現在の三津五郎ではなく.................
2代前かな?「八代目・坂東三津五郎」さんの本です
人間国宝の食通で、最後はフグ肝を何人前も食べて
あたって亡くなるという、嘘みたいな人生の持ち主
子供頃に亡くなったようなので、まったく記憶にはなく
というか、今でもだけど梨園のことは皆目わからない
そんな程度の認識しかありませんが
この本はとっても面白くて、繰り返し読んでいる
食べるだけじゃなく、料理もお好きなようで
真剣に丹念に訓練し、客を招いて御馳走したりしている
そういう意味でも、勉強になって非常に面白い
時代背景も育ってきた環境も、当然ながら自分とは違うので
?と思うことや納得できない記述も、多々あるにはあるし
男性の食通にありがちな、押しの強さも目立ちますが
不思議と気にならなくて、嫌味な感じもなく楽しく読めます
本来、そういう「男食通の脂っこい感じ」は大の苦手なんだけど
全体的に、スッキリと淡泊な空気が流れているような感じで
それで中和されてるふう、お人柄なんだろうか
庶民の味には疎く.....なんて書いてる人もいるけれど
この本を読む限りでは、そんなことはないと思う
美味しいものは「なんでも」美味しい
贅沢料理の中にも、惣菜料理の中にも、美味しいは存在する
食いしん坊が、「庶民の味の美味しい」を見逃す「わけ」がない
先日の「さつま芋の甘露煮」も、ここからヒントを得て煮てみたもの
「さつま芋の白煮」とか「団十郎煮」とか呼ばれていて、繰り返し記述がある
京都の料亭料理で、何代目かの団十郎が好んだものとされ
著者も子供のころ、どこかの大金持ちの台所で教えられたとか
うまく炊けるのに3年かかった、と書いてある
だからって、珍しいとか高価な食材を使うわけでもなく
さつま芋をコトコトと気長に、甘煮するだけの料理だ
しかし「煮方」に工夫があるようで
煮崩れず、表面はべっ甲に透きとおり、芯は黄色
.......とあったから、あ~それなら「栗のコンフィ」と同じだと
自分なりのレシピで煮てみたら、ものすごく美味しく煮えた
しっとりと肌理のこまかい「餡」のようで、食感が知ってる「おさつ」じゃない
蜜の旨さも濃厚で、煮方ひとつで「別もの」になるっていう勉強を
「おさらい」させてもらったって感じ...............
いいもの覚えた
また舐めるように、先を読んでいる