯瞰映像からフォーカスしていくときはそれなりの臨場感。

『マッドマックス』のときにはあまり感じられなかった“におい”の演出。
今回はジャガイモを栽培するシーンで土の香りが感じられ、心地いい。
堆肥に使われたウ○コのにおいは演出なしでホッ(笑)。

何度観ても同じシーンで笑い、同じシーンで泣きます。
1度目に見落としてしまったのが、ルイスの夫が彼女のためにゲットしたグラビア。
夫が「凄いだろ」とグラビアを広げて見せたとき、ルイスが感激。
そのグラビアに写っているのが誰だかわからない間にシーンが変わってしまいました。
それを2度目にしてチェック。ABBA(アバ)でした。ワラける。

結論から言って、4DXで観る必要は特にないような。
どうしても観たい映画は2Dか普通の3Dにしておいて、
それがとても気に入った場合は4DXも体験してみるのもいいかなと。
ただし、IMAXはやっぱり綺麗ですね。
どの映画も3DじゃなくていいけどIMAXでは観たいかも。

この映画でなされたことが、理論上は本当に火星でできるって凄くないですか。
もう1回観てもいいぐらい私は好きです、『オデッセイ』。
ドナ・サマーの“Hot Staff(ホットスタッフ)”もグロリア・ゲイナーの“I Will Survive(恋のサバイバル)”も楽しすぎる。

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『キャロル』

2016年02月15日 | 映画(か行)
『キャロル』(原題:Carol)
監督:トッド・ヘインズ
出演:ケイト・ブランシェット,ルーニー・マーラ,サラ・ポールソン,ジェイク・レイシー,
   カイル・チャンドラー,ジョン・マガロ,コーリー・マイケル・スミスほか

『ブラック・スキャンダル』を観た日、夙川で食事。
あれよあれよというまに店内は満席に。
お料理はもちろんのこと、ワインの選定に電話の応対までひとりでこなすシェフ。
アルバイトのお兄ちゃんとお姉ちゃん、がんばって助けてあげて~。
21時半をまわり、何組かの客が帰ってようやく落ち着きの様相。

最後にもう1杯だけ飲んで帰ることにしたら、
人生でこれだけグラスなみなみのワインは初めてですというぐらい、
表面張力が起こるほど、シェフがグラスにワインを注いでくださり、
全部飲み干したらものすご~く酔っ払いました。
22時半には帰宅したはずなのに、そのまま撃沈。目が覚めたら1時半。
そこからお風呂に入って7時起床。だって映画の予約しちゃってるもの。
TOHOシネマズ梅田別館アネックスへと向かいました。

20世紀を代表する女流ミステリー作家パトリシア・ハイスミス。
彼女が1952年にクレア・モーガンという別名義で発表したのが“The Price of Salt”。
これは彼女が百貨店でアルバイトしていた頃に見かけた女性に触発されて書き上げた作品だそうです。
のちに“Carol”と改題されて再出版。つまり、本作の原作。

1952年、クリスマス目前のニューヨーク。
高級百貨店のおもちゃ売場でアルバイトをしているテレーズは、
ゴージャスな毛皮のコートに身をまとった中年女性に目を奪われる。
幼い娘へのクリスマスプレゼントを買いに来たという彼女はどこまでも優雅で、
テレーズは今までに感じたことのない胸の高ぶりに迫られる。

買い物伝票から知った彼女の名前はキャロル。
キャロルがショーケースの上に忘れていった手袋をテレーズは郵送。
するとキャロルからお礼の電話とランチへの誘いがかかる。
どぎまぎして落ち着かないテレーズに、
キャロルは夫ハージとまもなく離婚することを打ち明ける。
ある日、キャロルから自宅へ招かれたテレーズは……。

ミステリー作家と言われることを嫌っていたというハイスミス。
確かに、いわゆる誰かが殺されるとか犯人が誰だとか、
謎解きが含まれているわけではないので、ミステリーとはちと違う。
だけどなんでしょう、このざわざわした感じ。

自分がレズビアンだとは思ってもみなかったテレーズがキャロルと出会い、
これが恋というものなのかと驚きます。
一方のキャロルは最初からそんなことはわかっているかのようで、
だから、若くて可愛い女性を手込めにする悪女に見えなくもありません。(^^;
けれども、娘を心の底から愛する母親だということはひしひしと伝わってきて、
離婚に至る話のなかで葛藤する表情がつらい。

キャロルとテレーズがどんな選択をするのか。
原作の発刊当時、同性愛者の共感を得てベストセラーになったのもなるほど。
自分を偽らず、自分の存在意義を失わなかったキャロル。
ラストは同性愛者だけでなく、多くの人の共感を得ると思われます。
自尊心を失うことはなく、人の自尊心を傷つけることもなく、
身勝手に走っただけの恋ではないから。

キャロル役のケイト・ブランシェット、テレーズ役のルーニー・マーラともに素晴らしい。
絡みのシーンでルーニー・マーラが潔く脱いでいるのに、
見えそうで見えないケイト・ブランシェットはどうよと思いましたが(笑)。

余韻に包まれながら阪急百貨店バレンタインチョコレート博覧会へ。
チョコレートとワインを楽しんだあと、天満橋でごはん。
よく飲んでよく食べた水曜日と木曜日でした。

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