話はちょっとそれながら始まる。私は料理をするのも好き。ネットで調べてそれを作るのもいいが、テレビの料理番組も嫌いではない。ただ、どこかの料理研究家という人の番組には興味がない。
私の興味は、いわゆるシェフという人の番組だ。とにかく手さばきがまったく違う。例えば、チャーハン。中華鍋でご飯と具を炒めるのに鍋の中でぐちゃぐちゃとこねくりましたりしない。
1メートルも鍋から飛び上がるご飯と具。そしてお皿にこんもりと盛り付けられる。油と空気が適度に混ざり食感がいい。もちろん味もいい。
そういう意味では、この大工仕事もプロの仕事には鮮やかな手法がある。私たち素人には手の届かない領域だ。 が、何か手作りできるものがある筈。
ネットをうろつき回ってD.I.Yのサイトにたどり着いた。そこでは懇切丁寧なマニュアルもあり、3段植木鉢台をプリント・アウトした。
出来上がったのが添付の写真。写真では細部が分からないが、寸分の狂いもないという出来栄えではない。マニュアルには板取図というのがあって、ワンバイフォー材のカットする図面がある。その通りにカットしたが斜め切りに問題があって、完成後修正を余儀なくされた。それにペイントの仕方が悪く垂れた部分もある。あれやこれやの問題点が残った作品になった。
このために新しく買ったのが、ノコギリとそのノコギリをうまく扱うソーガイド、スレンダースレッドネジ、塗料など。
ノコギリは替え刃式。ソーガイドの直線切りの快適さもいい。何事も体験に勝るものはない。 というのが実感だ。
また、D.I.Yから外れるが、今読んでいるミステリー、マイクル・コナリーの「ナイン・ドラゴン」の中で、殺人課ボッシュ刑事が売れない作家に手錠をかける場面で、かけられた作家曰く「これで手錠をかけられた場面が書ける」。これはたぶんマイクル・コナリーの信念かも知れない。ロサンジェルスが舞台の作品で実在の店や場所がふんだんに出てくる。つまりリアルな描写を心がけているということだろう。
日本人作家に多いA町とかD大学というあいまい表現は、海外の作家にはない。そこが私の気に入るところで、料理もD.I.Yも読書も、私は本物のプロに憧れているのかもしれない。