夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『もっと超越した所へ。』

2022年10月26日 | 映画(ま行)
『もっと超越した所へ。』
監督:山岸聖太
出演:前田敦子,菊池風磨,伊藤万理華,オカモトレイジ,黒川芽以,三浦貴大,趣里,千葉雄大他
 
TOHOシネマズ伊丹にて、2本ハシゴの1本目。
 
原作は根本宗子の舞台劇で、彼女自身が執筆した脚本により映画化。
山岸聖太監督は私はお初かと思ったら、『全員、片想い』(2016)の中の1本を担当されています。
 
4組のカップルを同時に描く恋愛群像劇
いずれも男がクズ、そしてそれを引き寄せてしまう女たち。
 
衣装デザイナーの真知子(前田敦子)は、ちょっと凹んでいた折に、
中学時代の同級生だった怜人(菊池風磨)をネットで見かけ、つい連絡。
ストリーマーの怜人と会ったその日、彼はすでに自分が住んでいた部屋を解約してきたと言う。
すぐに真知子の部屋に転がり込んできた怜人をなんとなく拒絶できない。
 
ショップ店員の美和(伊藤万理華)は、フリーターの泰造(オカモトレイジ)のことが大好き。
ひたすら明るい泰造とバカなことを言いながら笑う毎日はかけがえのないもの。
このところ美和の体調が悪いことを知った泰造は、彼女がコロナはたまた妊娠かと心配。
 
風俗嬢の七瀬(黒川芽以)は、役者だという慎太郎(三浦貴大)のお気に入り。
慎太郎は実は落ちぶれた元子役で、プライドの高さだけが天下一品。
常に七瀬を指名するわりには風俗嬢をバカだとけなして見下す発言ばかりしていたが、
ある日、七瀬が子持ちだと知って衝撃を受ける。
 
鈴(趣里)は地道に活動を続ける子役上がりのタレント。
ゲイでボンボンの富(千葉雄大)と一緒に暮らし、この生活を居心地よく思っている。
お互い潔癖症で波長が合い、家で過ごすのも外に出かけるのも一緒。
しかし男女を意識しない関係を寂しく思っていたりもする。
 
慎太郎と鈴それぞれの話を聞いて、このふたりはもともと関係があることは察せられます。
そのとおり、途中でこれら4組が数年前にシャッフルされていたのでした。
 
いや~、面白い。
結局、クズに引き寄せられる女は、何度でもクズ男にひっかかる(笑)。
クズと別れてスッキリおしまいかと思いきや、終わりません。
ラストはなくてもいい展開だったんじゃないかと思いましたが、
そうか、もともとが舞台劇だから、こういうふうになるんですね。
 
クズだったとしても、自分にそれを引き寄せる原因はある。
自らを振り返りながら、よりよい関係をなんとか築けるのではないかと考える彼女たち、前向き。
舞台で観るともっと面白そう。
4つの部屋を同時に見せてもらえるのでしょうか。観たい!

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『バッドガイズ』〈字幕版〉と〈吹替版〉両方。

2022年10月25日 | 映画(は行)
『バッドガイズ』(原題:The Bad Guys)
監督:ピエール・ペリフェル
声の出演〈字幕版〉:サム・ロックウェル,マーク・マロン,クレイグ・ロビンソン,アンソニー・ラモス,オークワフィナ,
          リチャード・アイオアディ,ザジー・ビーツ,リリー・シン,アレックス・ボースタイン他
声の出演〈吹替版〉:尾上松也,安田顕,河合郁人,長田庄平,ファーストサマーウイカ,
          高橋真麻,甲斐田裕子,山口勝平,斉藤貴美子他
 
実はこれも2回観ています。
 
字幕版を観たのは公開2日目でした。
この日は北新地でひとりディナー&ひとり呑みの後のレイトショー鑑賞だったため、相当酔っぱらっていました。
TOHOシネマズ梅田別館にたどり着いたものの、「絶対寝る」と確信。
その通りになって、開始後早々に爆睡モードに。ところどころ目が覚めたけど、ほぼ何も覚えていない。
で、書けませんでした。
 
リベンジするほどでもないかなぁと思いつつ、貯まったポイントもあることだし、
割引のない日に109シネマズ大阪エキスポシティにてポイントを使って吹替版を無料鑑賞。
 
原作はアーロン・ブレイビーによるベストセラー児童書シリーズとのこと。知らんけど。
 
ロサンゼルスのとある街。
姿を見れば誰もが怖がるオオカミのミスター・ウルフと親友スネーク、
それにシャークとピラニアとタランチュラは、悪名高き5人組の怪盗集団“バッドガイズ”。
ある日、伝説のお宝“黄金のイルカ”を盗もうとするが失敗、逮捕されてしまう。
 
街の名士でモルモットのマーマレード教授は、5人に更生プログラムを受けさせることを提案。
ウルフたちはその話に乗ったふりをして再びイルカ強奪の機会を狙うのだが……。
 
信頼厚いマーマレード教授が実はいちばん悪いやつで、
更生プログラムの効果を示したふりをする5人が集めた寄付金もイルカも何もかも、
自分がいただいちゃおうという魂胆。5人は罪を着せられちゃうんですねぇ。
 
不思議なのは、どうしていつもモルモットなのかということです。
『DC がんばれ!スーパーペット』のときも、可愛くて皆に愛されるモルモットがいちばん悪かった。
モルモットは最近のおとぎ話の世界ではそういう役目に回されているのでしょうか。
 
世間から怖がられ嫌われている人たちも、本当はそうありたいわけじゃない。
人に対していいことをして感謝されたらやっぱり嬉しい。そういうことなのかな。
 
安田顕の声がスネークにあまりにピッタリで笑いました。
ちょっとウザイぐらいのダミ声です(笑)。
 
大人も子どもも楽しめるアニメかと。
とりあえずリベンジを果たせて満足!

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『グリーンバレット』

2022年10月24日 | 映画(か行)
『グリーンバレット』
監督:阪元裕吾
出演:和泉芳怜,山岡雅弥,天野きき,辻優衣,大島璃乃,内藤花恋,
   伊能昌幸,松本卓也,大坂健太,沢口愛華,碕理人,板尾創路他
 
『ベイビーわるきゅーれ』(2021)が最高に面白かった阪元裕吾監督。
2021年のミスマガジン受賞者6人をキャストに起用して撮ったのが本作。
塚口サンサン劇場で前編に当たる『最強殺し屋伝説国岡』(2021)と共に
2週間限定上映ということで観に行きました。
 
プロの殺し屋を目指す6人の女性、
山田ふみか(和泉芳怜)、今井美香(山岡雅弥)、神里はるか(天野きき)、
東雲唯(辻優衣)、鹿目梨紗(大島璃乃)、沖田響(内藤花恋)は、
京都最強の殺し屋といわれる国岡昌幸(伊能昌幸)がインストラクターを務める訓練合宿に参加。
 
ところが6人各々の個性が強すぎて、国岡は振り回され気味。
1週間の訓練の後におこなわれる合否判定の試験に臨んだ6人は、
クリアするどころか困った事態を招いてしまう。
結果、野良の殺し屋集団“フォックスハンター”が合宿地に乗り込んできて……。
 
ゆるゆるのアイドル映画かと思ったら、女子6人が次第に本物の殺し屋っぽくなってきます。
観客たまに大爆笑、すっごくいい鑑賞時間だったはずなんですが。
 
なんと私、またまた爆睡してしまいまして。
この日午後休を取っていた私は、所用を済ませてから梅田へ向かい、こちらでひとり呑み。
生ビール1杯、日本酒冷やで2合、グラスワインを1杯。たらふく食べる。
おおっ、ちょうどいい時間になったとわざわざ塚口へ向かったのに。
 
すみません。途中からほとんど話を覚えていないので、これ以上書けません。
ちゃんと書けるように期間限定上映中にリベンジを果たす所存です。待ってて!(^O^)
 
→で、この2日後、しっかりリベンジを果たしました!
お目目見開いたまま観た結果、めちゃめちゃ面白かった。
 
6人がどんな子なのかもよくわからなかった1回目。2回目に観たら、可笑しすぎる。
やる気なさそうなのに才能はピカイチだったり、真面目すぎたり、
プロダクションを騙る社長から明らかに詐欺に遭っているのに気づかなかったり、
それぞれ見ていてイラつく部分はあるのですが、終盤にはそれが可愛くてたまらない。
一致団結する最後なんて、涙出そうになりましたもん。
 
これらは、国岡に魅せられたカメラマン(大坂健太)が同行して
合宿の模様を撮影するというドキュメンタリータッチで描かれています。
このカメラマンが何かといえば「僕は大卒だから」と言うウザイ奴で、
国岡やサブインストラクターのチンピラ殺し屋(松本卓也)にダメ出しします。ほんとウザイ(笑)。
 
知った俳優といえば板尾創路くらい。
彼は合宿所の経営者で、泊まるところと食べるものを提供するのみならず、武器も完備。
あらゆるところが可笑しいです。
 
殺し屋が許せない殺し屋。「おめぇらみたいな奴を殺すために殺し屋になったんだよ」。
ちゃんと起きて2回目を観られてよかった。
「殺し一瞬、後処理一生」、名言。
 
『トロール・ハンター』(2010)みたいなドキュメンタリーを撮りたいという話とか、
“エクスペンダブルズ”は観ておいたほうがいいという話も会話の中に登場します。
併せて観ればより楽し。
 
ところで、阪元監督はそろそろ殺し屋の話以外もお撮りになるのでしょうか。

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『七人樂隊』

2022年10月23日 | 映画(さ行)
『七人樂隊』(原題:七人樂隊)
監督:サモ・ハン,アン・ホイ,パトリック・タム,ユエン・ウーピン,
   ジョニー・トー,リンゴ・ラム,ツイ・ハーク
出演:ティミー・ハン,フランシス・ン,ジェニファー・ユー,ユン・ワー,ン・ウィンシー,トニー・ウー,
   ミミ・クン,サイモン・ヤム,チョン・ダッミン,ラム・シュー,ローレンス・ラウ他
 
塚口サンサン劇場にて、前述の『きっと地上には満点の星』の次に。
 
ジョニー・トー監督が香港を代表する映画監督7人を結集して製作したオムニバス作品。
1950年代から未来まで、さまざまな時代を舞台に展開していきます。
 
第1話『稽古』(監督:サモ・ハン)。
厳しい師匠のもと、連日練習に明け暮れる弟子たち。
師匠が階下の部屋にいる間はサボろうと皆で連携していたのに、ある日それがバレて……。
もとはサモ・ハン・キンポーを名乗っていた監督の自伝的物語なのだそうです。
師匠がいなくても練習をサボらなくなった弟子たち、エライ。
 
第2話『校長先生』(監督:アン・ホイ)。
悪ガキたちを厳しく、しかし寛容に指導する校長先生。
一方、まだ若い女性教諭は慈愛に満ち、優しいまなざしで子どもたちを見つめる。
数十年後の同窓会の日、その女性教諭はすでに他界していて……。
教室でおしっこを漏らしてしまった児童への女性教諭の対処の仕方が素晴らしかった。
 
第3話『別れの夜』(監督:パトリック・タム)。
大恋愛中の男女だったが、女性が両親と共にロンドンへ移住することが決まる。
寂しくてたまらない男性は女性を避けがち。
引っ越し前夜、女性は男性を呼び出して、自らを捧げようとするのだが……。
今宵の飛行機が自分たちの上に墜落してくれたら永遠に一緒にいられるのに、
というつぶやきが面白かった。
 
第4話『回帰』(監督:ユエン・ウーピン)。
移住する息子一家に誘われても、香港から出たくないという老人。
移住前に訪ねてきた孫娘から英語を習う代わりに護身術を教える。
数年後、戻ってきた息子一家。孫娘との再会。
香港が好きだ、そんな老人の思いがひしひしと伝わってきます。
 
第5話『ぼろ儲け』(監督:ジョニー・トー)。
3人のまだ若い男女は、投資で大儲けしようと日々相談。
飲食店で買い時をはかっていると、そのときが到来。
ところが、発注すべき番号と、飲食店のメニュー番号を間違えて……。
大損のはずが大儲けって、こんな話が普通はないでしょう。夢はあるけど。
 
第6話『道に迷う』(監督:リンゴ・ラム)。
移住先から香港にしばし帰ってきた男性とその家族。
妻と息子と待ち合わせしたものの、様変わりした街に驚くばかり。
なかなかたどり着けずにいる男性の心によみがえる昔の風景。
ようやく妻子の後ろ姿を見つけたのに……。
 
第7話『深い会話』(監督:ツイ・ハーク)
最終話は人を食ったような話です(笑)。
精神科医と患者ふたりの会話をガラス越しに聴く医者たち。
と思いきや、精神科医と思っていたほうが患者!?
第6話までに登場した監督の名前や、香港の有名女優の名前が飛び交います。
 
個人的には第4話と第6話が好きです。
知らない国の話なのに、郷愁を感じました。

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『きっと地上には満天の星』

2022年10月22日 | 映画(か行)
『きっと地上には満天の星』(原題:Topside)
監督:セリーヌ・ヘルド,ローガン・ジョージ
出演:ザイラ・ファーマー,セリーヌ・ヘルド,ファットリップ,ジャレッド・アブラハムソン他
 
なんでしょう、先月今月の塚口サンサン劇場利用率の高さは。
この日もちょっと時間ができたので、思いきって向かう。
 
本作が長編デビューとなる監督コンビ、セリーヌ・ヘルドとローガン・ジョージ。
母親役をヘルド監督みずからが演じています。
娘役はこれがデビュー作となるザイラ・ファーマー。
 
ニューヨークの地下に潜って廃トンネル内で暮らす人びと。
シングルマザーのニッキーは5歳の娘リトルを抱え、ここで生活している。
 
ある日、見回りにやってきた市の職員たちが、人びとを追い出しにかかる。
リトルを取り上げられたくない一心で地上に逃げることを決意するニッキーだったが……。
 
わりと最近読んだ中山七里『帝都地下迷宮』を思い出しました。
廃トンネル内にはコミュニティがありますが、
『帝都地下迷宮』の場合は某事故のせいで日光を浴びることができなくなった人の集まりでした。
本作の場合は貧しさから地上で暮らすことをあきらめた人の集まり。
しかも、ニッキーはジャンキーで、地下でドラッグを売るジョンのもとへ通います。
 
カネがないならドラッグやめろと思うけれど、彼女はいわゆるシャブ漬けにされた人。
その生活から逃れてきたのでしょうに、稼ぐすべがない。
稼ぐすべはないのに、ドラッグを完全に断つことはできません。
 
地上に出たところで、リトルを連れて逃げ回るには限界があります。
売人とはいえ善人のジョンは、リトルの将来を心配し、
子どもがちゃんと学校に通えるように考えるべきだと言います。
 
地上を歩き回る途中でニッキーとはぐれてしまったリトル。
泣き叫びながら愛娘を探すニッキーの最後の選択はつらいけど賛成。
 
残念なのは、このラスト以外はニッキーがただ走り回っているだけの作品だということ。
だからかなり退屈です。
子どもを手放したくない母親の姿を捉えればこんなふうになるのは当然とも言えるけど。

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