夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『シャクラ』

2024年01月21日 | 映画(さ行)
『シャクラ』(原題:天龍八部之喬峰傳)
監督:ドニー・イェン
出演:ドニー・イェン,チェン・ユーチー,リウ・ヤースー,ウー・ユエ,カラ・ワイ,
   チョン・シウファイ,グレイス・ウォン,ドゥ・ユーミン,レイ・ロイ,ツイ・シウミン他
 
同じく109シネマズ大阪エキスポシティにて。
駐車場料金サービスを受けられないかと思った話は前述しています(笑)。
 
“イップ・マン”シリーズのドニー・イェンが監督と主演の両方を務める武侠アクション。
こういうのを武侠アクションというのは今知りました。
だいたい、ふだん生活していて「武侠」なんて言葉を使う機会はないですしね。(^^;
 
本編開始には少しだけ遅刻。スクリーンに映し出されたシーンがすでにめちゃめちゃ楽しい。
おお~っ、さすが本命、観に来てよかったと思う。
 
原作は、中華圏で広く愛されている金庸の大長編武侠小説『天龍八部』。
舞台は11世紀の中国で、主人公となるのは4人。
大理国国王である段正淳の息子・段誉、丐幇(かいほう)(一種の共同体)の幇主・喬峯、
少林寺で修行をしたにもかかわらず戒律を破った僧侶・虚竹、大燕国の末裔・慕容復。
 
それぞれを主人公とした続編があるのかないのか、本作の主人公は喬峯です。
 
宋代の中国。
武術集団・丐幇の幇主・喬峯は誰からも慕われる存在。
優れた武人であるうえに、その人柄は欠点を見いだすことができないほど。
 
ところがある日、奸計に遭う。
副幇主・馬大元の妻・康敏が「夫を喬峯に殺された」と訴えたばかりか、
亡き夫がしたためていた書簡の中に、「喬峯は漢人ではなく契丹人、
自分の身に何かあれば喬峯の仕業だ」と書かれていたと言う。
真偽も明らかにならぬまま、喬峯は人殺しの契丹人だと皆から罵られて追放を命じられる。
 
郷里に戻ってみると両親が何者かに殺されており、
少林寺に寄れば育ての親である師匠がこれも何者かに殺される。
その罪はすべて喬峯にかぶされて、逃げる道しかない。
 
慕容家に仕える侍女・阿朱は、慕容復の指示で少林寺に忍び込んだところ、喬峯と遭遇。
喬峯が追っ手に向かって放った技を阿朱も受けてしまい、重傷を負う。
阿朱をその場に残しておけずに連れ出すと、介抱する喬峯。
さまざまなよくない噂を聞いていた阿朱だったが、喬峯を慕うようになる。
 
阿朱の傷を完治させるには、喬峯を殺そうと皆が待ち構える聚賢荘へ向かうしかない。
聚賢荘に行けば阿朱の傷を治せる医者がいる。
しかし医者は阿朱の命を救ってやる代わりに喬峯の命を差し出せと言い……。
 
壮大な話すぎて、人間関係を掴みにくかったりもするのですが、
喬峯が謀略にはまって理不尽に追い出され、自分の出自を探る旅をするってことですよね。
その道中、いろんな敵に襲われるけれど、とにかく喬峯は強い。
序盤に自ら刀で脇腹をプスプス刺したのに無傷かい!と笑ってしまった。
 
ドニー・イェンの華麗な動きを見ているだけで楽しいし、
阿朱役のチェン・ユーチーがはかなげな美人で目が釘付けに。
 
で、やっぱりこれ、続編を作るのですよね?
じゃないとかなり中途半端。この先どうなるのか知りたい。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『劇場版 乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』

2024年01月20日 | 映画(あ行)
『劇場版 乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』
監督:井上圭介
声の出演:内田真礼,蒼井翔太,柿原徹也,鈴木達央,松岡禎丞,岡咲美保,水瀬いのり,
     早見沙織,小野賢章,村瀬歩,鬼頭明里,上田麗奈,日笠陽子,釘宮理恵他
 
なんじゃこのタイトルのアニメは!?と思って年末からずっと気になっていたのですが、
わざわざ観に行くほどでもないかなぁとスルーしていました。
しかしこの日、本当に観たいと思っている作品が20:30からの上映で、
その前に観られそうな作品はこれしかない。
と言っても、本作は19:00~20:45の上映で、後の本命とは15分間もかぶっているのです。
 
でもまぁいいやと109シネマズ大阪エキスポシティへと向かい、
映画2本分の駐車サービスを受けるために駐車券を提示したら、
バイト女子が食い入るように私のチケット2枚を見比べる。
「えーと、上映時間が重なっている場合は1本分しかサービスできないんですけれど」。
そりゃそうだ、同じ時間帯に上映される作品を2本予約可能なら、
会員になりすまして友人知人の分を買うこともできてしまうわけですから。
 
でも、まるかぶりしているんじゃないのよ。予告編をパスして、最初のほんの数分見逃すだけ。
「ちょっと確認してきます」と奥へ引っ込むバイト女子。
戻ってくると、「今回に限り、2本分お出しします」。ありがと~。(^O^)
1本目は20:40からエンドロール、2本目は20:40に本編開始だということも教えてくれました。
年間300本以上観ようと思ったら、時にはこんなハシゴもせなあかんのです。許して。
 
さて、いつものごとく、前知識はゼロ、何にもありません。
どうせわからんやろと期待もせずに観はじめたら、ざくっと説明してくれるうえに、その説明が面白い。
原作やTVアニメシリーズで確かめてくれりゃいいのよという宣伝も忘れずに(笑)。
 
そのざっくりとした説明のうち私が覚えている部分だけで説明すると、
乙女ゲームにハマっていた女子高生が頭を強打して昇天。
目が覚めたときにはその乙女ゲームの登場人物になっていた。
しかも、彼女が転生したカタリナなる女性は、絶対に死ぬことが決まっている。
どうすれば死へまっしぐらかわかっているから、死なないように考える。
体力をつけて、食べるものに困らないように畑なんかも耕して。
おおざっぱにはこれで合っているのかしら!?
 
で、シリーズ初の劇場版は、原作者による書き下ろしの完全新作とのこと。
 
主人公の令嬢カタリナは、お供を連れて出かける途中、車窓から見慣れぬ商隊を発見。
「商隊」という言葉を私は初めて聞きました。
サーカスのテントのようなものを張ってつくられた移動する町なのですかね。
ここに寄ったカタリナは、動物と心を通わせることのできる青年アーキルと出会います。
 
彼やその仲間と楽しく過ごしていたカタリナですが、アーキルにどこか見覚えがあると思っていたら、
彼は前世の乙女ゲームの中に出ていた人物じゃあないですか。
アーキルには凄絶な過去があり、今は囚われの身。
自分はともかく仲間だけでも解放しようと思って、ある企みを遂行中。
その企みを果たしても囚われの身のままだと知っているカタリナは、なんとか阻止しようとします。
 
何の期待もせずに観たおかげではなく、すごく楽しいアニメでした。
登場人物たちみんな可愛げがあって、良い仲間ばかり。
自分の予想が当たる理由を言えないカタリナの脳内会議には笑いました。
 
観る機会があるならばスルーしてはいけない。何でも観なくちゃと思えたアニメです。
 
しかしだいたい乙女ゲームって何なのよ。私の場合そこから調べなきゃ。
女性向けの恋愛ゲームのうち、プレイヤーが女性のゲームを乙女ゲーム、略して「乙ゲー」と呼ぶのですと。
ひとつ物知りになったような気がするけど、気がするだけですね。(^^;

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ビギル 勝利のホイッスル』

2024年01月19日 | 映画(は行)
『ビギル 勝利のホイッスル』(原題:Bigil)
監督:アトリ
出演:ヴィジャイ,ナヤンターラー,ヨーギ・バーブ,ジャッキー・シュロフ,ヴィヴェーク,カティル他
 
2019年のインド、タミル語作品です。
主演は南インド映画界のスーパースター、ヴィジャイ
2020年9月に開催された“インディアンムービーウィーク 2020”にて上映されたときに見逃す。
 
昨年2月にDVD化されてレンタルも開始になっていたのですが、
なにしろボリウッドにありがちな超尺、177分の作品。
家で集中して観る自信がなく、借りるのが今になりました。
1年前にDVD化されてしかもタイトルが「ビ」で始まる作品なんて、
今年観た映画50音順でも出番がないので(笑)、いま書きます。
 
チェンナイの下町ロヤプラムに暮らすマイケルは、困ったときには皆が頼る兄貴分。
訳あってヤクザになったものの、スラム街を救おうと日々行動している。
相手がどれほど大きな権力者であろうと決して引かないから、敵も多いのは確か。
 
あるとき、彼の親友カティルがで監督を務める女子サッカーチームが、
全国選手権に出場するためにタミルナードゥ州からメンバーを連れてチェンナイへとやってくる。
宿泊場所へメンバーを送る役目は弟分たちに任せ、カティルとマイケルは別途車へ。
ところがマイケルを狙う集団に襲撃され、カティルが重傷を負う。
 
報せを受けたメンバーたちは憤り、なぜ監督とヤクザのマイケルが知り合いなのか、
犯人はマイケルを狙ったのに、監督がこんな目に遭うなんてと泣きわめく。
監督がいなければ全国選手権には出場できない。あきらめようとするメンバーたち。
 
病室で意識を取り戻したカティルは、自分に代わるのはマイケルしかないと言う。
ヤクザに監督が務まるわけがないと拒否するメンバーたちに、マイケルは11人対自分1人の闘いを挑む。
マイケルが3点先取すればマイケルの勝ち。君たちは1点取ればそれで勝ちとすると。
もしも自分が負ければその場を去るが、もしも勝った場合は、おまえら素直に言うことを聴けと。
 
鼻で笑っていたメンバーたちだったが、いとも簡単にマイケルが3点を取り、従わざるを得なくなるのだが……。
 
たぶん、ダンスシーンを全部カットしたら、少なくともあと30分は短縮されていたと思います(笑)。
でもやっぱりダンスはあったほうがボリウッドらしくて○。
 
毎回、たいして格好良くないと思いながら観始めるヴィジャイ主演作ですが、途中からとても可愛らしく見えてくる。
愛嬌もあって、大人気であることにも納得してしまうのですよね。
 
賄賂の国インドでは、サッカー協会もこんなに腐っているのですか。
まず、国の代表選手になれば、どんな人物であれ将来は安定。良い仕事が保証されるのだとか。
だから、親はなんとしてでも息子を代表選手にさせたいし、そうなれば自慢しまくる。
 
上級公務員であろうがサッカーの代表選手であろうが関係なし。
それが女の幸せであると男が決めつけています。
自分の妻にそれを強いていた男性に対し、ヴィジャイは言います。
内助の功と言うけれど、妻の夢を叶えようとする夫はカッコイイのだと。
 
マイケルの生い立ち、父親のこと、マイケルと恋人エンジェルの話などなど盛り込みすぎで大変。
でも終わってみればすごく楽しい作品。エンジェル役のナヤンターラー、超美人だし。
 
なお、DVDにはダンスシーンのみ観られる特典も付いています。観てしもたやんか。(^^;

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ヤジと民主主義 劇場拡大版』

2024年01月18日 | 映画(や行)
『ヤジと民主主義 劇場拡大版』
監督:山崎裕侍
ナレーション:落合恵子
 
3連休の中日、伏見稲荷大社にお詣りに行く前に、十三・第七藝術劇場にて1本。
観た順にUPしていると、3連休っていったいいつでしたかって感じですけど。(^^;
 
2019年7月15日、北海道札幌市内で、参院選立候補者の応援にやってきた安倍晋三首相が演説。
その最中にヤジを飛ばした人たちが北海道警の警察官に排除される騒動が起きました。
本作はその「ヤジ排除問題」を北海道放送報道部の取材班が追ったドキュメンタリーです。
 
お詣りの前に1本観たかっただけで、この問題に興味を持っていたわけではありませんでした。
前日も映画をハシゴして疲れていましたし、観ながら寝てもいいかな、ぐらいのつもりで。
そうしたら、面白くて眠くならず。
 
ヤジを飛ばしたりプラカードを持ち上げようしたりして警察官に取り囲まれた、
あるいは腕などを掴まれてその場から移動を強要された人は少なくとも10人はいたそうですが、
本作では主に2名、ソーシャルワーカーの男性と大学生だった女性に焦点を当てています。
裁判を起こしたのもこのふたりだからということもあるのでしょうかね。
 
2名は特定の政治団体に所属しているわけではなく、無党派の一般人です。
もしも私がこの場にいたら、あぁ、なんかおかしい人だと思ってしまったかもしれません。
しかしこうしてインタビューを見ると、私なんかよりよほど社会を知っている、
少なくとも知ろうとしている人でしょう。
 
2名は共にヤジを飛ばしたのではなくて、先の男性が叫ぶのを聞いて、
後の女性も声を上げなければ後悔すると思ったそうです。
 
安倍政権を批判するヤジだったから排除されたのか。そりゃそうでしょう。でもそうは言わない。
北海道県警の言い訳はとても苦しく聞こえます。
 
表現の自由を侵害された」とふたりが訴えた裁判。
一審では原告の2名が勝訴しましたが、二審では女性のみが勝訴。
北海道県警の何十名も動員して作成したという再現イメージ映像は少し笑ってしまいました。
茶番にしか見えないのですけれど。
 
演説中のヤジに私は賛成とは言えません。でも私は何にもしないから。
何にもしない、声を上げない私にヤジを非難する権利はありません。
どうせ何を言ったって何も変わらないと思うけれど、何もしなければ絶対に何も変わらないのですよね。
 
こういう裁判があったことを今まで気にも留めずに来ました。
せめてもう少し興味を持たなければいけない。
 
ヤジだけで、誰かに危害を加える可能性などなかったこのふたりを排除して、

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『笑いのカイブツ』

2024年01月17日 | 映画(わ行)
『笑いのカイブツ』
監督:滝本憲吾
出演:岡山天音,片岡礼子,松本穂香,前原滉,板橋駿谷,淡梨,
   前田旺志郎,管勇毅,松角洋平,菅田将暉,仲野太賀他
 
シネ・リーブル梅田にて2本ハシゴの2本目。前述の『市子』の次に。
 
原作はツチヤタカユキの自伝的小説。
彼は、NHKの『着信御礼!ケータイ大喜利』で「レジェンド」の称号を獲得した後、
ラジオ番組や雑誌などにネタを投稿しまくって「伝説のハガキ職人」と呼ばれた人です。
これまでテレビドラマを撮ってきた滝本憲吾の長編劇映画デビュー作品。
 
ツチヤ(岡山天音)はおかん(片岡礼子)とふたり暮らし。
5秒にひとつ、笑いのネタを書くことを自らに課しており、その才能はなかなかのもの。
テレビ番組の『デジタル大喜利』でレジェンドの座についた後、
人気漫才コンビのベーコンズが担当するラジオ番組にネタを書いて投稿しまくり、
コンビの片方・西寺(仲野太賀)からの呼びかけに応じて東京へ行く。
 
晴れてプロの構成作家になれたかと思いきや、人づきあいが極端に苦手。
挨拶すらろくにできないものだから、彼をかばってくれるのは西寺のみ。
ほかの構成作家やプロデューサーから総スカンをくらってどうしようもなくなり……。
 
およそ可愛げがあるとは思えない主人公。
パンツ一丁でひたすらネタを書き、髪の毛はボサボサ、目がすわっています。
ハガキ代を捻出するためだけに働いているわけですが、
バイト先でもネタを考えることで頭がいっぱいだから、ミスばかりやらかす。
当然バイトはすぐにクビになります。
 
しかし、とにかく人を笑わせたいんだという心意気が伝わってきて憎めません。
彼をこの道で生きられるようにしたいと考える西寺は、
人づきあいのいろはからツチヤに教え、それに素直に従おうとする頃には可愛げも出てきます。
 
フードコートでネタを書き続けるツチヤに興味を抱いて声をかけるミカコに松本穂香
街角で泥酔するツチヤを放っておけずに拾うムショ帰りのチンピラに菅田将暉
仲野太賀にしても菅田将暉にしても、今さら脇に回るような俳優ではないにもかかわらず、
脇役で「ちょうどいい」存在感を放つのは凄い。主役を食うわけではなく、実に良い塩梅。
 
ただ、この手の「お笑い」に関わる人を主人公にした作品で私がいつも不満なのは、
本作でいちばん笑ったのは、缶コーヒーを買いに行ったツチヤが転ぶシーンでしたからね(笑)。
 
おかん役の片岡礼子も素晴らしかったことを付け加えます。
そういえば、男をとっかえひっかえ連れ込んでいるらしいおかんが、
その日連れ込んでいた相手に「おまえの息子、アホなんか」と言われて、
「アンタよりは賢いわ」というシーンも笑ったのを思い出しました。
どうあろうと息子は息子。応援しつづけるオカンとのラストのやりとりもめちゃくちゃよかった。
 
うん、私はやっぱりこの映画が好きだ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする