サン・ポン・ドゥ・トミエールの教会のオルガン
話はフランスに戻りますが、トゥールーズでは10月5日から16日まで、オルガン国際フェスティバルをやっていて、毎日あちこちの教会でオルガンのコンサートが行われています。その中のひとつ、10月10日に実施された「モンターニュ・ノアールを巡るオルガン・コンサート・ツアー」に参加しました。
プログラムは、8時にトゥールーズ出発→10時半サン・ポン・ドゥ・トミエール着。オルガン博物館で18世紀のオルガン製作者の歴史のレクチャー→11時15分市内の大聖堂でオルガン演奏→1時クルニウでランチ→3時半マザメのサン・ソビュール教会でオルガン演奏→5時カストルでゴヤ美術館見学の予定がミディ運河見学に変更→8時半ルヴェルのノートルダム・デ・グラース教会でオルガン演奏→11時トゥールーズに戻る、という何とも盛り沢山でハードなもの。果たして私の体力が持つかという若干の不安を抱えながらの参加でした。
参加者は中高年のフランス人ばかりのようで、バスの中は朝からフランス語のおしゃべりの花盛り。主催者もガイドさんもフランス語。なんか町内会の催しに間違って紛れ込んだ余所者みたいな気分になりました。2、30%位しか理解できないガイドさんの説明を聞き流し、美しい外の景色を眺めたり、ウトウト居眠りするうちに、最初の目的地に到着。オルガン博物館のレクチャーは、スライド付きだったので少しは理解できたような気も・・・。
いよいよ最初の演奏。普段オルガン演奏はミサの時に行われて、私たち観光客は立ち入ることができないので、教会内の椅子に座ってゆっくり聴けることにワクワク。演奏されたのは18世紀の作曲家の、私の知らないものばかりでしたが、美しい音色が心地よく、聖堂の正面に据えられたオルガンも一段と光って見えました。2人の演奏者の演奏が終わった後のアンコールでは、日本人留学生の女性も加わった3重奏となりました。
クルニウのレストランの前菜
最初の演奏が終って、バスは少し西に戻り、マザメ近くのクルニウという村でランチ。オーベルジュ料理ということですが、前菜にいきなりサラミ、生ハム、パテ、
ブーダンがど~ん!その後のメインが鴨胸肉のロースト、ポテト・インゲン添え、そしてデザートはキャラメル・アイスクリーム、三色チョコレートケーキ、いちじくのタルト。それをワインを飲みながら、皆さんパクパクしっかり平らげます。ちなみに、私たちは主催者たちと同席することになりましたが、(皆さん気を使って英語で話してくれて助かりました)運転手を除きガイドも主催者たちもよく飲む事!恐るべしフランスの食文化。
食事を終えて、マザメの教会で午後のオルガン演奏。今度はバッハやリストなど知っている作曲家の曲がメインだったので、昼食後でも眠くならず楽しめました。演奏前の説明で、「BACHは音階に変換できる。伴奏部分にその音階を使った旋律が繰り返し出てくる・・・」というような話があって、とても面白かったです。(フランス語の理解が正しければの話ですが。)
ミディ運河源のサン・フェレオール貯水池
マザメの演奏会が終って、今回のツアーのもうひとつのハイライトであり、夫が一番楽しみにしていたカストルのゴヤ美術館に行く予定が、なんと「ゴヤ美術館は月曜日は定休だそうなので、急遽行き先を変更します」との告知。急遽ルヴェル近くのミディ運河美術館とサン・フェレオール貯水池に行くことになりました。私たちは腑に落ちない気分でしたが、他の参加者はとくに気に留める風もなく、和気藹々ムードを維持。
美術館で
運河建設の歴史のビデオと少しの展示物を見て、まあ一応納得。美術館のすぐ脇の道を上がった所に広がる貯水池は雄大で気持ちよく、池沿いの散歩道を20分ほど歩いたら気分がすっきりしました。この散歩道は犬たちの天国。リードを外された犬たちが楽しそうに走り回っていました。
ルヴェルのノートルダム・デ・グラース教会
予定が変更されて時間が余るのにどうするのだろうという私の心配をよそに、7時ごろルヴェル中心部に到着。市役所の職員さんが迎えに来て、皆でゾロゾロと市庁舎に入っていくと、なんと会議室のような広間にビュッフェ・スタイルの食事と飲み物が用意されていました。そこで市長らしき人とオルガン演奏者の一人の挨拶。賑やかなディナーパーティが始まりました。まあ、皆さんよく食べ、よく飲む事。昼の部までの演奏者も、ガイドさんも、小柄なお婆さんも、太目のおじさん、おばさんも、皆さん実に健啖家です。そんな中一人私は昼食のボリュームと疲れで、カナッペ3枚と小さなピッツァ一切れ、それにシャンパン1杯でギブアップ。つくづく体の作りの違いを感じました。
食事も終ってお腹も一杯。皆さん満ち足りた気分で、最後の演奏を聴きに教会へ。この演奏会こそ本来のハイライトだったらしく、始まる前に主催団体のプレジデントの長いご挨拶と運営者らしい人の更に長いご挨拶があって、ようやく演奏開始。演奏のハイライト、バッハのシャコンヌは圧巻で、(大学時代ギター部の先輩が好んで弾いていた曲だということもあり)感動しました。最後は聖歌隊の人達との共演などもあって、終ったのは10時過ぎ。教会の外に出ると、真っ暗な空に満月に近い月が輝いていました。(三女)