夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈な行〉

2022年12月29日 | 映画(な行)
《な》
『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』(原題:Glass Onion: A Knives Out Mystery)
2022年のアメリカ作品。Netflixにて配信。
まさか『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』(2019)の続編が配信とは。
登場人物はダニエル・クレイグ演じる探偵ブノワ・ブランが同じだけ。
ハイテク億万長者のマイルズ(エドワード・ノートン)の邸へ招待された彼の友人たち。
知事、化学者、YouTuberなど、いずれもマイルズの恩恵に与る者ばかりで、
マイルズは招待したおぼえのないブノワまでやってきたものだから驚く。
もうひとり、マイルズの招かざる客は、金儲けに走るマイルズを止めたかつてのパートナー、アンディ。
邸が建つ孤島へと船で向かった面々だったが、その晩、YouTuberが殺されて……。
つい先日配信開始になったばかりだけどネタバレしちゃいます。
アンディだと思われていたのは彼女の双子の妹ヘレン。
アンディが何者かに殺害され、その真相を暴こうとブノワに依頼し、
ふたりで相談、協力して島へと乗り込んだのでした。
アンディとヘレンを演じるジャネール・モネイがめちゃめちゃ綺麗でカッコイイ。
対するエドワード・ノートンが彼女にやり込められるシーンは最高です。
焼け落ちるモナ・リザ、ざまあみろ。
前作の丁寧さはないし、コロナに寄せたコメディみたいになっている感はあるけれど痛快。
 
《に》
『二十世紀のキミ』(英題:20th Century Girl)
2022年の韓国作品。Netflixにて配信。
20世紀の終わり。
女子高校生ボラ(キム・ユジョン)の親友ヨンドゥ(ノ・ユンソ)が海外で心臓病の手術を受けることに。
渡米直前、ヨンドゥは同校の男子ヒョンジン(パク・ジョンウ)に一目惚れ。
こんなときに海外で手術を受けねばならぬことを嘆くヨンドゥに、
ボラはヒョンジンについて日々調べて情報をメールで知らせると約束する。
ヒョンジンの身長、好きな音楽、ポケベルの番号などを調べるうち、
ボラはヒョンジン親友ウノ(ピョン・ウソク)のことが気になりはじめ、両想いになったのだが……。
ヨンドゥが帰国してみたら、実は彼女が一目惚れした相手はウノでした。
恋愛を採るか友情を採るかというありがちな展開ですが、
ありがちな展開って王道なわけで、やっぱりいいんですよねぇ。
連絡の途絶えたウノを忘れられないボラ。15年前にウノは亡くなっていましたというオチは悲しすぎるけど。
パク・ジョンウの三枚目の演技が光っていました。
 
《ぬ》
毎年困る音。ありません。
 
《ね》
『ネイバー大戦争 隣の芝はサンバの香り』(原題:Fenced In)
2022年のブラジル作品。Netflixにて配信。
リオの楽器店に勤務していたヴォルテルは、無作法な客がかき鳴らす楽器の音で神経を患う。
医者から騒音のない暮らしを勧められ、妻ジョアナとともに静かな郊外へ引っ越し。
数日間は夢のように穏やかな生活を送っていたが、ある日、信じがたいほどの騒音で目覚める。
どうやら留守にしていた隣人が帰ってきたらしく、苦情を申し入れに向かう。
隣人は有名なサンバチームの主催者で、家に何十人ものメンバーを招いてドンチャン騒ぎ。
訳のわからぬペットを何匹も飼っているうえに、
子どもたちがドラムやらチューバやらそれぞれに練習しはじめ……。
弁護士見習い中の娘が隣人を訴えてくれるかと思いきや、いつのまにか隣の息子とくっつく。
リオに戻ろうにも元の家は売り払ってしまい、田舎へ引っ越したせいで妻の仕事の顧客も激減、貯金が底をつきます。
気の毒なはずが、ヴォルテルが格好良くもなんともないオヤジのせいで同情できず。
ブラックなドタバタコメディだけど、ノリが違うせいか全然笑えない。(^^;
 
《の》
『残り火』(原題:Loving Adults)
2022年のデンマーク作品。Netflixにて配信。
友人と共に起業した建設会社が大当たりして富を築いたクリスチャン。
才能あふれる音楽家だった妻レオノラは、大病を罹う息子の世話にかかりっきりで、
音楽の道を歩むことを断念せざるを得なかったが、後悔はしていない。
ところがある日、夫が部下のセニアと浮気していることを知り、激怒する。
夫に不倫を精算するように言い募るが、クリスチャンはレオノラと離婚してセニアと再婚したい。
レオノラは決してそれを許そうとせず、もしも自分と別れるつもりなら、
クリスチャンが詐欺を働いて金を儲けたことを通報すると言う。
困り果てたクリスチャンは、ジョギング中のレオノラ殺害計画を立てるのだが……。
ジョギング中の妻を轢き殺したはずが別人でしたって、どこまで不運なのか(笑)。
妻のすべてが怖すぎて震え上がります。最後は夫の浮気相手まで殺されちゃいますから。
とても恐ろしくて面白いスリラーでした。

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今年観た映画50音順〈た行〉

2022年12月28日 | 映画(た行)
《た》
『タール 因縁の荒野』(原題:Thar)
2022年のインド作品。Netflixにて配信。
タール砂漠が広がるラージャスターン州パキスタンとの国境近くの町ムナバオ。
ある夜、ひそかに麻薬の倉庫となっている民家に強盗団が押し入り、住人が殺される。
結婚間近でありながら別の男と外出先で浮気していた住人の娘は無事だったが、
捜査に訪れた警部補スレーカとその部下に正直に話そうとしない。
また、耳を掻き切られた男性の遺体が発見され、続いて悪名高き数名の男が次々と行方不明に。
これも麻薬絡みの犯罪かとスレーカは考えるが、
どうも後者の犯人は正義のために悪人を罰しているように思えてきて……。
デリーからやってきたという骨董商シッダールトが後者の犯人であることは早いうちにわかります。
ただ、耳を切ったり指を折ったり、捕らえた男たちをすぐには殺さずに、
吊して拷問にかけてからじわじわ殺そうとするのはなぜなのか。
その理由が凄絶で、今までに観たインド作品のなかでいちばん怖かったかも。
妻をいたぶり殺されたシッダールトには同情すべきものがあります。
が、はたして強盗団の話は必要だったのかどうか疑問。
 
《ち》
『TUBE チューブ 死の脱出』(原題:Meandre)
2020年のフランス作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
愛娘を亡くした悲しみから立ち直れずに自らも死ぬことを考えていた女性リザ。
なのに死ねずにいたところ、通りすがりの車に拾われる。
運転手に襲われて気を失った彼女が目覚めると、暗くて狭い檻のような部屋の中。
手首にはカウントダウンの表示が光るブレスレットが取り付けられており、
開いた扉から外に出てみると、そこにはチューブ状の通路が迷路のように広がっていた。
邦題から想像できるとおり、設定が『CUBE』(1997)そのまま(笑)。パクリです。
目覚めたときに彼女が着せられている服が凄いんです。どういうコスプレ!?
いきなり通路の幅が狭くなったり、天井が下がってきたり、火炎が噴き出したり。
化け物に追いかけられるシーンなんて怖い怖い。でもなんか雑でワラける。
臍に管が直結されてかつて幸せだった映像を見せられ癒やされるところは斬新か(笑)。
無事脱出して終わりかと思いきや、死ぬんかい。いや、死んでない!?
 
《つ》
『ツイン・ミュータント』(原題:Transference: Escape the Dark)
2020年のカナダ作品。劇場未公開。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
幼い頃に事故で親を亡くした兄妹ジョシュアとエマ。
エマはある能力が持っているが、もしもそれが悪用されるととんでもないことになる。
ジョシュアはエマを守ろうと、隔離された部屋に彼女を閉じ込め、
親しい病院関係者に彼女の能力を抑える薬の投与を頼むが効果なし。
あるとき、エマを探しているらしい怪しい人影にジョシュアは気づき……。
邦題から想像していたのはミュータントが生まれてウギャーとなるようなB級作品。
ところがミュータントっぽさは全然なくて、詐欺みたいなタイトル。
エマの隠された能力とは、ジョシュアが痛めつけられるとそれがエマに伝わり、
怒りに駆られて人を殺すほどの力を発揮するらしい。
そもそも英語作品ではないと思っていたので、始まってみてびっくり。
 
《て》
『テーラー 人生の仕立て屋』(原題:Raftis)
2020年のギリシャ/ドイツ/ベルギー作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
少年の頃からスーツを着て仕立て屋になるべく育てられたニコス、50歳、独身。
このところ経営不振が続き、銀行から差し押さえを宣告される。
ショックで入院した父親の留守中、ニコスはなんとか事態を立て直そうと、
生地や仕立て道具を詰めた屋台を単車で引っ張って、移動式の仕立て屋を始める。
しかし屋台でスーツを作ろうという客などいるはずもなく困っていたところ、
ウェディングドレスを作ってほしいという注文が舞い込む。
戸惑いながらも手探りで婦人服の仕立てに着手。すると思いのほか人気を呼び……。
ディミトリス・イメロス演じるニコスはどうみても変人で、台詞もほとんどなし。
几帳面で毎日ルーティンの行動しかできない彼ですが、どうにも憎めない。
隣家の少女ヴィクトリアだけは最初からニコスに好意的だったのに、
自分の母親オルガがニコスとあまりに親しくなると不機嫌になる。
父親に密告はせずとも、ニコスに意地悪な態度を取りはじめるのは、
思春期の少女の複雑な思いが表れていて苦い気持ちになりました。
ラストの風を切って走る“ウェディングドレス屋 ニコス”のシーンがとても良い。
ふだんあまり映画を観ない人にはお薦めしづらい作品だけど、私は好き。
 
《と》
『Togo/トーゴー』(原題:Togo)
2022年のウルグアイ作品。Netflixにて配信。
モンテビデオの通りの1区画で駐車場の誘導係をしながら路上生活を送る男性トーゴー。
すぐ隣の区画ではコカインの取引が横行しているが、
自分の区画には決してそんなものを持ち込ませたくない。
ある日、富裕な家庭に育ちながら両親に反抗して家を飛び出してきた少女メルセデスが、
自分も路上生活を送りたいと言ってトーゴーを頼ろうとする。
最初は取り合おうとしないトーゴーだったが、放っておけずに面倒を見ることに。
しかし、トーゴーの区画を狙う組織が従うように脅しをかけてきて……。
ウルグアイってスペイン語が公用語なんですね。それすら知りませんでした。(^^;
これほど怖い国だとは知らず、ビビるビビる。警察はまったく当てにならないし。
足をひきずり杖を突きながら歩くトーゴーはどうみても弱そうな爺さんなのに、
もとはプロボクサーで結構強かったらしい。
事故に遭ってこんな体になってしまったけれど、絶対悪には屈しません。
過去に荒んだ時期はあっても、誠実に生きてきた彼に優しい町の人もいる。
実際にはむずかしいことでしょうが、ハッピーエンドが嬉しい物語。
メルセデスのTシャツの字“悪兆候”には目が釘付けになりました。これかなぁ。

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今年観た映画50音順〈さ行〉

2022年12月28日 | 映画(さ行)
《さ》
『殺人鬼から逃げる夜』(英題:Midnight)
2021年の韓国作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
通販会社のお客様対応を手話で務めるギョンミ。
生まれつきの聴覚障害者であり、彼女の母親も同じ障害を持っている。
ある日の帰宅途中、路地裏で負傷して倒れている女性ソジュンを発見。
ギョンミは助けようとするが、ソジュンは実は連続殺人鬼ドシクのターゲット。
ドシクは目撃者となったギョンミを追いかけることに。
警察に逃げ込んだギョンミは、後からやってきたドシクの犯行を伝えようとするが、
とても殺人鬼には見えないサラリーマン姿のドシクのことを警察官は信用。
この危険な状況を上手く伝えられないことをもどかしく思うギョンミ。
そこへソジュンの兄ジョンタクが帰らぬ妹を探しにやってくるのだが……。
ギョンミ役にチン・ギジュ、ドシク役にウィ・ハジュン。怖い怖い。
ナイフを手にした聴覚障害の女性が健常者の男性に追いかけられていたら、
「錯乱状態にある妹」だと男性が周囲に話すと、皆それを信じてしまうのですね。
そして男性に手を貸そうとする。なんと理不尽なことか。
最後はギョンミの頭脳戦勝ち。スッキリいい気味です。
ジョンタクとの関係も予感させられてハッピーエンディング。
 
《し》
『しあわせのマスカット』
2020年の日本作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
北海道出身の相馬春奈(福本莉子)は、高校の修学旅行で岡山を訪れたさい、
病床の祖母が切望するマスカット・オブ・アレキサンドリアをお土産にしたかったのに、
財布を落としたせいで叶わず、代わりにその葡萄を使った和菓子を買って帰る。
祖母が美味しいと言って食べるのを見て、この和菓子を作っている会社に就職を志望。
面接に遅刻したにもかかわらず、社長のお眼鏡に適って採用される。
しかし、ドジな春奈は研修期間中に失敗三昧。
配属先に困った人事部は、春奈を商品部社員という扱いにして、
マスカット・オブ・アレキサンドリアを作っている葡萄農園へと送り込む。
農園主の秋吉伸介(竹中直人)は気難しく、これまで誰も長続きした試しがなく……。
岡山のご当地映画だと思っていたら、源吉兆庵の宣伝映画でした(笑)。
私たち、こんなに良い会社なんですよ~と言われているようでドン引き。
ま、悪くはないです。頑張る女子の姿を見るのは。
田中要次がお店のガードマン役で出演しています。ほぼ台詞なしで笑った。
 
《す》
『スターフィッシュ』(原題:Starfish)
2018年のイギリス/アメリカ作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
知名度ゼロに等しいキャストゆえ未公開になりそうだったところ、
出来のあまりの良さにもったいないと、“未体験ゾーンの映画たち 2022”で上映。
オーブリーは急死した親友グレイスの葬儀に参列。
その折、グレイスが自分に手紙を出そうとしていたことを知る。
グレイスの部屋にこっそりと侵入して物思いにふけっている間に外で異変が起こり、
人々が町から忽然と消え、不気味な怪物が徘徊するようになっていた。
グレイスが残したミックステープをもとに、オーブリーは町を救おうとするが……。
冒頭に「実話に基づく」と表示されます。
そんなアホなと笑ってしまったのですが、途中で気づく。
これは、大切な誰かを亡くした人が現実と向き合えるようになるまでの話だと。
怪物こそが現実。ミックステープの隠し場所を辿ることが気持ちの整理
人が死ぬのは運命。でも物語が喪われるのは悲しい。泣いてしまった。
 
《せ》
『世界で一番美しい少年』(原題:The Most Beautiful Boy in the World)
2021年のスウェーデン作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
何十年かぶりに『ミッドサマー』(2019)でその姿を見せて話題になったビョルン・アンドレセン。
1970年、15歳のときに『ベニスに死す』(1971)のオーディションで巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督に見いだされ、
その完璧な美貌が“世界で一番美しい少年”と称賛された俳優。
『ベニスに死す』に出演したせいで世界中の美少年好きから性的な目で見られるようになり、
ゲイを公言するヴィスコンティ監督は、撮影後には彼を「もう歳を取り過ぎだ。
1年前は美しかったけど」のようなことを言ってこきおろす。
そのくせ、ほかの作品には今後3年間出演させないという契約を彼の祖母と取り交わし、
アンドレセン本人の望まない形で彼の人生は進んで行く。
父親は誰かわからず、母親は森で首吊り自殺、祖母に無理やり芸能界入りさせられた彼。
もう悲しくて切なくて、やるせない気持ちになりました。
 
《そ》
『ソウルメイト/七月と安生』(原題:七月與安生)
2016年の中国/香港作品。TSUTAYA DISCASにてレンタル。
デレク・ツァン監督の『少年の君』(2019)の高評価を受けて昨年初公開された模様。
プロデューサーをピーター・チャンが務めています。
ネットで人気の小説『七月(チーユエ)と安生(アンシェン)』を映像化しようと、
映画会社が作者の林七月を探すが見つからない。
実話を基にした物語のようだからと、李安生を探し当てて交渉する。
ところが安生は七月なんて人は知らないと言い張り……。
実は作者は安生で、物語は幼なじみだった七月と安生の激動の人生を描いています。
優等生の七月と自由気ままな安生は蘇家明という男性を愛し、ぶつかりあう。
ふたりの間に何があったのかがすべてわかるときはかなり衝撃的。
家明と婚約した七月は挙式当日に家明に逃げられ、地元には居づらくなって脱出。
でも実はこれは七月が家明に頼んだこと。そうでもしなければ地元から出られないから。
しかし七月はその後、家明との間にできていた子どもを出産。
その子どもを安生が育てていました。しかもそれだけじゃないのです。
魂の結びつきに圧倒されました。

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今年観た映画50音順〈か行〉

2022年12月27日 | 映画(か行)
《か》
『カオス・ウォーキング』(原題:Chaos Walking)
2021年のアメリカ/カナダ作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
原作はパトリック・ネスのSFヤングアダルト小説
ダグ・リーマン監督がトム・ホランドを主演に起用して映画化。
2257年、汚染された地球を去った人類が入植した惑星にある町。
エイリアンの襲撃により女性は全滅、今は男性しかいない。
この地に来てから、男性たちの心の中の声は“ノイズ”としてダダ漏れ。
首長として君臨するデヴィッドはノイズを制御することができるが、
最年少のトッドには制御することなどできず、思考が皆に筒抜け。
そんなトッドが墜落した宇宙船を発見、唯一の生存者ヴァイオラと遭遇。
トッドにとってヴァイオラは初めて見る女性で、瞬時に恋に落ちる。
ヴァイオラが本船に連絡すれば首長の座が危うくなると考えたデヴィッドは、
ヴァイオラを捕まえて殺そうとするが、トッドはそんなことはさせたくない。
なんとかヴァイオラを逃がそうと、トッドは共に町を飛び出すのだが……。
デヴィッド役には私のお気に入り、マッツ・ミケルセン
悪役も似合っているけれど、やっぱり好きな役者には善人を演じてほしい。
思考がノイズとなってダダ漏れする中ではやかましくて寝られないでしょうね(笑)。
 
《き》
『君は永遠にそいつらより若い』
2020年の日本作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
原作は芥川賞作家・津村記久子の2005年に刊行されたデビュー小説。
吉野竜平監督の作品を観るのは私は初めて。
東京の女子大生のホリガイ(佐久間由衣)は、地元で児童福祉司の職を得て卒業間近。
あとは卒論を書き上げるだけとなったとき、同大学に通うイノギ(奈緒)と知り合う。
大柄でサバサバと明るいホリガイだが、実は処女であることがコンプレックス。
ある日、酒造工場で検品のバイトをする後輩ヤスダから巨根の悩みを打ち明けられ……。
可愛い顔をしているのにデカいせいなのか性格のせいなのか、
ホリガイは周囲の男性からあまり女として見られていません。
密かに想いを寄せていたホミネが自ら命を絶ち、辛いこといっぱい。
正反対に小柄でおとなしいイノギと過ごす時間がかけがえのないものとなるけれど、
そのイノギに凄絶な過去があると知ります。
タイトルは、虐待などに遭った人にホリガイが掛けたい言葉。
加害者より君は永遠に若いんだから。加害者より君は長生きするんだから。
最後に登場するホリガイの就職先の上司役、宇野祥平がいつもながらいいなぁ。
 
《く》
『クリスマス・ウィズ・ユー』(原題:Christmas with You)
2022年のアメリカ作品。Netflixにて配信。
ベテランポップ歌手アンジェリーナ・トレスは、最近は新人歌手に押されがち。
表紙を飾るはずの雑誌も人気急上昇中の新人に持って行かれたうえに、
プロダクション社長から「クリスマス向けの新曲を出さなければクビ」と言われて呆然。
マネージャーで親友のモーを連れてしばしの逃避行。
逃亡先は、アンジェリーナの大ファンだという女子高校生クリスティーナがいる町。
憧れの人が突然目の前に現れてクリスティーナは大興奮。
すぐに帰るはずが大雪に見舞われ、クリスティーナの自宅に身を寄せることに。
クリスティーナの父親ミゲルは音楽教師で、昔はバンドマン。
妻に先立たれたミゲルと共に曲を作るうち、双方に恋心が芽生えて……。
主演のエイミー・ガルシアを最初に見たとき、オバハンの妄想か!?と身構えましたが、
オッサンとオバハンの恋愛話は年相応で結構楽しめます。
15歳を祝うキンセアネーラという儀式についても初めて知りました。
エンドロールに“Angelina Chavez Torresに捧ぐ”とあり、ヒロインは実在の歌手だったのかと思ったら、
歌手でもなんでもなくて、本作のプロデューサーの母親らしい。そうでっか。
 
《け》
『ケンタウロス』(原題:Centauro)
2022年のスペイン作品。Netflixにて配信。
スーパーバイク世界選手権に出場していたラファは、
前途有望なライダーを探す某チームオーナーの娘レジーナから声をかけられる。
ほかにも何名かの候補がいるがチャレンジしてみないかとのこと。
喜ぶラファだったが、別れた妻ナタリアが麻薬売買のトラブルに巻き込まれていることを知り、
彼女を救うべく、組織を仕切る男コルテスに直談判しに行く。
コルテスは、ラファが2カ月仕事を手伝うならナタリアを無罪放免にしてやってもいいと言う。
かくしてラファはバイクに乗ってバルセロナマルセイユを行ったり来たり、
麻薬の運び屋を請け負うことになるのだが……。
パトカーをまきながら高速を走るには性能の良いバイクが必要だとして、
ラファがコルテスに求めるのはカワサキのニンジャ1000。
仲間と共にコルテスを殺すことに成功し、後は安泰のはずが警察にしょっぴかれます。
どうなるのかと思ったら、最後は警察に取引を持ちかけられ(ほとんどスカウト)、
バイクの運び屋を追いかけて捕まえる警察側の人間になっていました(笑)。
そのときに乗るバイクももちろんニンジャ1000です。
 
《こ》
『恋をするなら今宵のディナーで』(原題:Quattro Meta)
2021年のイタリア/ポルトガル作品。Netflixにて配信。
夫婦のルカとサラは、それぞれの友人ダリオとマッテオ、キアラとジュリアを誘ってホームパーティー
性格から考えて、ダリオにはキアラ、マッテオにはジュリアが合うとルカたちは想像。
そのふたり同士をくっつけようとするのだが……。
ルカとサラの考えどおりのふたりがくっついた場合と、
予想に反してダリオとジュリア、マッテオとキアラがくっついた場合はどうなるかが
パラレルワールドとして描かれています。
つきあいはじめた頃から結婚、妊娠に至るまで、いったん別れ話が出ることもあれば、
そのタイミングで浮気の告白!?みたいな瞬間まであり、
描かれているカップルがめまぐるしく変わるのが面白くて飽きません。
これらが、ルカとサラが新たに招いたカップルに半分は創作という形で語られ、
どちらの話が創作だったかについては想像に任されるのかと思いきや、
最後の最後にはちゃんとダリオとマッテオ、キアラとジュリアも招かれていて合流。
おおっ、そのカップルでしたかとわかってスッキリ。やっぱりそうだよねぇ。

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今年観た映画50音順〈あ行〉

2022年12月27日 | 映画(あ行)
21回目となりました。恒例におつきあいください。
 
23日までに劇場で観た作品についてはすべてUP済み。
ここに挙げるのは劇場鑑賞作品以外の、レンタルDVDや配信で観たものばかり。
好きだったとか嫌いだったとかは関係なし。
どれも今年レンタルあるいは配信が開始されて視聴可能となった作品です。
ネタバレ御免。
 
《あ》
『雨を告げる漂流団地』
2022年の日本作品。一部劇場にて公開と同時にNetflixにて配信。
スタジオコロリド制作の長編アニメーション映画第3弾。
小学6年生の航祐と夏芽は、航祐の祖父・安次に育てられた幼なじみだが、
安次が亡くなったのをきっかけになんとなくお互いを避けるようになる。
ある日、かつてふたりが住んでいた団地が老朽化して取り壊されることに。
懐かしさもあって友人たちと共に団地へ忍び込んだ航祐は、夏芽と遭遇。
そこで奇妙な現象に巻き込まれ、気づけば航祐たちは団地に乗って漂流していた。
元の世界に戻るため、彼らは協力して漂流生活を乗り切ろうとするのだが……。
航祐と夏芽も寂しいのに寂しいところを見せない。素直じゃない。
加えて、同級生のうちのひとり、令依菜がとてもウザイ(笑)。
そのせいでイライラして、素直に楽しめなかった私はきっと子ども。(^^;
 
《い》
『いとみち』
2021年の日本作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
原作は越谷オサムの同名小説。監督は青森出身の横浜聡子。
青森県弘前市に暮らす女子高生・相馬いと(駒井蓮)。
幼い頃に母親を亡くし、父親(豊川悦司)と祖母(西川洋子)の三人暮らし。
父親は大学で教鞭を執る民俗学者だが、東京育ちで訛りなし。
一方のいとは、皆が訛っている学校の中でもひときわ目立つ津軽弁で、
それがコンプレックスとなってしゃべれず、友だちもいない。
得意の津軽三味線からも遠ざかる日々を送っていたが、
自分を変えるべく一念発起して青森市内のメイドカフェのバイトに応募。
店長(中島歩)と先輩のメイド(黒川芽以横田真悠)のもと、働きはじめるのだが……。
「いらっしゃいませぇ、ご主人様」さえ訛りすぎて上手く言えないいと。
娘のことが心配で仕方ないのに愛想なく振る舞うトヨエツが○。
「チョモランマからお帰りですか」「ええ」の会話に笑った。
津軽三味線の演奏のあるメイドカフェには行ってみたいねぇ。
 
《う》
『ウォーハント 魔界戦線』(原題:Warhunt)
2022年のアメリカ作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
連合軍の輸送機がドイツの森の中に墜落し、乗員が行方不明に。
ブリューワー軍曹率いる12名が捜索のために現地へ向かおうとしたところ、
ジョンソン少佐から特命を受けた兵士ウォルシュが合流する。
ウォルシュの任務は輸送機に残されているはずの機密文書を回収することで……。
冒頭のシーンに『シャドウ・イン・クラウド』を思い出し、
何かフツーでないものが登場するのかなと想像していたら魔女でした。
森にある“生命の木”に兵士の血を注ぐことによって魔女たちが不死身になる。
不死身になる方法を得れば戦争に勝てるやんっちゅうことで、
ドイツ軍がそんなもんを手に入れるのを阻止したいアメリカ軍、という構図。
ジョンソン少佐役をミッキー・ロークが演じています。
B級ですが、それなりにスリリングでまぁまぁ面白かったです。とても嫌なオチ(笑)。
 
《え》
『エンド・オブ・ロード』(原題:End of the Road)
2022年のアメリカ作品。Netflixにて配信。
軍人だった夫の治療費を払い続けて一文無しになってしまった看護師ブレンダ。
家を手放さざるを得ず、娘ケリー、息子キャム、弟リジーと共に引っ越し。
途中で宿泊したモーテルで隣室から聞こえてきた銃声。
犯人とおぼしき人物の足音が過ぎ去ってからブレンダとリジーが隣室に踏み込むと、
首を撃ち抜かれた男性が息を引き取るところ。
通報者ということで一通りの取り調べを受けて解放されるが、
なんとリジーが、殺された男が持っていた大金入りの鞄を盗んできていた。
隣室の男は麻薬絡みで殺されたらしく、そのボスは皆に恐れられるクロスという人物で……。
いちばん犯人じゃなさそうな人を疑うのは鉄則だといいますが、ほんとにそうで笑った。
なんとミスター・クロスはボー・ブリッジス演じるハマーズ警部だったよっ。
しかもその妻もめちゃ怖くて、まるで『X エックス』の老夫婦みたいでした(笑)。
クイーン・ラティファはコメディのほうが似合うと思います。
こういうシリアス一辺倒の役をされると、なんだか無理している感があって乗れません。
このタイトルゆえ、観る前も観た後も私の頭の中はボーイズIIメン
 
《お》
『俺だって極道さ』(原題:Naanum Rowdy Thaan)
2015年のインド作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
警察官の母親を持つパーンディの夢は極道になること。
友人たちと極道の真似事をしては小銭を稼いでいたが、本物の極道には程遠い。
そんなある日、警察に連行されてきた聴覚障害者の美女カーダンバリに出会って恋をする。
カーダンバリがまだ幼い頃、警察官だった父親が本物の極道キッリの恨みを買い、
自宅を爆破されて母親は死亡、カーダンバリの耳が聞こえなくなった。
それでも父娘で懸命に生きてきたのに、キッリは父親までも殺しにやってくる。
両親を喪ったカーダンバリは自らの手でキッリを殺すと復讐を誓う。
パーンディはその復讐に手を貸すことにするのだが……。
残念ながら今までに観たインド作品の中でいちばんつまらなかった。
第一にパーンディがタイプじゃない(笑)。それに彼の母親に相当ムカつく。
でもこれ、巷の評価は高いのですよね。こんな母親がいる息子、嫌じゃないですか。

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