東垣内と馬場垣内の人たちが東垣内に建つ秀円寺に集まって太鼓や鉦(伏せ鉦・双盤鉦)を打ちながら数珠繰りをしていると話していた。
数珠繰りは虫の祈祷における作法である。
その在り方を初めて聞いたのは一年前。
平成27年6月20日に訪れたときに話してくれた垣内の行事である。
東垣内と馬場垣内がある地は桜井市の大字小夫である。
垣内は他に上垣内や桑垣内もあるが、人数が少なくて数珠繰りはしていないと区長は云う。
虫供養でもある虫の祈祷が行われる場は秀円寺。
薬師籠りが行われた平成27年9月12日に伺ったお寺である。
薬師籠りもそうだが、虫の祈祷にも僧侶は登場しない無住寺である。
昭和35年9月10日に入寺された如実良仙和尚がおられたころは薬師会式が行われていたようだ。
薬師会式があったということは虫の祈祷の法要もあったということだろう。
蔵にあった大きな数珠玉があるお数珠を座敷に広げる。
導師はいないが音頭をとるのは天井から吊るした大太鼓と床に置いた双盤鉦である。
木枠に紐で吊るされた鉦の最大直径は31cm。
内径は26cmである。
薬師会式のときに撮らせてもらった画像を検証した結果であるが、「兼光作」の刻印文字があった。
この日、あらためて鉦を拝見したら「奈坂町清五郎」の名があった。
「奈坂町」は「奈良之坂町」。
現在の奈良阪町ではないだろうか。
だとすれば寄進者の名であるかもしれないが、奈良坂町と小夫との関係性は・・・。
不明である。
謎はまたひとつ増えた。
円座を組むように広がった垣内の人たちが手にしたお数珠。
太鼓に双盤鉦が打たれる。
太鼓は三つ叩いたら双盤鉦も打つ。
「なんまいだ、なんまいだ」と、繰り返して数珠を繰る。
太鼓の音は大きいがその音を打ち消すのは双盤鉦。
キン、キン、キンと三回打ち鳴らす双盤鉦の甲高い音が太鼓の音色を打ち消すのである。
場を離れた処ではそう聞こえていたが、近づけばそうでもなかった。
キン、キン、キンの音に混じって聞こえる太鼓の音色は破れたようなドン、ドン、ドンであった。
数珠繰りの回数は49回。
場合によっては108回とも。
108回であれば除夜の鐘と同じく煩悩を追い払う回数。
49回であれば・・・。
垣内というか、小夫の村では四十九日の法要は涅槃さん。
涅槃仏を掲げる家の葬式に十三仏来迎の掛図も掲げていたという。
ちなみにこの日の回数はどこでどう数えていたのか判らない。
天井に吊るした太鼓を打つのは腕がだるくなるほどしんどくなる。
と、いっても打ち止めするわけにはいかない。
双盤鉦が打ち止めになるまで叩かなければならないという。
(H28. 6.12 EOS40D撮影)
数珠繰りは虫の祈祷における作法である。
その在り方を初めて聞いたのは一年前。
平成27年6月20日に訪れたときに話してくれた垣内の行事である。
東垣内と馬場垣内がある地は桜井市の大字小夫である。
垣内は他に上垣内や桑垣内もあるが、人数が少なくて数珠繰りはしていないと区長は云う。
虫供養でもある虫の祈祷が行われる場は秀円寺。
薬師籠りが行われた平成27年9月12日に伺ったお寺である。
薬師籠りもそうだが、虫の祈祷にも僧侶は登場しない無住寺である。
昭和35年9月10日に入寺された如実良仙和尚がおられたころは薬師会式が行われていたようだ。
薬師会式があったということは虫の祈祷の法要もあったということだろう。
蔵にあった大きな数珠玉があるお数珠を座敷に広げる。
導師はいないが音頭をとるのは天井から吊るした大太鼓と床に置いた双盤鉦である。
木枠に紐で吊るされた鉦の最大直径は31cm。
内径は26cmである。
薬師会式のときに撮らせてもらった画像を検証した結果であるが、「兼光作」の刻印文字があった。
この日、あらためて鉦を拝見したら「奈坂町清五郎」の名があった。
「奈坂町」は「奈良之坂町」。
現在の奈良阪町ではないだろうか。
だとすれば寄進者の名であるかもしれないが、奈良坂町と小夫との関係性は・・・。
不明である。
謎はまたひとつ増えた。
円座を組むように広がった垣内の人たちが手にしたお数珠。
太鼓に双盤鉦が打たれる。
太鼓は三つ叩いたら双盤鉦も打つ。
「なんまいだ、なんまいだ」と、繰り返して数珠を繰る。
太鼓の音は大きいがその音を打ち消すのは双盤鉦。
キン、キン、キンと三回打ち鳴らす双盤鉦の甲高い音が太鼓の音色を打ち消すのである。
場を離れた処ではそう聞こえていたが、近づけばそうでもなかった。
キン、キン、キンの音に混じって聞こえる太鼓の音色は破れたようなドン、ドン、ドンであった。
数珠繰りの回数は49回。
場合によっては108回とも。
108回であれば除夜の鐘と同じく煩悩を追い払う回数。
49回であれば・・・。
垣内というか、小夫の村では四十九日の法要は涅槃さん。
涅槃仏を掲げる家の葬式に十三仏来迎の掛図も掲げていたという。
ちなみにこの日の回数はどこでどう数えていたのか判らない。
天井に吊るした太鼓を打つのは腕がだるくなるほどしんどくなる。
と、いっても打ち止めするわけにはいかない。
双盤鉦が打ち止めになるまで叩かなければならないという。
(H28. 6.12 EOS40D撮影)