夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ペット』〈吹替版〉

2016年08月22日 | 映画(は行)
『ペット』(原題:The Secret Life of Pets)
監督:クリス・ルノー,ヤーロウ・チェイニー
声の出演:設楽統,日村勇紀,中尾隆聖,山寺宏一,佐藤栞里,
     銀河万丈,沢城みゆき,宮野真守,梶裕貴,永作博美他

全館停電の日に梅田で3本ハシゴの2本目。
前述の『ジャングル・ブック』と同じくTOHOシネマズ梅田にて。

以前から宣言しているとおり、「洋画は字幕で観る派」ですが、
アニメ、特に子どもをターゲットとする作品は、字幕版の上映が圧倒的に少ない。
どうしても観たい作品の場合は、吹替版を避けているうちに
作品の上映そのものが終わってしまうこともままあり、
最近はとりあえずは吹替版を観て、タイミングが合えば字幕版も観ることにしています。
『ファインディング・ドリー』もそうでした。
『テッド』は想定外の「両方」でしたけれども。

飼い主の留守中ペットは何をしているのか。
キャッチコピーは、“彼らは、お行儀よく留守番してる……とは限らない!”。
予告編でもっとも惹かれたのはプードルの登場シーンでした。
レナードという名前のそのプードルは、いつもクラシックを聴かされています。
「いい子にしているんだよ、レナード」と声をかけて飼い主が出て行った瞬間、
レナードはステレオをクラシックからヘヴィメタにチェンジ。
いきなりヘッドバンギングを始めるシーンに私は大ウケ。
ほかの犬猫たちの留守番の様子も可笑しくて、とても楽しみでした。

ニューヨークのマンハッタン
小型犬テリアのマックスは飼い主の優しい女性ケイティのことが大好き。
一日中一緒に居たいのに、毎朝ケイティは出かけて晩まで帰ってこない。
いったい人間はどこで何をしているんだろう。
とにかくケイティが早く帰ってきますようにとひたすら待つ毎日。

そんなマックスに密かに想いを寄せているポメラニアンのギジェット。
向かいのベランダから声をかけてみるが、
マックスはケイティのこと以外考えられない様子。

近所にはほかにもペットがいっぱい。
大食いのデブ猫、リスを目の敵にするパグ、TVゲーム好きのセキセイインコ、
電動式泡立て器で体をマッサージするのが好きなダックスフンドなどなど。
飼い主が留守の間、彼らはそれなりに交流して楽しく過ごしている。
ケイティ命のマックスだけど、ペットのみんなとも仲良し。

ところがある日、予期せぬことが起こる。
ケイティが大型犬の雑種デュークを保健所から連れ帰ってきたのだ。
その大きさに似合わずケイティの前ではしおらしくしているが、
マックスとふたりきりになった途端に意地悪ばかり。
そんなデュークのせいで、散歩中のふたりはみんなからはぐれて迷子になってしまう。

野良猫の集団に目をつけられ、命からがら逃げ出したのち、
ついには保健所の職員に捕まってしまうふたり。
途方に暮れるふたりだったが、地下組織を仕切るウサギのスノーボールに出会い……。

飼い主大好きのペットが迷子になって冒険をする。
『ルドルフとイッパイアッテナ』と似たような設定ですが、
こっちのほうがドタバタに終始していて、
予告編以上の面白さは残念ながらありません。途中寝てしまったところも。(^^;

それでも、マックスを助けようと奮闘するギジェットや、
見た目キュートで実は……なスノーボールの活躍は楽しく、そこそこ笑えます。
わかりやすい笑いなので、子どもさんにはいいかもしれません。

これはやっぱり字幕版を観たいなぁ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ジャングル・ブック』

2016年08月20日 | 映画(さ行)
『ジャングル・ブック』(原題:The Jungle Book)
監督:ジョン・ファヴロー
出演:ニール・セティ
声の出演:ビル・マーレイ,ベン・キングズレー,イドリス・エルバ,ルピタ・ニョンゴ,
     スカーレット・ヨハンソン,ジャンカルロ・エスポジート,クリストファー・ウォーケン他

今夏は2週連続で水曜日に全館停電(正確には節電)。
先週は西宮で3本ハシゴしましたが、今週は梅田で3本ハシゴ。

スケジュールを立てるさいに悩みに悩み、
「はたして本当に観たいのはどれか」と自問するもなかなか決められず。
字幕版で観ると決めていた本作ですが、字幕版の上映は8:15から。早っ。
出勤するダンナを駅まで送って一旦帰宅、案外早くおなかがスッキリ
今度は電車か車か悩みに悩み、暑いなぁ、やっぱり車にしよう。
お盆明けのこの日、渋滞にはまる可能性もあったので、
座席のオンライン予約はせずに、複数の選択肢をメモして7:15に出発。

まだお盆休み中のところがあったからか、渋滞はちょっとだけ。
35分で梅田に到着。となると、タイムズCHASKA茶屋町はまだ閉鎖中。
それよりも安い梅田スカイビル近くのタイムズまで行って駐車完了。
てくてく歩いてTOHOシネマズ梅田に到着したのが8:10でした。完璧。

誰もが知っているであろう『ジャングル・ブック』。
原作は1894年(続編は1895年)に出版されたラドヤード・キプリングの短編集。
イギリス領インドで生まれ育ったキプリングが聞き取った話に着想を得たそうです。
オーディションで選ばれたという主役の少年以外すべてCGというのがウリ。
監督は私の大好きなジョン・ファヴロー。やってくれます。
本物のジャングル映像の迫力に敵うわけがないと思っていたけれど、
CGでここまでできるのかと驚きました。

ジャングルにひとり取り残された人間の赤ん坊モーグリは、
黒豹のバギーラに拾われ、そのバギーラから託された母狼ラクシャに育てられる。
ラクシャは他の子狼と変わらぬ愛情をモーグリに注ぎ、
モーグリはジャングルの一員として少しずつ成長。

ところが、人間に強い敵意を持つ虎シア・カーンが現れ、モーグリの命を狙う。
シア・カーンは、モーグリを差し出すように父狼アキーラを脅す。
そんなことに屈しないアキーラとラクシャに危害が及びそうになっているのを知り、
モーグリはみずからジャングルを去ることを決意する。

せめて人間の村へモーグリを安全に送り届けたいと同行を申し出るバギーラ。
モーグリもそれを受け入れ、一緒に人間の村へと出発する。
ところが追いかけてきたシア・カーンに襲われる。
バギーラはシア・カーンに立ち向かい、身を挺してモーグリを逃がす。
再会を約束してその場を後にしたモーグリはひとりでジャングルを歩きつづけるのだが……。

何がスゴイって少年よ。自分以外ぜんぶCGなのに、どうしてこんな演技ができるのか。
目線や振る舞い、すべて存在しないもの相手の演技だとは信じられません。

声の出演者にベテラン俳優を揃え、楽しいことこの上なし。
バギーラにはベン・キングズレー
バギーラと別れた後にモーグリが知り合う熊のバルーにビル・マーレイ
猿の王様キング・ルーイにクリストファー・ウォーケン
そんななか、唯一のセクシーボイスは大蛇カー役のスカーレット・ヨハンソン

ジャングルの掟も興味深く、そんな掟を一蹴するバルーが面白い。
「プロパガンダ」の訳が「考えの押しつけ」だったことに、ほ~っ。
なるほどそう言われると子どもにもわかりやすい。

生きていくには自立することが必要だけど、みんなひとりでは生きられない。
大事なことがいっぱい詰まった鉄板ディズニー作品なのでした。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ニュースの真相』

2016年08月19日 | 映画(な行)
『ニュースの真相』(原題:Truth)
監督:ジェームズ・ヴァンダービルト
出演:ケイト・ブランシェット,ロバート・レッドフォード,トファー・グレイス,エリザベス・モス,
   ブルース・グリーンウッド,ステイシー・キーチ,デニス・クエイド他

全館停電の日にTOHOシネマズ西宮で3本ハシゴの3本目。
前述の『ルドルフとイッパイアッテナ』の後に。
そろそろ集中力が切れて眠くなる時分です。
危険だなぁと思いながら、レッドブルを飲むひまはなく、すぐに移動。

21世紀最大のメディア不祥事と言われた実際の事件が基。
スクープにまつわる実話ベースの作品といえば、
めっぽう面白かった『スポットライト 世紀のスクープ』を観たのが春のこと。
あちらは新聞、こちらはテレビ。
監督は“アメイジング・スパイダーマン”シリーズや『ホワイトハウス・ダウン』(2013)の脚本家として著名なジェームズ・ヴァンダービルト。
監督デビュー作として選んだのは、それらの脚本からは想像しがたい社会派ドラマ。
シワシワでんな、ロバート・レッドフォード。そんなことはどうでもいいとして。

アメリカ、2004年、再選を目指すブッシュ大統領
CBSの看板報道番組『60ミニッツII』では、ブッシュの軍歴詐称について調査を開始する。
それはベトナム戦争中、父親の力を利用してブッシュが兵役を怠ったという疑惑。
敏腕プロデューサーとして知られるメアリー・メイプスは、
優秀な番組スタッフとともに証拠集めに奔走し、匿名を約束して証言も確保する。
伝説的ジャーナリストのダン・ラザーがアンカーマンとしてそのスクープを発表、大反響を呼ぶ。

ところが保守派ブロガーが証拠についてある指摘をする。
それをきっかけに証拠が偽物ではないかと物議を醸す。
局内外から厳しい追及を受け、ダンとメアリーは釈明に追われることになり……。

集中力について危険を予測したとおり、前半は眠くなるところも少々。
中高年層がほとんどだったせいか、いびきや寝息もあちこちから聞こえました。
眠いのは私だけじゃないのかと安心したりもして。

しかし、スクープの放送が終わってブロガーの指摘があったところから、
俄然話が面白くなります。

問題は軍歴の詐称があったかなかったかなのに、そんな話は議論の外に。
証拠が本物か偽物なのか、それのみが問題になります。
とはいうものの、証拠が偽物ならば何を言っても駄目でしょう。
そんなふうに思いながら観ていたのですが、
ブッシュがCBSを叩き潰すために送りだした、出来レースの調査委員会で、
最後の最後にメアリーが語るシーンが圧巻。
ケイト・ブランシェットはやはり素晴らしい。

シワシワの彼も、こんな人に憧れてジャーナリストになりたいと思うのがわかるような、
ダン・ラザー役を好演。
そのほか、メアリーが引き入れたスタッフたちを演じるトファー・グレイス
もはやメグ・ライアンの元旦那と言われることもなくなったデニス・クエイドが○。

視聴者に真実を伝えることが義務であり宿命であるニュース番組。
正しく伝えつづけることがいかに難しいことか。
恥ずかしくない人間であろうとした人がここにもいます。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ルドルフとイッパイアッテナ』

2016年08月17日 | 映画(ら行)
『ルドルフとイッパイアッテナ』
監督:湯山邦彦,榊原幹典
声の出演:井上真央,鈴木亮平,大塚明夫,水樹奈々,寺崎裕香
     佐々木りお,八嶋智人,古田新太,毒蝮三太夫他

全館節電の日にTOHOシネマズ西宮で3本ハシゴの2本目。
前述の『秘密 THE TOP SECRET』の後に。

原作は斉藤洋の同名児童文学で、1986年の講談社児童文学新人賞入選作品。
翌年に杉浦範茂の挿絵で講談社から出版され、
1991年にはNHK教育テレビで『母と子のテレビ絵本』(現・テレビ絵本)としてアニメ化。
そのときの絵は堀口忠彦が担当、語りは毒蝮三太夫でした。
このたび劇場アニメ化されたので、絵本版、テレビ絵本版、この劇場アニメ版と、
すべて異なる絵で本作が楽しめるということですね。

黒猫のルドルフは飼い主一家の娘で優しい少女・リエちゃんのことが大好き。
リエちゃんに可愛がられて、幸せいっぱいの日々を送っていたが、
出かけたリエちゃんを追いかけて開いた門扉から飛び出した結果、通りは危険がいっぱい。
あたふたするうちに魚屋から泥棒と叫ばれて逃走。
たまたま通りかかったトラックの荷台に逃げ込んだところ、
そのままトラックが発進、降りられないまま夜が明ける。

ようやく止まったトラックから飛び降りるが、そこはまるで知らない土地。
途方に暮れるルドルフが出会ったのは大きな虎猫。
名前を尋ねられたので答えて聞き返すと、「名前は……イッパイアッテナ」。
虎猫の名前がイッパイアッテナだと勘違いするルドルフ。

イッパイアッテナは町の誰もから恐れられている様子。
しかし威張るふうでもなく、困り果てたルドルフを仕方なしに助けてくれる。
くっついて歩いてみると、イッパイアッテナは喧嘩に強いだけでなく、
人間の文字まで読むことができて、エサにありつく極意を知っている。
金物店の飼い猫でお調子者のプッチーとも知り合いになり、
野良猫生活に馴染んでゆくルドルフだったが……。

いいですねぇ。ま、猫が主役だというだけで点は甘くなってしまうものですけれども。(^^;
原作が昭和に書かれていたということもあり、そこはかとなく昭和っぽい。

それにしても人間のなんと身勝手なこと。
飼い猫にとっては唯一無二の飼い主なのに、
飼い主は自分が引っ越すとなれば飼い猫を放置して行くし、
出て行った飼い猫が帰ってこないとなれば替わりを見つけます。
あ、ネタバレすみません。

動物たちの言葉にもっと耳を傾けて、気持ちを聴くことができたなら。
そう思わなくもないですが、もし気持ちがわかったら、飼うことなんてできないかも。
動物たちにも心があることを忘れてはなりません。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『秘密 THE TOP SECRET』

2016年08月15日 | 映画(は行)
『秘密 THE TOP SECRET』
監督:大友啓史
出演:生田斗真,岡田将生,吉川晃司,松坂桃李,織田梨沙,大倉孝二,木南晴夏,
   平山祐介,三浦誠己,栗山千明,リリー・フランキー,椎名桔平,大森南朋他

先週水曜日は毎年恒例の全館停電の日
今回は正確には「停電」ではなく「節電」で、極力出勤しないようにしましょうということらしい。
もちろん休みを取って映画鑑賞。TOHOシネマズ西宮で3本ハシゴ、その1本目。

原作は清水玲子の人気コミックだそうで、大友啓史監督が実写映画化。
某レビューサイトを覗いてみると散々な言われようで、一抹の不安がよぎります。
だけど、観なきゃ文句も言えないし、私のハードルはわりと低いですから(笑)。

死亡した人間の脳をスキャンして、その人物が見たものを再生する“MRI”。
この新しい捜査方法によって事件の解決を目指す特別捜査機関、法医第九研究室、通称“第九”。
室長の薪(生田斗真)からの直々の指名で第九へ異動した青木(岡田将生)は、
まもなく刑が執行される死刑囚・露口(椎名桔平)のMRIを担当するように命じられる。

露口は自らの家族を殺害した罪で有罪に。
妻と次女、母親の惨殺体は発見されたが、長女の遺体だけが見つからなかった。
露口の脳をスキャンすれば、長女の行方がわかるのではないかと推測される。
まだ正式な捜査方法とは認められていないMRIで事件の全容を解明できれば、
第九も認められることになる。第九の運命は青木にかかっているといっても過言ではない。

大役を任せられた青木は自信満々だが、
過去に凶悪犯のMRIを担当した捜査官は自殺したり発狂したり。
薪とともに第九を立ち上げた鈴木(松坂桃李)もそのうちのひとりで、
30人近くもの少年を殺害した貝沼(吉川晃司)のMRI後に死亡した。
鈴木と交際していた監察医・三好(栗山千明)は、
青木が鈴木の二の舞になるのではないかと心配する。

死亡した露口の脳をスキャンした青木と、モニターでその様子を見ていた薪たち第九の面々は、
真犯人が露口の長女・絹子(織田梨沙)であることを知って愕然。
彼女はまちがいなくサイコパスで、今後も殺人を重ねるだろう。
露口を逮捕した刑事・眞鍋(大森南朋)に協力を強いて、絹子の行方を探すのだが……。

原作ファンは不満だらけなようですが、未読の私はじゅうぶんに楽しめました。
が、みんな大げさだし、声でかいし、映像は相当グロくて、好きとは言えず。
まさか続編はないだろうと思うけど、投げっぱなしの部分も多く、
回収しないならばそんな話を挟むのはやめてほしいなぁと思ったりも。

149分という長尺の間、まったく眠くならなかったのは○。
栗山千明の鼻ってすげぇ高いよな、椎名桔平もこんなに鼻高かったんだ。
その栗山千明の口角の上がり方に対して、織田梨沙の口もとはずっと「へ」の字。
怪しい医師役のリリー・フランキー、なんか演技力増してるやん。
……てな感じで、映画の本筋とは無関係なところばかりも気になって。

『マルコヴィッチの穴』(1999)がさかんに取り上げられています。
ま、そっちのほうが私の好みであることはまちがいありません。
自分の脳内を誰かに見られるのも嫌だし、人の脳内も見えないほうがよさそうだ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする