マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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成願寺の牛の舌餅御供

2016年01月12日 07時37分25秒 | 天理市へ
何十年も前のことだ。

氏子たちから度々聞く雪が降った年のちゃんちゃん祭。

お旅所はとても寒かったと話していた。

雪は降らなかったが、この年は朝から降り続く雨天日だった。



成願寺町頭屋家の門神飾りのお供えは透明シートを被せていた。

降り続く雨にちゃんちゃん祭の神輿渡御はやむなく中止されたが、各大字の頭屋とトーニンゴによるお旅所神事は行われたと聞く。

「いつもならカメラマンがごっそりやってくるんやけど、今日は誰一人も見なかったな」と話す神社総代ら。

渡御をされなかったことから還幸祭は例年より2時間ほど早めて行われていた。



神事を終えて大幣をいただく成願寺頭屋はほっとした顔つきになっていた。

そのご苦労さはよく判る。

その場すぐ近くに居られたのは大字兵庫の二人だ。



かつて勅使を受け入れていた特定家は成願寺町頭屋家が奉った牛の舌餅を御供下げされて受け取る。

受け取った特定家は傍に居た兵庫の人足に餅を配る。



ありがたく受け取った人足の顔に笑みがこぼれた。

この年は大字兵庫の子供が演じる龍の口舞や大字新泉の翁の舞も所作されなかったが、新泉が打つ太鼓の音によって解散された。



成願寺人足は空っぽになったホッカイこと御供箱を担いで帰路につく。

ちなみに、本日授かった大幣は家に奉って翌年のトンドで燃やされる。

今年の調査は大字成願寺一本に絞って一連の在り方を拝見した。

大字萱生、中山、岸田は翌年に持越した。

(H27. 4. 1 EOS40D撮影)