NHK BSシネマ 2020.4.14
青年ベンジャミンは大学を優秀な成績で卒業し、周りから将来を嘱望されるものの、焦燥感と不安に駆られ途方に暮れていた。卒業祝賀パーティーの席で幼い頃から知り合いだった中年女性ロビンソン夫人に誘惑され、その後、情事に身を委ね、逢瀬を重ねることとなる。
しかし、彼女の娘エレインが現れたことで、ベンジャミンの気持ちは少しずつ変わっていく。
親のすすめで不承不承エレインと付き合うことになるが、次第に彼女の清純さに惹かれていく。やがて彼女とベンジャミンの関係がエレインの知るところとなるのだが・・・・。
ダスティ・ホフマンが一躍スタートなり、マイク・ニコルズ監督が、みずみずしい映像とコメディタッチの絶妙の演出をし青春映画の傑作となった。 サイモン&ガーファンクルの曲「サウンド・オブ・サイレンス」、「スカボロー・フェア」「ミセスロビンソン」などが映画の中で非常に効果的に使用されて大ヒットした。
しかし、この映画は「青春映画」として道徳的にどうなのか.ちょっとおかしいのでは?となりますが、実はその通り。1967年は『俺たちに明日はない』、(カップルが銃を持ち、銀行強盗を繰り返すという実在の内容)、『卒業』の二つの映画が公開された、アメリカ映画史の転換点の時です。それまで、ハリウッドが倫理的に自主規制し、セックスもバイオレンスも不道徳な人々も、反体制もない綺麗な映画をヘイズコートという規制のもと作っていたのが撤廃された年になっています。その後、アメリカン・ニューシネマイズムという映画が作られていくようになります。
それにしても、ベンジャミンが花嫁を連れ去るラストシーンが有名です。私も日本公開の年に見て以来、今回2度目ですがラストシーンしか全く記憶に残っていませんでした。
また、50年ほど経っていますが、思った以上にテレビが古い以外はほとんど現代との違和感を感じませんでした。当時のアメリカはやはり豊かだったのです。
監督 マイク・ニコルズ
音楽 サイモン&ガーファンクル
出演
ベンジャミン・ブラドック・・・ ダスティ・ホフマン
エレーン・・・キャサリン・ロス
ロビンソン夫人・・・アン・バンクロフト 他
製作国 アメリカ
製作年 1967