夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『アイスブレイカー 超巨大氷山崩落』

2017年11月25日 | 映画(あ行)
『アイスブレイカー 超巨大氷山崩落』(原題:Ledokol)
監督:ニコライ・ホメリキ
出演:ピョートル・フョードロフ,セルゲイ・プスケパリス,アンナ・ミハルコーヴァ,
   オルガ・フィリモノーヴァ,アレクセイ・バラバシュ,ヴィタリ・カエフ他

劇場で観た作品についてばかり書いていて、
DVD鑑賞した作品について書くことがめっきり減りました。
それでもTSUTAYA DISCASの定額16枚レンタルは継続中だから、
なんぞ借りて観なければなりません。

日本では劇場未公開のロシア作品。
原題の“Ledoko”は「砕氷船」の意なのですけれど、付いた邦題はこれ。
この手のタイトルに強く惹かれます。ものすごいB級の香り(笑)。
B級のいいところは上映時間も短くてサクッと観られるところ。
ところが本作に関しては125分もある。どーゆーこと!?
しょうもない2時間超は勘弁してねと思いつつ観はじめたら、予想だにしなかった良作。

1985年3月の南極。
砕氷船のミハイル・グロモフ号は、氷に囲まれて難航中のところ、
目の前に立ちはだかっていた巨大な氷山が崩れてくる。
氷塊がグロモフ号に当たり、その衝撃で船員のひとりが海へ落下。
船長ペトロフの指示でほかの船員が救出を試みるが失敗に終わる。

船体にも損傷を負い、どうにも身動きが取れなくなったグロモフ号。
かねてからペトロフに不満を持つ航海士エレメーエフは、
この機会に自分が船長の座を奪取しようと考え、
現状がペトロフの判断ミスによるものだと無線で本部に連絡。
やがてエレメーエフの思惑どおり、本部からペトロフ解任の通達があるが、
エレメーエフを船長にという話はなく、
ペトロフに代わる船長を送り込むという知らせだった。

まもなくヘリコプターに乗って新しい船長セフチェンコが到着。
操縦士のククシュキンはセフチェンコを降ろしてすぐに帰還するはずだったが、
ヘリコプターが故障してしまい、彼もグロモフ号にとどまることに。
セフチェンコはペトロフと比べものにならないぐらい冷徹。
ペトロフの件を密告したことをエレメーエフは悔やむが仕方ない。

船長を解雇されても、なんとかこの状況を打破しようと策を練るペトロフ。
しかしセフチェンコは本部の指示を待つというのみで動かない。
救援を送るという連絡の後、130日間以上も音沙汰のないまま。
燃料も食糧も底をつきはじめた頃、あの氷山がグロモフ号を追ってきていることがわかる。
セフチェンコの命令を守っていては死んでしまうと、
船員たちは行動を起こすのだが……。

こういう物語には船員同士のいざこざが付きもので、
見たくもない罵り合いもあったりするものですが、本作はそれほどでもない。
エレメーエフがちょっと嫌な奴だというぐらいで、それもほどほど。
ククシュキンが良い味を出し、音楽で船員たちを盛り上げるシーンが○。
なのにくだらんと一喝するセフチェンコが鬼に見えますが、
何を言われようともめげないペトロフと最後はこれ以上にないコンビに。

まったく期待していなかったからというのはあるでしょうけれど、
思いのほか良い話でちょっぴりグッときました。
これだから未公開作品の鑑賞もやめられない。

どついて直るヘリコプターはないやろ、というツッコミは入れさせてもらいます(笑)。

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『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』

2017年11月24日 | 映画(か行)
『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(原題:Kubo and the Two Strings)
監督:トラヴィス・ナイト
声の出演:アート・パーキンソン,シャーリーズ・セロン,レイフ・ファインズ,
     ルーニー・マーラ,ジョージ・タケイ,マシュー・マコノヒー他

109シネマズデー、109シネマズ大阪エキスポシティにて2本ハシゴの2本目。
前述の『GODZILLA 怪獣惑星』の上映終了から本作の上映開始まで25分あり。
だいぶせわしないけれど食材の買い物に走り、ナイロン袋を提げたまま劇場に戻る。
で、このたび初めて知ったことが。

109シネマズ箕面は、映画を2本観ても1本分の駐車サービスしか受けられません。
だからハシゴするときは、時間に余裕があれば一旦出庫してまた入庫していました。
平日の空いているときならそれもできるけど、休日は駐車場が混んでいるから無理。
TOHOシネマズなら5本分でもサービスしてくれるのになぁと思いながら、
109シネマズでは仕方なく超過した駐車料金をおとなしく払っていました。
以前エキスポシティでハシゴしたときも、1本分しかサービスを受けられませんと言われた記憶が。

そんな記憶はあったけれど、なぜかまた聞いてみる気になり、
「2本観るんですけど、1本分しか駐車サービスは受けられませんよね」ともぎりのお兄ちゃんに聞いたら、
「えーと、2本ご覧になるときは2本分つけられます」。ほんまかいな。
1本目で3時間、買い物して1時間、2本目の3時間の印字。
合計7時間無料になるわけですが、そもそも日曜日のエキスポシティは最大で5時間しか無料になりません。
映画だけで6時間サービスの印字をするのは変じゃあないか。
しかもTOHOシネマズの場合、映画毎に駐車券を出すと、
「今日はすでに何かご覧になりましたか」と尋ねられます。
映画を1本しか観ないのに2本分の駐車サービスを受けようとしているのじゃないかという確認ですね。
109シネマズでも聞かれると思ったから「これ、今日2本目です」と言ったら、
意味不明という顔をされました。
エキスポシティでハシゴする人、あまりいないのかも。
ま、エキスポシティもちゃんと映画の本数分駐車サービスしてくれることが判明。よかった。

『コララインとボタンの魔女』(2009)のライカ・エンタテインメントによるストップモーションアニメ
ハリウッド映画に登場する日本人はどこかヘンテコだったりするものですが、
これはとても不思議な魅力にあふれています。

母親と二人暮らしの少年クボ。
まだ赤ん坊のとき、サムライである父親が殺され、
危険が母子にも及んだことから、母親がクボを連れて命からがら逃げ出したのだ。
日ごと精神状態がおかしくなってゆく母親の面倒をクボひとりで見ている。

昼間はとある村へ出かけるクボ。彼は村の人気者。
というのも、三味線をかき鳴らして語りながら
折り紙を自在に操るという魔法の力を彼が持っているから。
サムライが活躍する話をみんなが聞きたがり、
そんな大道芸で稼ぐ金がクボと母親の生活を支える。

母親との約束は、日暮れと同時に必ず家に帰るということ。
夜になれば、父親を殺したやつらがクボを見つけにやってくるから。
ずっとその約束を守っていたのに、ある日、日暮れに気づくのが遅れてしまう。
すぐさまやってきた刺客に捕まりそうになったクボ。
間一髪のところで母親が身を挺して彼を逃す。

母親はきっと死んでしまっただろう。
ひとりぼっちになったクボの前に現れたのは口うるさいサル。
さらには陽気で巨大なクワガタまでついてくる。
サルとクワガタに守られて、究極の武具を探しながら旅をするクボ。

幻想的で美しいシーンがいっぱい。
ただ、刺客の姉妹はとても恐ろしく、小さい子が見たら泣くかも。
ところどころ眠くなるところもありますが、基本的には好き。
説教くさいというレビューも見受けられるけど、
説教くさいのが大嫌いな私には、それほどとは思えませんでした。

吹替版を上映している劇場がほとんどのなか、
エキスポシティは字幕版も上映していてラッキー。
声を担当した俳優陣がまた豪華。
サルにはシャーリーズ・セロン、クワガタにマシュー・マコノヒー
恐ろしげな姉妹にルーニー・マーラ、クボを狙う祖父にレイフ・ファインズ

監督のトラヴィス・ナイトは大の日本マニアだとか。
そらそうでしょ、そうじゃなきゃこんな作品を撮れません。
日本を愛する人が撮った作品なんだなぁと感じられます。

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『GODZILLA 怪獣惑星』

2017年11月22日 | 映画(か行)
『GODZILLA 怪獣惑星』
監督:静野孔文,瀬下寛之
声の出演:宮野真守,櫻井孝宏,花澤香菜,梶裕貴,杉田智和,諏訪部順一,
     小野大輔,三宅健太,堀内賢雄,中井和哉,山路和弘他

この間の日曜日は19日で109シネマズデー。
太陽の塔の下、万博公園へは毎日通勤しているというのに、
休日にまで行くのはどうなんだと思いつつ、109シネマズ大阪エキスポシティへ。

世界的な人気者、“ゴジラ”
今度は長編アニメーション作品として登場。
3部作の第1部だとは知らずに観に行ってしまいました。
アニメの基礎知識がまるでないものですから、
声優さんの名前が若干わかるだけで、監督とか全然知らんと思っていましたけれど、
『名探偵コナン から紅の恋歌(からくれないのラブレター)』の人なのですね。ほ〜っ。

20世紀末、地球に次々と怪獣が現れ、人類はなんとか戦うが、
最後に現れた“ゴジラ”は、どんな怪獣をも駆逐する破壊の化身。
苦闘する人類に、地球に安住の地を求めていたヒト型の異星人たちが援護を申し出る。
ゴジラ抹殺に成功したら自分たちも地球に住まわせてくれとの条件で。
しかしいずれも失敗に終わり、人類は仕方なく地球外惑星への移住することに。

地球を出発した恒星間移民船“アラトラム号”は、20年後、タウ星eにたどり着くが、
そこは人類が生存可能な惑星ではなかった。
かつてゴジラに両親を殺された青年ハルオ・サカキは、
今こそ人類は地球に戻るべきだと主張する。
一旦はゴジラに明け渡してしまった地球を取り返さなければならないと。

反逆罪で捕まったハルオは、船内の牢獄に放り込まれてもあきらめない。
同乗する異星人メトフィエスの手を借り、主張を続けた結果、
ついに彼の執念が実り、船は地球に向けて舵を切る。

長距離亜空間航行ののちに帰還した地球は、20年のはずが2万年経過していた。
怪獣が巣食う地球の頂点にいるのは、もちろんあのゴジラ。
ハルオの研究データをもとに、ゴジラ討伐作戦を練るのだが……。

ゴジラって、あちこちを破壊して回っても、どことなく哀愁が漂っていて、
憎みきれない存在だと思っていたのですけれどね、
このゴジラは、なんだか恐ろしいだけのもの。
もちろんつまらなくはないんです。でもワクワク感はない。
まるで特攻そのものの作戦も感心しないし、
そうでもしないと破壊できないゴジラは、憎しみの対象であるのみ。
ゴジラにも感情があると思ってはいけないでしょうか。

来年に2部が公開だそうです。
1部を観てしまったから、続編も観ますけれど、「観た」以外の何も残らないなぁ。

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『ジグソウ:ソウ・レガシー』

2017年11月20日 | 映画(さ行)
『ジグソウ:ソウ・レガシー』(原題:Jigsaw)
監督:マイケル・スピエリッグ,ピーター・スピエリッグ
出演:マット・パスモア,ローラ・ヴァンダーヴォート,カラム・キース・レニー,
   クレ・ベネット,ハンナ・エミリー・アンダーソン,トビン・ベル他

前述の『ザ・サークル』に超イライラさせられ、
私としては珍しくエンドロールを最後まで見ずに退出しました。
そのイライラを抑えてくれるのに適した作品とは思えないけれど(笑)、
とりあえず次はこれ。これもTOHOシネマズ梅田にて。

1作目の『ソウ』(2004)が人気を呼び、監督のジェームズ・ワンはたちまち売れっ子に。
その後、何度か監督を替えて毎年続編が撮られ、一応のシリーズ最終作となった7作目、
『ソウ ザ・ファイナル』(2010)は3Dで公開されました。
私が劇場で観たのは1作目と2作目だけ。以降はDVDでも観てへんような。
まぁ話がわからんという心配もなさそうですけれど。

で、どうやらジグソウことジョン・クレイマーは前作で亡くなった模様。
本作では死んだはずのジグソウが復活か、という話のようです。

警察に追われていた男が射殺されそうになり、自分を殺せばあと5人死ぬと叫ぶ。
抵抗むなしく男が警官に射殺された瞬間に、新たな死のゲームが始まる。

街なかの公園で無残に吊り下げられた死体が発見され、
その手口は伝説の猟奇殺人犯“ジグソウ”にそっくり。しかしジグソウは死んだはず。
刑事のハロランとキースは模倣犯の仕業だと考えるが、
医師ローガンとアナが解剖したところ、被害者の爪からジグソウの血液が検出され……。

グロいのも怖いけど、いちばん怖かったのは生き埋めにされそうなシーン。
密室に穀物が流し込まれて生き埋め状態になりかけ、
ようやく止まったと思ったら、鋭い刃物が次々に飛んでくる(笑)。
それが突き刺さりそうになるときの怖いことと言ったら。

何も知らずに観たから、最後は「へ~っ、そういうオチなのね」。
ちょっとズルイなぁと思わなくもないけれど、なるほど「レガシー(=遺産)」ですか。

腹立たしかった『ザ・サークル』よりはよほど楽しめました。
ちなみにこの日のハシゴ2本とも、字幕翻訳は松浦美奈さんでした。

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『ザ・サークル』

2017年11月18日 | 映画(さ行)
『ザ・サークル』(原題:The Circle)
監督:ジェームズ・ポンソルト
出演:エマ・ワトソン,トム・ハンクス,ジョン・ボイエガ,カレン・ギラン,
   エラー・コルトレーン,パットン・オズワルト,ビル・パクストン他

前日はTOHOシネマズ二条で3本ハシゴ。
まだシネマイレージ会員サービス週間だから、この日はTOHOシネマズ梅田で2本。

面白そうだと思って選択した1本でしたが、イライラし通し。
途中で退席したくなったけど、結末を観ないのも気持ち悪くて我慢。
私はこの1本でエマ・ワトソンが嫌いになりました(笑)。
なんだこのイラつく作品は。これも今年のワースト5入り確定。

原作はデイヴ・エガーズの同名ベストセラーなのだそうで。
21世紀文学の俊英と呼ばれている作家だとか。あ、そう。

24歳のメイ・ホランド(エマ・ワトソン)は水道会社のしがない事務員。
平々凡々とした暮らしに嫌気が差している。
実家の父親は多発性硬化症という難病に侵されており、
母親が常にそばについていなければ生活が困難。
両親のために何かできればと思うものの、少ない給料では叶わない。

そんな彼女に、親友のアニー・アラートンから嬉しい連絡が入る。
超巨大SNS企業“サークル”に勤めるアニーが、メイの面接話を取り付けてくれたのだ。
さっそく出向いたところ、採用が決まってメイは有頂天に。
娘の大企業への転職を知った両親も大喜び。

サークルのカリスマ経営者イーモン・ベイリー(トム・ハンクス)は、
全人類が隠し事をせずに完全に透明化すれば、よい世界になると主張する。
あまりのプライバシーのなさに最初は疑問を持つメイだったが、
父親の病気の治療にも手を貸してくれるサークルに次第にのめり込む。

あることをきっかけに、イーモンから呼び出されたメイは、
大型プロジェクトのモニター社員に抜擢される。
メイは超小型カメラを身に着け、日常生活をリアルタイムで全世界に配信することに。
秘密を持つことは嘘をつくこと。日常のすべてをさらけ出す透明化こそ、
平和な世界を生むのだということを人々に知らしめるため。
メイのフォロワーは膨大な数となり、一躍世界のアイドル的存在になるのだが……。

何が私をイラつかせたのか、正直なところよくわかりません。
けれど、エマ・ワトソンのすべてが嘘っぽい。
確かに綺麗な子だけど、笑い顔も泣き顔も嘘っぽいんです。
そう、「いい子ぶりっ子」という表現がいちばんピッタリくるでしょうか。

別に物理的に残忍なシーンが出てくるわけじゃないけれど、物語が悪趣味すぎ。
自分のせいで大事な幼なじみが亡くなって悲しみに浸る顔も嘘っぽくて、
彼女の母親のやたら可愛らしい声にまでもイライラ。
「私にしかできないことなの」って、どんだけ自意識過剰やねん。

これをもしエイミー・アダムス辺りが演じていたならば、
イメージは変わっていたかもしれません。面白いと思ったかも。
とにかく、とうぶんエマ・ワトソンの顔を見るたびに眉間に皺が寄りそうです。
彼女はイマドキの女の子を演じると「女の敵」っぽい(笑)。
ファンタジーの世界のお姫様を演じているほうがいいと見ました。
こんないい子ぶりっ子、絶対信用でけん。(^^;

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